(設計パートナー・コンペティション最優秀賞)
4つの世代(Generation)、4人の女性(Girls)が暮らす住まい
2020年になり、家族のカタチはどのように変わっていくのでしょうか。これまで以上に個々の独自性を求めるのか、逆に誰かとのつながりを求めるようになるのか。
独り暮らしが増えることで住居の個人化が進む一方、どこかの誰かは、誰かと一緒に住む方法を模索するかもしれません。
さらに加速していくとされる高齢化や少子化は、家族に、そして家に、どのような影響を及ぼすのでしょうか。
404住戸では、2020年の家族のあり姿を想定し、彼ら、彼女らが住まう理想的な家のカタチを求めました。
少子高齢化の進行や離婚率の増加などに伴って、単身世帯や、2人世帯といった小規模な世帯が増加しています。
その一方で、経済的な面でも、日常生活の面でも、それらの世帯が単独では暮らしにくくなっているという事実も明らかになってきました。この傾向は今後より顕著になると考えられています。
そこでNEXT21では、「ひとつの住まいにひとつの世帯」ではなく、少人数の複数世帯が集まることでお互いにサポートしながらも、各々が自立し、イキイキと永く暮らせる新しい住まいのカタチを作ろうと考えました。
「昔のように大家族で生活し、助け合うことは難しいかもしれない。しかし、そんな中でも親族同士で縦につながることができれば、新しい生活スタイルが見えてくるのではないか」
そんな想いを込めて作られたのが「404住戸 4G HOUSE」です。
この住戸に住まうのは、『祖母、母、私、娘』の4つの世代。4人の女性はそれぞれが自立した個人として生きながらも、同時にお互いを支え合う暮らしを描きました。
大きなダイニングテーブルとキッチンは、4人がそれぞれの時間を過ごしながらもお互いを感じることのできる場所。
井戸端コーナーは、隣からの視線に配慮しつつ、ちょっとしたコミュニケーション空間にもなる憩いの場です。ここから連続する祖母の部屋では、緑を育て楽しむことを可能にしました。無双窓は閉じていても風を通し、常に室内を快適に保ちます。
母の部屋と洗面脱衣の区切りとなる収納は撤去が可能で、ゆくゆく介護が必要になった際の水回りへの導線を確保。
棚を押すと現れる「ひとり部屋」は、ひとりの時間を過ごしたいときにちょうどよい広さです。
自立した個人として日々を過ごしながら、常に支え合い、困ったときには助け合いながら、すべての人が尊重される生活を送ります。
大きなダイニングテーブルでは、4人それぞれが自分の時間を確保しながらも、お互いの存在も感じることが可能です。
ここから各部屋につながる建具を開けば、私と娘の部屋、祖母の部屋に加えて井戸端コーナーともつながりが生まれ、まるで大きな居間のような空間となります。
ダイニングテーブルの先には、娘が宿題をしたり、私や母が仕事でパソコンを使ったりできるスペースを設置。
宿題や仕事は、通常であれば個々人が部屋にこもって取り組みがちな作業。これらの作業スペースをあえてダイニング空間に作ることで、1日中お互いの存在を感じられる住まいを目指しました。
ダイニング空間には、「4G’s wall」と名付けた棚を完備。4人それぞれの趣味のものを並べることにより、各々の関心事が見えてくる空間に仕上げています。
本計画では、少子高齢化が進み経済的な基盤がますます弱体化するといった、生活不安を払拭する暮らし方を模索しました。
現代社会は、昔のように大家族で暮らし、助け合うのは難しいと思われますが、親族同士で縦につながることができれば、その解決策になり得るのではないかと考えました。
大家族から核家族、その先の形態として、生活基盤の問題や経済的な理由もあり、離れていた家族が再び寄り添うイメージを集合住宅の新しい姿として提案することを目指しました。
改修年 | 2014年7月(全面改修) |
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広さ | 82.63㎡ |