504住戸
編み替えの家
住戸コンセプト
和の居住文化の継承・発展
心豊かな住生活と環境配慮の同時的実現を目指し、
最先端の科学技術を追求しつつ、失われつつある環境親和性の高い和の居住文化を再構築する。
現代は地球環境の変化の区切りにあり、地球環境問題解決には科学技術による対応のみならず、人々の暮らし方を見直す必要があると考えられます。和の居住文化は自然環境を前提として受け入れ、人が環境と能動的に関わり調整し、自然とともに暮らすという環境親和性の高いものであります。海外からもそれが評価される一方で、国内では和の居住文化が失われつつあり、住戸空間も元来の開放的なものが密閉空間へと変化しつつあります。今回の改修では、和の居住文化を現代的に再構築し、心豊かな住生活と環境配慮の同時的実現をめざします。
特徴
和の要素を活かし、四季を感じ、
自在なしつらえを可能とする
住空間設計を実現。
建築の特徴
・旧402住戸と旧504住戸から部材を再利用しており、まっさらな新築とは一線を画す、どこか懐かしさを感じる和の住まいになっています。
・吉村篤一氏が設計した旧402住戸と旧504住戸の優れた原設計をうまく取り入れ、現代の暮らしに調和するデザインへと昇華させています。
旧504住戸
旧402住戸
504住戸 編み替えの家
FEATURE01
住空間設計
暮らしのしつらえの自在性、状況に応じたもてなし、多様な起居様式を可能としています。外とつながる風通しのよい大空間(続き間等)の確保、飾りや建具を中心としたしつらえの変更、上座・下座の設定と車座空間の転換で子育て世帯などの若い世代にも住みやすい住戸空間になっています。
60代夫婦、30代子育て家族、20代シェアハウスの生活シナリオを予め想定した住戸設計・想定家族(60代夫婦、30代子育て家族、20代シェアハウス)のいずれにも対応できるフレキシブルなプランです。
一般的なLDKのプランでは、リビングが中心的な居場所として位置付けられることが多いですが、本プランは複数のリビング(広間)が連なり、各個室が隣接する多中心な一室空間を実現しています。
複数のリビングは、それぞれ設えを変えることで、色々な姿勢/活動ができ、好きな場所で思い思いの時間を過ごせます。また、可動建具により一室空間の繋がり方/分節を調整し、外から他者を招き入れることも可能になっています。
1
小あがりは分割・移動が可能、配置をシーンごとに変えられる。
2
北側の広間と個室を繋げた様子。
FEATURE02
パッシブデザイン
環境シミュレーションを活用し、日射取得/日射遮蔽/蓄熱/昼光利用/自然通風/断熱・気密といった自然の力を活用できる計画としています。その上で、空間特性・ライフスタイルに合った高効率な設備システム(エネファーム、床暖房、エアコン、熱交換換気等)、建具・庇・中間領域等の伝統的な和の居住文化を取り入れています。
昼光による室内照度※1
昼光がLDK中央付近まで届いている。
※1 目標照度を日中に達成する時間割合
室内風環境
北東からの卓越風と自然換気で十分な換気が期待できる。
体感温度※2
エアコン2 台で室内全体が十分に空調できる。
※2 気温、湿度、風速、輻射熱、着衣量、代謝量で決まる標準新有効温度 (SET*)
建具・窓・扉の開閉のバリエーションでシミュレーションを行い、間取りや設備計画へ反映。
建具を閉じた場合でも、上部の欄間を開けることで、エアコンによる全室の空調が可能。
FEATURE03
サーキュラーデザイン
既存住戸の材料を可能な限り再利用するとともに、近隣から調達する未利用材等も活用し、改修時の廃棄物量を減らすと同時に、新規に導入する材料も減らします。(エネルギー投入量、CO2排出量の削減になる。)家具・建具・壁・床の取り外しや既存住戸の丁寧解体によって部材を回収し、寸法・重量測定とデータベース化し、どの部材がどこに利用できるかを設計します。また、住戸のテラスに畑をつくり、雨水タンクとコンポストボックスを設置し、堆肥化させた生ごみを畑の土壌改良材として利用する取り組みも行っています。
