2023年11月20日(月)
ホンダ熊本との打撃戦を制し、優勝!
両チーム5試合目と投手陣に疲れが見え、打撃戦となった。大阪ガスは2回に2点を先制するも、先発、大宮投手がホンダ熊本の三番・稲垣翔太選手の3ランホームランを浴びる。5得点で逆転した直後の4回にも2点を返され、この回で降板。2人目、宮本投手は6回に1点を献上するも3イニングを4安打に抑え、7回は2三振を奪う好投を見せた。2点差と予断を許さない展開の中、前田孝介監督が最後のマウンドを託したのは、エース、稲垣投手だった。今大会4試合目の登板、前日8イニングを投げての連投となったが、期待に応えて6安打を浴びながら1失点に抑える持ち味の粘りを披露した。
打線は、逆転された直後の3回に六番・山川晃汰選手のバットを折りながらもセカンドの頭を越す執念のタイムリーで同点に追いくと、これまで無安打だった九番・高橋佑八選手の2点タイムリーヒットなどで5得点とビックイニングをつくった。高橋選手は、この試合で2本のタイムリーで3打点と打撃でも活躍した。 勝負の分かれ目は8回の攻防。8対6と2点リードの状況でこの回からマウンドに上がった稲垣投手は、3連打を浴び1失点するも同点を許さなかった。その粘りに打線が応えた。裏の攻撃で2アウト1、3塁のチャンスに、三井選手が追加点を挙げ、再び2点差とし、そのまま勝利。大阪ガスは、2大会ぶり3度目の優勝を手にした。 最高殊勲選手賞には、稲垣投手、首位打者賞には三井選手が獲得した。また、優秀選手として、稲垣、大宮、高橋、花本、峰下、?波、清水、三井選手らが選ばれた。
■夏の屈辱を越え、新生チームが “惟一心”を体現
今夏、6年振りに都市対抗予選敗退という屈辱を味わった。「やってはいけないことをやってしまった」。選手たちは口を揃えてこう言った。しかし、エース不在、繋がりのない打線では当然の結果だったと前田監督は振り返る。このままでは勝てない。ベテラン、若手関係なく、フラットな状態に戻しチームを再生する夏がスタートした。そんな中で台頭してきたのが、稲垣、大宮の両投手だ。「エースの席が空いているぞ。誰が名乗りをあげるのか」と競わせる中で結果を残しアピールしてきた。「劣勢で踏ん張る投手がいるチームは強い」と話す前田監督が待っていた、「1点もやれない状況で、『絶対に抑えてみせる』という使命感を持つ投手」だと評す。「練習の取組み方や人間性で野手陣からの信頼は厚い。」とも。過去の優勝で、温水賀一投手が、阪本大樹投手が、河野佳投手(現広島)が、と常に大黒柱が存在したように、稲垣、大宮投手らエース格の登場が、優勝への言動力となった。
前田監督の談話
6月10日に都市対抗予選敗退。打てない打線、通用する投手不在というチームの姿から、この日を誰が想像していたでしょう。それも苦しい夏の日の練習を乗り越え、チームの膿を出し、自らが変わろうとした選手たちの功績です。よくやってくれました。特に、稲垣、大宮です。2人で行くと決めていながらも、あそこまで投げ切ってくれるとは。監督としても感心するばかりの働きに、頭が下がる思いです。
連日の大応援、ありがとうございました。社会人野球チームとして、我々は会社あっての野球部です。勝つことは当然ながら、みなさまに応援し続けられる野球部でありたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。
公家主将、峰下選手の談話
都市対抗出場を逃したことを、主将として非常に責任を感じていたので、今回の優勝は、思っていた以上に嬉しいです。責任とプレッシャーがかかっていただけに感極まり、最終回に1アウトとったあたりから涙が込み上げてきていました。マウンドへ駆け上がるときは、もう前が見えませんでした(笑) レギュラーでない僕が、主将としてチームを立て直すのは迷いや遠慮もあって至難の業でしたが、これで報われました。メンバーに感謝したいです。 みなさまの応援のおかげで優勝できました。特にチャンス時でのより一層の声援は、どれほど力になったか知れません。良い報告ができ、本当に嬉しいです。ありがとうございました。
