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公益財団法人大阪ガスグループ福祉財団

助成事業調査・研究助成の過去助成状況


※記載年度は報告を行った年度です

2021年度「研究助成報告書」

Ⅰ.一般部門

A.福祉の向上関係
(1)令和2年度(2020年度)1年助成
在宅要介護者のQOLに社会参加の遂行度と満足度のどちらが影響するか?
研究代表者
西大和リハビリテーション病院 リハビリテーション部 理学療法士 尾川 達也

共同研究者
川口脳神経外科リハビリクリニック 壹岐 伸弥
川口脳神経外科リハビリクリニック 三上 純
株式会社Luxem 杉田 翔
初台リハビリテーション病院 清水 夏生
名古屋学院大学リハビリテーション学部理学療法学科 石垣 智也

■要旨
本研究の目的は、在宅要介護者の健康関連QOLに社会参加の遂行度と満足度のどちらが関連するかについて検討することである。対象は介護保険における通所リハビリテーションや訪問リハビリテーション等を利用する202名(76.3±11.0歳)とし、評価は健康関連QOLにMOS 8-item Short-Form Health Survey,社会参加にQuality of Community Integration Questionnaireを用いて調査を実施した。その結果、社会参加の遂行度ではなく、満足度とのみ健康関連QOLと有意な関連性を認めた。また、歩行能力別でのサブグループ解析では、屋外歩行の自立群でのみこれらの関連性が認められた。この結果から、社会参加の促進を目指す際、単に活動の達成や頻度の増加といった客観的な遂行度を高めるだけでなく、主観的な側面にも焦点を当てた支援が健康関連QOLには重要である。


B.健康の維持・増進関係
(1)令和2年度(2020年度)1年助成
高齢者の変形性膝関節症の早期検出を目的とした評価指標開発
研究代表者京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻 下浦 佳南子

共同研究者
京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 教授 青山 朋樹

■要旨
本研究の目的は、変形性膝関節症の早期からみられる立ち上がり動作特徴を明らかにすることである。
Kellgren-Lawrence分類2以下の65歳以上男女22名を対象とした。Kellgren-Lawrence分類が0・1を健常群、2を初期変形性膝関節症群とした。対象者は自然速度での立ち上がり動作を行った。その際、慣性センサを第三腰椎棘突起部直上に貼付し、体幹屈曲角と反動の大きさを示す体幹屈曲・伸展方向の角速度の最大値・最小値、体幹角速度の最大値から最小値に至るまでの時間(time of PP)を計測した。統計解析は対応のないt検定もしくはMann-WhitneyのU検定を用いて、立ち上がり指標の群間差を検討した。
統計解析の結果、全ての項目に有意な差はみられなかった。体幹屈曲角は初期変形性膝関節症群の方が大きい傾向がみられた(p=0.095)。体幹伸展方向の角速度のピーク値では、初期変形性膝関節症群の方が小さい傾向がみられた(p=0.053)。結果より、変形性膝関節症患者は初期においても立ち上がり動作に変化がみられ、これらの評価指標が変形性膝関節症の早期検出に有用である可能性が示唆された。


迅速・簡便・安価に腸内細菌叢の検査を行い
結果と健康アドバイスを提供するシステムの開発
研究代表者大阪大学大学院工学研究科院 助教院 齋藤 真人

共同研究者
コニカミノルタ株式会社ビジネスイノベーションセンター 秋山 博

■要旨
高齢化社会における個人のQOL向上や医療・介護費抑制の観点から、健康寿命を延ばす取り組みが求められている。一方、近年、腸内細菌叢と疾患や健康との関係についての研究が多数報告されるようになり、いわゆる腸活として注目されている。しかし、一般の方々には腸活行動やその応答の実感を得にくく、どうしてよいのかわからないのが実情である。そのような中、我々は迅速にDNA増幅検出を行える独自の遠心熱対流PCR技術を開発してきた。そこで本研究では、高齢者10名の便検体から腸内細菌の検出や菌比率の可視化を試みるとともに、健康意識へのサポートツールとしての可能性を調査した。その結果、摂取物により菌比率の応答変化とそれに伴う便通状態の応答変化を見ることができ、また一連の試験によって一部被験者に行動意欲向上が見られるなど、健康意識へのサポートツールとしての可能性を得ることができた。


(2)令和元年度(2019年度)2年助成
高齢者の咀嚼能力と転倒リスクとの関係に関する検討
研究代表者大阪公立大学 都市健康・スポーツ研究センター 横山 久代

共同研究者
大阪市立大学大学院医学研究科 運動環境生理学 出口 美輪子
大阪市立大学大学院医学研究科 運動環境生理学 戸谷 敦也
大阪公立大学 都市健康・スポーツ研究センター 今井 大喜
大阪公立大学 都市健康・スポーツ研究センター 岡﨑 和伸