サーキュラーデザインについて
丁寧解体による部材どりの様子
床、家具の取り外し
壁の切り抜き
解体作業の様子
住戸の内装材のデータベース化
収集した近隣の未利用材
地下に保管
データベースを活用した
回収部材の再利用設計
回収部材を建具・家具・壁・床へ再利用
回収部材を地下で再利用用途に加工
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サーキュラーデザインについて
部材の流れ
エネルギー投入量、CO2排出量の評価に先立ち、部材の流れを整理しています。
504住戸内だけでなく、直近で改修をしていた402住戸からも部材を回収し活用しています。
調査・分析結果の概要
丁寧解体作業方法・作業量の分析
・丁寧解体により、回収した部材の約7割が再利用可能。
・丁寧な部材の取り外し・解体に要した時間と同程度の時間を、解体方法の検討・準備、回収部材の計測・運搬、掃除などにも
→??再利用可能な状態に解体する方法を協議する検討時間が必票
??作業時間の割合は、解体>取り外し>検討>掃除
- 建築時に解体・再利用を前提とした設計を行うこと
- 関係者(解体作業員・設計者・発注者)間で十分な協議を行うこと
- 再利用の価値についての認識を広げることが重要
作業別の作業時間の詳細
部材の再利用によるCO2削減効果
・部材を再利用することで、従来の改修方法と比較してO2排出量を約8トン(約47%)削減できた。
・削減効果が大きかった部材は、外壁(鉄骨・鉄筋・パネル)、家具、
鋼製下地(軽量鉄骨)次いで、床材、建具、扉、内装壁、断熱材、設備など。
再利用によるCO2削減効果
住戸計画検討
改修テーマは、社外有識者の方々と大阪ガスからなるワーキンググループで検討しました。
住戸計画の検討は、この6名の先生方にインフィル設計の川島範久先生にも加わっていただき、進めました。
京都美術工芸大学教授
京都大学名誉教授
髙田 光雄氏
東京大学
大学院教授
清家 剛氏
立命館大学
教授
近本 智行氏
集工舎建築都市
デザイン研究所所長
近角 真一氏
追手門学院
大学教授
加茂 みどり氏
大阪公立大学
准教授
土井 脩史氏
サーキュラーデザイン実現に向けた共同研究
部材の再利用を前提とした解体・部材回収時の作業方法、再利用量や環境負荷低減効果等を検証するため、3名の先生方とインフィル設計の川島範久先生、
クラウディング設計の荒川裕樹氏、大阪ガスの共同研究により詳細な記録と分析を実施しました。
東京大学大学院
教授
清家 剛氏
関西学院
大学准教授
金 容善氏
東京電機大学
准教授
磯部 孝行氏
住戸の部材をできるだけ再利用できるように丁寧に解体した状態(左)
504住戸に再利用するため、地下の設備室に一時保管されている部材(右)
504住戸の動画
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504住戸改修 竣工報告会
504住戸改修の竣工報告会の動画です。
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設計者の想い
時間も、素材も、資源にする
川島範久建築設計事務所
川島 範久 氏
32年の時間を重ねたこの住戸と向き合い、光・風・素材、そして解体で生まれた既存の部材までも資源として捉え直しながら、多様な暮らしに応える空間へと編み替えました。家族それぞれが思い思いの場所で過ごしながら、互いの気配を感じられる共有空間を目指しています。建具を動かし、窓を開け、積極的に触れるほど、この住まいは住む人の身体の一部になっていきます。手をかけるほどに愛着が育まれる、そんな豊かな暮らしを願っています。
図面
名称
504住戸
編み替えの家
改修年
2026年(全面改修)
広さ
137.81㎡
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