居住実験の場
居住実験の場として
未来を試せる集合住宅、NEXT21では、5~10年先の居住環境や設備の在り方を見据え、最先端の住宅で住まい手たちはどのような生活を送るのかを検証・提案するために、実際に社員家族が居住し、さまざまな実験を行ってきました。
これまでは5~6年を1フェーズとし、フェーズごとに「住まい・住まい方実験」「エネルギー実験」「商品開発に向けた試作機評価」の3つの面からさまざまな実験を行ってきました。
現在の主な実験(第6フェーズ)
第6フェーズコンセプト
まちで集まって
住む意味を再定義する
~人・自然・地域のかかわりが生み出す、暮らしとエネルギーのリジェネラティブデザインへの挑戦〜
再生可能エネルギー利用拡大や省エネルギー向上のためのエネルギー設備・マネジメント、居住者の行動変容
住戸内の温熱・通風環境変化や居住者の環境適応を考慮した省エネ・快適ガイダンス
住戸内の温熱環境や住宅・設備性能等に基づく居住者の健康・快適性
構想・試作段階のガス機器の効用や受容性
「入浴」や「食」の価値向上に関する調査・効果
IoT機器・システムの機能や使い方、生活スタイルへの影響・効果
住戸解体時の廃材等を改修に再利用するサーキュラーデザインとそれによる環境負荷(CO2、廃棄物)軽減
多様化する家族のライフスタイル・課題に対応する住宅計画・住まい方
住戸の内と外の中間領域(季節・ライフスタイル等に応じた活動や温熱環境緩衝の場)を活用した住まい方
集合住宅における居住者や地域のコミュニティ活動の形成・運営手法
今までの実験
これまでの主な実験の一覧です。
| フェーズ | 時期 | 住まい・ 住まい方実験 |
エネルギー実験 | 商品化に向けた 試作機評価 |
|---|---|---|---|---|
| 第1フェーズ | 1994.4~1999.3(5年) |
外壁移動実験 緑化による野鳥飛来効果 |
セントラル熱源実証 |
36種類の機器・技術の試作機評価 |
| 第2フェーズ | 2000.4~2005.3(5年) |
リフォーム実験(住戸分割・等) ホームオフィス実験 |
住棟コージェネレーションの実証 見える化による省エネ効果 |
世界初! 家庭用PEFCの実証 |
| 第3フェーズ | 2007.4~2012.3(5年) |
住み継げる住戸設計 地域とのコミュニケーション形成実験 |
電力・熱の融通実験 |
国内初! 家庭用SOFCの実証 |
| 第4フェーズ | 2013.6~2020.3(7年) |
住戸での中間領域の使い方実証 コンペ住戸の実施(404住戸・501住戸) |
停電時自立実験 HEMS導入 |
エネファーム逆潮評価 3電池システム評価 |
| 第5フェーズ | 2020.4~2025.3(5年) |
住戸での中間領域の使い方実証 多様な共同生活を実現する住まいの実験 多彩な単身世帯の実験 |
蓄電池システムの評価 EVを用いたカーシェア・エネマネ等のマルチユースサービス実験 |
過去の居住実験の報告書
第5フェーズ居住実験報告(準備中)
第4フェーズ中間報告会のプレゼンデータ(居住実験報告の部分のみ) 第4フェーズ居住実験報告 第3フェーズ居住実験報告 第2フェーズ居住実験報告 第1フェーズ居住実験報告住まい・住まい方実験
NEXT21では、これからの日本が抱えるであろう少子高齢化やライフスタイルの多様化といった、さまざまな課題の解決に向けた住戸を検討し、実際にその間取りを作り、住まうことで評価を行う居住実験を行っています。
住戸のコンセプトに合わせて、住まい手を選定
各々の住戸は、個別のコンセプトをもとに設計しています。
住戸に住まう住まい手の選定には、まず希望者を募り、応募した社員家族の中から、住戸のコンセプトと家族構成やライフスタイルが近い家族を選定。十数世帯が5~6年の居住期間で実験に参加しています。
中間領域のある住戸の
実態分析
中間領域とは、戸建住宅の縁側や土間のように、外部空間と内部空間の中間のことを指します。ここは公的空間と私的空間の中間でもある領域です。外部の自然や、人とのかかわりの場としてライフスタイルに応じた種々の活動の場になり、温熱環境のバッファーゾーンにもなります。
一部の住戸を除き、NEXT21の各住戸は特徴的な中間領域を有しています。また、立体街路の住戸に隣接する部分も中間領域と位置付けられています。
NEXT21の中間領域
住戸周りの「中間領域」
「立体街路」の住戸隣接部分
多様で複合的な機能※を持つ生活空間としての共用の廊下や階段
※ 住戸との結合性、公共性、経路の選択性、回遊性、開放性
中間領域の意義(住戸周り)
外の快適性を取り入れる
季節感を楽しむ
空調効率を上げる・空調日を減らす
外部空間の行為を取り入れる
住まい・暮らしの実験では、住戸を共有部に開き、人と人とのつながりを創出する取り組みとして子どもたちが集まる塾や料理教室のスペースを設置し、空間の使われ方を調整しました。
実際に、中間領域のある住戸でイベントを開催。中間領域があることで人の動きがどのようになるかを観察し、その効果を確認しました。
エネルギー実験