■要旨
地域の運動器機能向上プログラムに参加する健常な高齢者を対象に、咀嚼能力と転倒リスクとの関連について検討した。
対象136名(男性33名、女性103名、79.0 ± 5.2(SD)歳)のうち、16.1%に過去1年間における転倒既往があり、48.9%が転倒に対する不安を有していた。全対象において、グミゼリーを用いて測定した咀嚼能力は握力(ρ = 0.226,P = 0.011)、 膝伸展筋力(ρ = 0.232, P = 0.009)と弱い正の相関を示し、咀嚼能力が大きいことは起居動作やバランスが良いことと関連した。ファンクショナルリーチテストに基づく転倒リスクありの群では、なしの群に比べて、咀嚼能力が小さかった(3.8 ± 2.5 vs. 4.7±3.0, P = 0.048)が、転倒リスクの有無を目的変数としたロジスティック回帰分析においては握力のみが有意な説明変数であった。今回、咀嚼能力は筋力などの運動機能ならびに転倒リスクと関連することが明らかとなった。一方で、咀嚼能力は転倒イベントや転倒リスクを予測する独立した寄与因子とはならなかった。


C.分野横断的課題関係
(1)令和2年度(2020年度)1年助成
地域高齢者におけるAI を活用した身体機能と関節変形との関連について―SVM-RFE を用いた外反母趾の要因分析―
研究代表者城西国際大学 准教授 中尾 英俊

共同研究者
大阪河﨑リハビリテーション大学 今岡 真和
大阪河﨑リハビリテーション大学 肥田 光正
大阪河﨑リハビリテーション大学 今井 亮太
大阪河﨑リハビリテーション大学 中村 美沙

■要旨
[目的]外反母趾(Hallux Valgus : HV)の関連要因の重要度を,人工知能のSVM-RFEによる特徴選択を行い調査した。
[方法]対象は18歳以上の864名(男性353名)の横断調査を行った。外反母趾の判定にManchester Scaleの合計4点以上を「HVあり」とした。アンケート調査は自記式とし,項目は年齢,性別,身長,体重と足部の既往歴,疼痛,運動習慣の有無を確認した。これらの項目がHVと関連するかSVM-RFEによる解析を行った。[結果]SVM-RFEの10分割交差検証の 結果,特徴量の選択回数は年齢10回,性別10回,体重9回となり,これらの項目が外反母趾の関連要因と判定された。HVの性差は女性の24.9%に対し,男性は7.6%となり,女性が有意に高値を示し,年代別では20歳代,40歳代,50歳代において女性の割合が多くなった。
[結語]SVM-RFEによる特徴選択の年代および性別において有効な結果が示唆された。


(2)令和元年度(2019年度)2年助成
多世代多業種交流に向けた高齢者にもやさしい公共図書館の
環境改善に向けた実践研究
研究代表者大阪大学大学院工学研究科 松原 茂樹

共同研究者
関西多世代交流と地域共生のための図書館プロジェクト

■要旨
誰もがいつでも気軽に訪れることができる図書館にこそ今後地域包括ケアシステムの深化に向けた地域資源としての大きな役割を持つ可能性がある。そこで本研究はさまざまな団体や地域住民も参加して公共図書館での環境についてハード・ソフトの両面から図書館の現状の評価を行い、その評価方法を確立した上で公共図書館の環境改善に向けた実践を行う。ある図書館を対象に多職種の参加によるキャプション評価を実施した結果、COVID-19感染拡大予防対策および通常時の図書館の課題を下記に示す。これらの指摘を受けて図書館では環境改善を実践した。
 1) 出入り口・カウンターは多くの機能を担っているため感染拡大予防対策に苦慮する面があり、
    ゆとりのある空間にする。
 2) 情報提示について、通常の掲示物とCOVID-19感染拡大予防対策に関する情報の掲示物が明確に
    区別できるようにする。
 3) 通常時の衛生対策として靴を脱ぐエリアと靴を履くエリアを混在しないよう明確に分ける必要がある。
 4) 通常時でも視覚障害者だけでなく高齢者も見にくいサインの見直しが必要である。


D.福祉現場の創意工夫関係
(1)令和2年度(2020年度)1年助成
滋賀県の介護保険施設におけるノーリフティングケアの実態と実践効果の検証―客観的指標を用いた実証分析―
研究代表者
 日本福祉大学健康科学部 リハビリテーション学科 介護学専攻 講師 冨田川 智志

共同研究者
Human Works 代表 岩倉 浩司

■要旨
腰痛の発生はPresenteeismやAbsenteeismを招き、労働生産性損失コストにも大きく影響する。介護・看護労働者の腰痛予防対策として国際的に推奨されている方法は「ノーリフティングケア(NLC)」である。しかし、日本におけるNLC実践状況は一部の調査のみのため、詳細は不明である。また、NLCを実践している介護労働者の勤務全体を捉えた身体負担について、客観的指標を用いて評価した研究は皆無である。そこで本研究では、滋賀県の介護保険施設におけるNLC実践に関する実態調査と、NLCを実践している介護労働者の勤務全体の身体負担状況について客観的指標を用いて調査した。
調査の結果、NLC実践の推進が図れるか否かは、組織全体として安全衛生管理・指導体制を構築できるかどうかに左右される可能性が示唆された。また、介護労働者の身体負担を効果的に軽減させるには、人間工学的視点に基づいて用具/機器を使用するとともに、不良姿勢の頻度を減らすこと、これらを組織全体として徹底することが重要であることが強調された。
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