■走攻守で優勝へ貢献、最年長の峰下智弘選手
優勝できて嬉しいです! 日本一を目指してはいましたが、正直、出来過ぎです。大会前から稲垣や大宮を中心のチーム作りをしてきたわけですが、本戦中も野手陣が守りやすいように投げてくれ、頼もしかったですね。 この優勝は、都市対抗予選敗退の悔しさが原動力ですが、一度味わった悔しさを忘れず、常勝チームとなるために勝っても反省できるチームにしていきたいです。 相手が萎縮するほどの大声援は力強かったです。ありがとうございました。来年はもっと強いチームをつくります。僕たちの励みにもなりますので、これを機に予選にもご来場いただけると、選手は喜びます。よろしくお願いいたします。
清水選手、山川選手の談話
この嬉しさは…嬉しすぎて言葉が見つかりません。チームを引っ張らないといけない立場での優勝ですから、前回の優勝とは一味も二味も違います。今大会では、声も張り上げ、プレーでもチームを引っ張ろうと全力を出しました。打って走って点を取ってこその選手として、何とか良い働きができたと思っています。
連日、スタンドからの大声援に鳥肌が立ちましたし、ものすごく力になりました。感謝しています。ありがとうございました。
■逆転された後の3回に同点打を放った山川選手
2試合無安打が続いていたので、ホッとしました。(同点タイムリーの打席は)バットが折れてもいいから、初球からフルスイングしようと決めていました。東芝戦でのタイムリーヒットもそうでしたが、思い切って振ったからこそセカンドの頭を超えたと思います。持ち味のスイングができました。ヒット数は少なかったけれど、大事なところで打てたので自信につながりました。全試合スタメン出場での今回の優勝なので、喜びを噛みしています。
応援してくださったみなさまのおかげで優勝できました。気を緩めず2連覇を目指して明日から頑張りますので、引き続き応援よろしくお願いします。
稲垣投手、大宮投手の談話

野球人生初の日本一に、思わずマウンド上で雄叫びを上げて喜びを爆発させてしまいました。普段は勝利しても感情を表しませんが、日本一という格別な勝利が僕をそうさせたんですね(笑) 正直、疲れはありましたが、今日ももちろん、行くつもりでした。戦前から打ち合いを予想していたので、終盤という大事な場面での登板は、とにかく最後に1点でも上回っていればそれでよし、と失点よりも勝つことを意識しマウンドに立ちました。あとは絶対に同点にはさせないという強い気持ちで腕を振り続けました。 ここまで投げられたのは、打撃陣の援護のおかげ。あとは期待に応えようと気持ちを込めて投げただけでしたが、自信のついた大会となりました。 来年は、都市対抗にも出場して日本一を目指したいと思います。今後とも応援よろしくお願いします。
■稲垣投手とともに投手陣を支えた、大宮隆寛投手
決勝での先発マウンドを託されたのはとても光栄なこと。ここまで来たら、疲労がどうのと言っている場合じゃなく、とにかく託された喜びを楽しさにかえて投げるだけでした。強力打線のHonda熊本さんは強力打線のチームとはいえ、抑えきれなかった点は反省ですね。 今大会、公式戦で初先発し完投できたことは自信になりましたが、もっともっとレベルアップが必要と実感しました。落ちるボールやスライダーの精度を上げるために冬場にしっかり鍛え直して、来季は、僕が“大阪ガスのエース”と呼ばれるように頑張ります。 大観衆の声援がいつも以上の力を出させてくれました。みなさまあっての優勝です。心から感謝しています。