多彩な単身世帯のこれからのライフスタイルを受け入れる家
単身世帯は今後増え続けるだけでなく、 年齢・性別・社会との関わり方が 多種多様で、住まい方が大きく変化していくことも予想されます。 この「つながる家」では、「環境」「社会」 そして「未来」との“つながり”に着目し、 これらの“つながり”を空間によって選択することが可能な、単身者のための豊かな住まい方を提案します。
近隣の居住者と路地のように共有する立体街路が西側に、バルコニーとデッキが東南と南側にあります。
この2種類の外部空間を積極的につなぎ、住戸内に風や光といった環境を取り込み、内部と外部の中間的な部屋として利用できるのが2つの土間空間です。
季節や時間に応じて、また仕事や趣味など、多様に使える伸縮空間でもあります。
立体街路に2つの玄関を設け、プライベートエリアとパブリックエリア、それぞれ個別にアプローチできる平面計画です。
プライバシーを守りながら、仕事、家族や友人、家事や介護サービスといった生活補助など、様々な社会生活を家の中に招き入れることが可能です。
2ヶ所の可動建具の開閉によって、住戸内を広く1室で利用したり、来客時にプライベートエリアを切り離したり、将来的には親や他者との同居も可能になります。
さらに各部の引戸や土間の上下足の履き替え線の変更を組合わせることで、住まい手によって異なる細やかなニーズに対応できます。
土間①、食堂、土間②、居間、デッキと質の違う空間がつながり、可動間仕切りにより間取りの変化が可能となっています。様々なライフスタイルを受入れ、豊かな住空間をそれぞれに選ぶことのできる住まいです。
Aさん | Bさん | Cさん | |
---|---|---|---|
性別・年齢 | 女性/48歳/看護師 | ー/50歳/会社員 | 男性/53歳/会社員 |
来客頻度 |
多い 週1〜2回程度 仲の良い友人が来る 他の来客も多い |
中程度 パートナーが週1回程度 音楽仲間がたまに訪問 |
少ない パートナーが週1回程度 ほとんど人を招かない |
在宅時間 |
少ない 休日は必ず外出 |
やや多い 休日は家で過ごす |
多い 在宅ワーク、休日は家で買い物以外は外出しない |
家での活動 |
中程度 運動(ヨガ)/友人と会食(料理) |
多い 音楽制作/映画鑑賞/ガーデニング/家でくつろぐ |
少ない 家でくつろぐ |
親の介護 |
片親健在 週1回程度近所の実家へ |
既に他界 |
将来親の世話をする予定 |
その他 |
寝室にこだわりがある 老後は在宅介護サービス 入浴が日々の楽しみ |
来客はあるがエリアを分けてプライベート空間には他人を入れたくない |
特に人との関わりを必要とせず一人でいる時間が大切 |
Aさんにとって住まいはプライベートの場。
寝室と浴室が休息の場として重要です。
友人を招いて、ゆったりと過ごす時には、土間や居間からバルコニーやテラスまでを広く回遊して楽しみます。
自然光のもとで楽しめる広い浴槽とミストサウナ読書やネットサーフィンなどゆっくり過ごせる広いカウンター
土間①の大きな収納には外出準備や旅行用品、季節品をまとめて収納
可動間仕切りを開けると土間・食堂・居間・デッキが一体的な空間に
音楽制作、映画鑑賞、ガーデニングなど、住まい全体を使って多彩な趣味を楽しむ場所。
寝室にトイレと水回りを隣接させ、将来の使い勝手に配慮しています。
平日は水回り前の玄関、休日は趣味の場でもある北側、と2つの玄関を生活シーンで使い分けています。
プライバシーを守りながら家事など外部サービスを受けやすいレイアウト
土間①でガーデニング
居間で映画鑑賞
寝室で音楽制作
住戸内をエリア分けして、様々なシーンでの1人の時間を楽しみます。
将来的には親の介護が可能なように、水回りに二つの入口を設けています。
土間①は在宅ワークの場所
土間②は外気に触れながらお酒を飲む場所
食堂
居間
デッキ
2面に窓があり、季節や時間によって、居心地のよい場所を選択
寝室
水回り
必要に応じて、一体の介護室として利用
住戸計画は、社外有識者の方々と大阪ガスからなるワーキンググループで検討しました。
ワーキンググループには、下記の先生方にご参画・ご協力いただきました。
京都美術工芸大学教授
京都大学名誉教授
髙田光雄氏
東京大学
教授
清家剛氏
立命館大学
教授
近本智行氏
集工舎建築都市
デザイン研究所所長
近角真一氏
追手門学院大学
教授
加茂 みどり氏
大阪公立大学
講師
土井 脩史氏
核家族のためにつくられてきた集合住宅を超えて、現実の住まい手はどんどん多様で多彩になっています。中でも単身者の住まいは、一人で生きるためでなく、より社会と積極的につながるための基地となることが重要ではないかと思いました。この空間が、住む人の新たな想像力をかき立てる場になることを期待しています。
NEXT21は築29年を迎えましたが、人間でいえばまだ若く29歳です。人の寿命より建物は永くあるべきで、それには“引き継ぐこと”が事の他重要となります。住棟及び住戸改修の度に更新される独自の設計ルールは、NEXT21である事の「質」を引き継ぎます。NEXT21を日々大切に繋いで下さる方々に感謝します。
改修年 | 2022年10月 |
---|---|
広さ | 82.98㎡ |