302・303住戸
自在の家〈住戸〉を
超える住まい
住戸コンセプト
共に暮らしたい人たちが、
自在に住める家
5つの室空間が、住む人に合わせて自在に結合・独立し、ある時は一つの大きな家に、ある時は複数の中規模な家に、または5つのワンルームに、あるいは5つの室からなるシェアハウスに、と様々に変幻します。さらに室は、オフィスやサロン、教室、コミュニティスペースなど、広い用途に使うことができます。この家は、住む人に「世帯」か「個人」かを問いません。今、共に暮らしたい人たちが、自在に住める家です。
特徴
5つの室空間が分離・結合。
多様な共同生活を実現します。
建築の特徴
・5つ室空間から成る住まい。自在な組み合わせによる住まいが実現。
・ウチドマが室空間をつなぎ、あるいは柔らかく隔てます。
・ウチドマやダイニングなど、人が集まれる場を創出しています。
・マエニワは風と光を取り入れ、人が訪れやすい雰囲気をつくります。
・建具の工夫や換気用小窓により、住戸内を風が通り抜けます。
・水廻りはウチドマ側からも住戸側からもアプローチでき、様々に共用できます。
FEATURE01
ソトでもあり、
ウチにもなる多様な中間領域
―つなぎ、隔て、
集うウチドマ·人を受け入れ、
バッファーゾーンとなるマエニワ
家を貫く土間空間―ウチドマ―は、人が集まる場となるだけでなく、室をつなぎ、あるいは隔て、ある時は家の中の空間に、ある時は家の外の空間となります。人が訪れやすい場所となるマエニワは、同時に外とのバッファーゾーンとなります。
FEATURE02
建具を通じて風の通り抜ける住まい
建具の工夫により、住まいの中を無尽に風が通り抜け、外の気持ち良さと四季の移ろいを家の中にいながら感じられます。
風だけでなく、視線や音なども含めた環境要素の遮蔽・開放を自在に制御できるよう、工夫した建具を設置しています。ウチドマの建具を閉め、視線を遮っても、スリットから風が通ります。一部の建具は欄間をもち、戸を閉めても風が通ります。勝手口や玄関には換気用の小窓があり、風を取り入れます。立体街路からウチドマに入る建具には、無双式のスリットが入っています。
ほどよくつながる集いあう
ウチドマを介して、5つの室空間は様々に分離・結合し、時には離れ、時には集う、多様な共同生活を実現します。
3つの水回りユニットは、すべてウチドマからアプローチが可能。ハナレの誰がどの水回りを使うのか、自在にルールを設定できます。
入居時
302:小和田さん家族(共働き子育て夫婦)
夫42歳、妻39歳、長男11歳、長女8歳
子どもたちは、隣の坂口さんの子どもたちと一緒にウチドマで宿題やゲームをする。
たまにシッターサービスを利用して、子どもの夕食を作ってもらう。
303West:坂口さん家族(在宅勤務・専業主婦の子育て夫婦)
夫48歳、妻41歳、長女16歳、次女12歳
ウチドマは夫の打ち合わせスペースとなる。
303East:賀久さん(単身・坂口家の奥さんの母)
ひとり暮らし72歳
絵画が趣味で、リビングをアトリエとしても使用、アトリエやウチドマで、友人や子どもたちに絵を教える。
303Westと303Eastのウチドマは、坂口さん家族と賀久さんの共用となっている。
15年後
302:小和田さん家族(エンプティネスト夫婦)
夫57歳、妻54歳
子どもたちは家を出ている。夫は書斎をオフィスとし、妻はサロンを開いている。
303West:坂口さん家族(エンプティネスト夫婦)
夫63歳、妻56歳
子どもたちは家を出ている。夫は退職し、ハナレはシェアハウスの次女の友人に貸す。
303East:シェアハウス(坂口家の次女を含む単身3名)
坂口家次女27歳、友人A男27歳、友人B女26歳
坂口家の次女の友人AとBが303Westのハナレを借り、303Eastの水廻りを共用で使うシェアハウス。
302のウチドマはオフィスの打ち合わせコーナーを兼ねた半パブリックな空間。
303West・303Eastのウチドマは、坂口さんとシェアハウスの共有となっている。
30年後
302:小和田さん家族(エンプティネスト夫婦)
夫72歳、妻69歳
夫は退職し、妻もサロンは閉めている。
ハナレは坂口家の孫に貸している。
303West:坂口さん長女家族(共働き子育て夫婦)
夫50歳、長女46歳、孫(女)16歳、孫(男)14歳
夫婦は早期に施設入所を決め、長女夫婦が戻ってくる。
302ハナレを子ども室として借り、303Westハナレは半分を次女家族に貸している。
303East:坂口さん次女家族(共働き子育て夫婦)
夫45歳、次女42歳、孫(女)12歳
303Westと2・303West・303Eastのウチドマは、みんなの共用となっている。
45年後
302:小和田さん家族(エンプティネスト・高齢夫婦)
夫87歳、妻84歳
夫は要介護となり、ハナレの寝室で介護サービスを受ける。
ハナレの半分は下宿人Aに貸している。
303West:坂口さん長女家族(共働き子育て夫婦)
夫65歳、長女61歳
子どもたちは家を出ている。ハナレは下宿人B・Cに貸している。
303East:坂口さん次女家族(共働き子育て夫婦)
夫60歳、次女57歳
子どもたちは家を出ている。
302・303West・303Eastのウチドマは、半パブリックな空間となっている。
住戸計画検討
住戸計画は、社外有識者の方々と大阪ガスからなるワーキンググループで検討しました。
ワーキンググループには、下記の先生方にご参画・ご協力いただきました。
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京都美術工芸大学教授
京都大学名誉教授髙田 光雄氏
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東京大学
教授清家 剛氏
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立命館大学
教授近本 智行氏
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集工舎建築都市
デザイン研究所所長近角 真一氏
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工学院大学教授
設計組織ADH木下庸子氏
設計者の想い
住まいに蘇る柔軟性と自在性
設計組織ADH
木下 庸子 氏、渡辺 真理 氏
私たちの暮らしとその受け皿である住まいはしばらく前まではもっと柔軟性を持っていたのではないでしょうか?家と家の間のロジは井戸端会議の場所でしたし、こどもたちはエンガワから隣家に遠慮なく入り込んだものです。それがいつの間にか「プライバシー」という金科玉条の下で、入口ドアから中には他者が入りにくい硬直化した住まいとなってしまいました。302、303の2つの住戸を5つの室空間とウチドマ、マエニワに再編成することで、住まい方に合わせて自在に空間構成が可能な住まいを提案しました。
図面
名称
302・303住戸
自在の家〈住戸〉を超える住まい
改修年
2022年10月
広さ
302:105.17m²
303W:85.76m²
303E:56.92m²
計247.85m²
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