常に一歩先のエネルギーシステムを考え、実際に住棟内に最新鋭の設備を導入。省エネ性や環境性のほか、施工性なども確認してきました。
ウェルネスZEH
(503住戸にて実施:2020年3月全面改修)
ガスで実現する究極の省エネ・創エネ性と、健康・快適性を両立した住戸を目指して改修しました。5年間の居住実験を行い、現在は見学住戸となっています。5年間の居住実験期間のエネルギー消費と温熱環境について、季節やライフスタイルの変化(コロナ禍の影響)の視点で分析を進めています。
503住戸にて実施
省エネ性
断熱性能:UA値=0.2W/(㎡・K)、BEI=0.39と、太陽光発電と最新型エネファームによるZEHの達成
健康・快適性
冬季室温18℃以上、室間温度差3℃以内
気流感のない放射冷暖房
自然通風や採光、無垢材の適度な採用
省エネ性を追求しつつも、南北の開口部からの自然通風や採光を適度に採用することで、自然と溶け合いながら生活を送る楽しさを住まい手に提供。快適性と省エネ性の両立を、ガスシステムで実現する住戸を作りました。
集合住宅でのZEHを実現するため、共用廊下の手すり部分には太陽光発電パネル(3.6kW)を採用し、発電効率55%の最新型のエネファーム(SOFC)とのダブル発電によりZEHを達成しました。またBEI=0.39の省エネ住宅です。
72時間自立への対応(2020年3月設備改修)
増え続ける台風等による自然災害に備えて、停電、断水時も罹災後72時間に渡って自立できる住棟のシステムを構築しました。
停電対応ジェネライトが各住戸へ最大500W/戸の電気を供給し、各住戸のエネファーム発電700Wと合わせて、最大1200Wの電気を家中のコンセントで使用できます。
電力供給だけでなく、断水にも対応。各住戸に水を供給するため上水・中水ポンプに電気を送り、停電時でも集合住宅でお風呂に入ることができます。また、高齢者や幼児等の災害弱者のために、一部の共用部にはガス空調による冷暖房を完備しています。
ガス供給が継続すれば、永続的に自立可能ですが、断水時は上水槽の容量によるため、72時間は自立できます。
長期化する災害を想定した備え
災害の長期化により、上・中水槽の水を使い切った場合を想定し、飲食料の備蓄や、煮炊き用のかまどベンチ、マンホールトイレを整備し(屋外)、災害時の健康・衛生面の維持を目指しました。
加えて、大阪市防災強化マンション認定基準の備蓄の他、毛布やトイレットペーパー等も共用部に備えています(共用倉庫)。
【認定基準とNEXT21での備蓄数量】18住戸×3.5人/戸と想定
| 物品 | 認定基準 | 数量 |
|---|---|---|
| 飲料水 | 戸数×42L | 数量2L×380本 |
| 食料 | 人数×14食 or 防災かまど | 非常食600食+防災かまど(燃料含む) |
| トイレ | マンホールトイレ | マンホールトイレ |
| 生活用水 | 防災井戸 or 貯留槽 (戸数×112L) | 上水槽12㎥(12KL)+中水槽3.6㎥(3.6KL) |
| 避難場所 | 200㎡以上 | 見学用共用スペース(240㎡) |
| その他 | 救出救助用資材 | 担架や救急箱の他、認定基準通りの備品 |
今までの実験
IT技術の活用
昨今の世の中は、住まい方にIT機器が大きく関わる時代となってきました。NEXT21では一歩先のIoT住宅の在り方を見据えて、住戸へのITシステム導入も進めています。
今までの実験
健康管理IoT住戸(202住戸:2020年3月システム導入、2025年3月検証終了)
健康(バイタル)データは継続的に測定することが大事ですが、子育て家族や高齢者家族の健康管理は難しいもの。
また、測定するために体に機器を装着したり、測定結果を記録したりすることに面倒さを感じる方も少なくありません。
そこでNEXT21では、普通に生活しているだけで体重・体形・体温・睡眠状態などのバイタルデータを住まいが検知し、顔認証システムにより個人ごとに自動で蓄積するシステムの検証を進めています。
体形の変化や発熱といった、普段と異なる状態を検知すると家族にお知らせをしたり、睡眠時の無呼吸状態や転倒を検知した時にはアラームを発報するなど、操作性・センシング精度の向上への取り組みを進めています。
個人ごとのメニュー画面
肌分析・シミ検知画面
肌分析・シミ検知画面
健康データをスマートミラーで確認
検知予定のバイタルデータ
バイタルデータ
体重・体脂肪・BMI・体温・肌状態・体形(3Dアバター表示)
状態検知
無呼吸状態・転倒状態
※入浴時の画像データ等は、数値で管理。住戸外にはデータが出ないのでセキュリティも安心です。
商品化に向けた試作機評価
NEXT21では、特に第1フェーズにおいて、商品化に向けた試作機の導入を各々の住戸にて多数実施。商品化を目指す機器のさらなる機能向上を図るべく、さまざまな実証・評価の場としてNEXT21を活用してきました。
2019年度からは自社製品だけではなく、アライアンス先等の他社製品やシステムの実証の場としても、幅広くご活用いただいています。
フラットコンロ
PEFC
SOFC