共に暮らしたい人たちが、自在に住める家
5つの室空間が、住む人に合わせて自在に結合・独立し、ある時は一つの大きな家に、ある時は複数の中規模な家に、または5つのワンルームに、あるいは5つの室からなるシェアハウスに、と様々に変幻します。さらに室は、オフィスやサロン、教室、コミュニティスペースなど、広い用途に使うことができます。この家は、住む人に「世帯」か「個人」かを問いません。今、共に暮らしたい人たちが、自在に住める家です。
家を貫く土間空間―ウチドマ―は、人が集まる場となるだけでなく、
室をつなぎ、あるいは隔て、ある時は家の中の空間に、ある時は家の外の空間となります。
人が訪れやすい場所となるマエニワは、同時に外とのバッファーゾーンとなります。
建具の工夫により、住まいの中を無尽に風が通り抜け、外の気持ち良さと四季の移ろいを家の中にいながら感じられます。
風だけでなく、視線や音なども含めた環境要素の遮蔽・開放を自在に制御できるよう、工夫した建具を設置しています。ウチドマの建具を閉め、視線を遮っても、スリットから風が通ります。一部の建具は欄間をもち、戸を閉めても風が通ります。勝手口や玄関には換気用の小窓があり、風を取り入れます。立体街路からウチドマに入る建具には、無双式のスリットが入っています。
ウチドマを介して、5つの室空間は様々に分離・結合し、時には離れ、時には集う、多様な共同生活を実現します。
3つの水回りユニットは、すべてウチドマからアプローチが可能。ハナレの誰がどの水回りを使うのか、自在にルールを設定できます。
住戸計画は、社外有識者の方々と大阪ガスからなるワーキンググループで検討しました。
ワーキンググループには、下記の先生方にご参画・ご協力いただきました。
京都美術工芸大学教授
京都大学名誉教授
髙田光雄氏
東京大学教授
清家剛氏
立命館大学教授
近本智行氏
集工舎建築都市
デザイン研究所所長
近角真一氏
工学院大学教授
設計組織ADH
木下庸子氏
私たちの暮らしとその受け皿である住まいはしばらく前まではもっと柔軟性を持っていたのではないでしょうか?家と家の間のロジは井戸端会議の場所でしたし、こどもたちはエンガワから隣家に遠慮なく入り込んだものです。それがいつの間にか「プライバシー」という金科玉条の下で、入口ドアから中には他者が入りにくい硬直化した住まいとなってしまいました。302、303の2つの住戸を5つの室空間とウチドマ、マエニワに再編成することで、住まい方に合わせて自在に空間構成が可能な住まいを提案しました。
改修年 | 2020年10月 |
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広さ | 302:105.17㎡ 303W:85.76㎡ 303E:56.92㎡ 計247.85㎡ |