
2021年07月12日(月)
打者10人の猛攻で一挙6得点!8回コールド勝ち!

打者10人の猛攻で一挙6得点!
8回コールド勝ち!
0対0で迎えた5回、先頭打者五番 三井選手のソロホームランで先制すると、六番 清水選手が3ベースヒットと続き、七番 古川選手へのフォアボールとなった球がワイルドピッチとなり生還。さらにヒットや守備の乱れで満塁とすると、二番 児玉選手の走者一掃の3ベースヒットで一挙6得点。その後も着々と追加点をあげ、8回コールドゲームと快勝した。
西部ガスの先発村田投手は、エース。サイドから繰り出される球は、ストレートは140キロ後半をマークし、変化球にもキレがあった。4回までヒットはわずかに2本。均衡を破ったのは5回、三井選手の一振りだった。アウトコースのストレートが少し甘く入ってきたところを見逃さなかった。全国大会ともなると、ピッチャーの制球力は高い。チャンスはそうそう作れない。それだけに三井選手のホームランがチームを活気づいたのは言うまでもない。
試合を決定づけたのは、児玉選手の1死満塁から走者一掃のタイムリー3ベースヒット。福岡出身の児玉選手にとって西部ガスは、大学時代にオープン戦で戦ってきた相手。「より一層、負けたくない、という思いで戦った」からこその快音だったのかもしれない。
初戦に続く河野投手の好投も大きい。初回のバント処理など、守備面の上手さも見せた。守備と言えば、西部ガスの盗塁を2度阻止し先制を許さず、また5回表、1死ランナー一塁の場面では、次打者の打球がセンターへ抜けそうな当たりを峰下選手が難なくダブルプレーにし、ビッグイニングへ繋がる流れをつくった。前田監督が提唱する「守備から勝つ」。まさに、その通りの野球で勝利を掴んだ。
前田監督の談話
「相手ピッチャーの調子を見ていると5回まで無得点を覚悟していた。6,7回あたりに攻略して何とか2,3点奪いたいと思っていたが、まさかあそこまでやるとは。今日も三井の1本がチームを元気づけた。それに加えて清水が放った3ベース、あれがかなりのダメージを与えたと思う。ホームラン直後であんな大きな当たりをされるときついだろう。2点目が古川への暴投であっさり奪えたのは、清水のヒットが大いに影響しているはず。あのイニングで、向こうは緊張の糸が切れたように見えた。それにしても三井は、二試合とも先制点をたたき出すわ、7回にも2打点あげるわと、神かかっているね(笑)一番に室屋を起用したのは、ずっと調子が良かったから。積極的なバッティングを見せる、一番打者タイプ。1打席目のヒットはアウトにこそなったが、二塁を陥れようとした積極的な走塁が良かった。ナイスプレー。ああいうところが、本人にしては珍しく試合前はかなり緊張していたようだが、1本出て今後は力抜いて打席に立てるでしょう。
忘れてはならないのが、河野の好投。先発としての仕事をしっかりやってくれたからビッグイニングが生まれた。今日は、球速が150キロ出ていたし、何といっても無駄なフォアボールがないのがいい。初回の一番打者にヒット打たれた後のバント処理も落ち着いていた。顔色、振舞いなどを見ていると、初戦の完封でよほど自信を得たのだろう、余裕を感じるね。頼もしくなってきた。
準々決勝ともなると互いにデータがある。その中で、いかに自分たちの野球ができるかにかかってくる。今日のように選手同士が良い物を出し合って勝ちに行けたらいい」
好投の陰に、好リードあり。投手陣を支える鳥飼選手
初戦に続く河野投手の好投に加え、2回戦では宮本、中谷投手も登板、いずれも安定したピッチングを披露。それを支えているのが鳥飼選手だ。
河野投手については「大会に入って全体的に調子がいい。とにかく逃げずに投げ切ってくれるのがいい」と話す。そんな河野投手をどうリードしているのかといえば「一回戦はカットボールを中心に組み立てたが、データが拾われているだろうということとドームに移ったので、7割くらいストレートで」攻めた。ドームだとボール速く見え、高めが伸びて見えるため、河野投手の武器であるストレートが生きてくるのだという。
投手の長所を引き出すのはキャッチャーの役目だが、鳥飼選手は「河野は自分で配球を考えたがるタイプ。それだけに、本人が投げたいボールと、実際に今日一番調子のいいボールとはズレが出ます。なので、大会前に『僕のサインに首を振るな』と伝えました。良いピッチングをさせるから、と」。その分、コミュニケーションはしっかりとる。実際、ベンチに帰ってきて会話している姿をよく目にする。「今のサインは僕がどういう意図で出したのかとか、他にもカウント3−2でフォアボールでもOKという場面で投げたボールについて、『投げ切ったのか、それとも、カウントを取りにきたのか』といったことを確認しています」。
練習では、ブルペンで受ける一球ごとに口うるさくピッチャーにアドバイスするという。「試合のときくらい、気持ちよく投げさせてあげないと(笑)」
これからさらに厳しい戦いが待っている。「ベスト8までくるチームはどこも強打者揃い。140キロ後半で投げても軽く外野まで持っていかれます。逃げたら勝てないので、強気なリードで攻めます」。優勝するにはあと3勝。勝ち上がるためには、鳥飼選手のリードもカギとなりそうだ。
走者一掃の3ベースヒット ビッグイニングの立役者、児玉選手
5回に走者一掃の3ベースヒットを放ち、試合を決定づけた。打った球は、インコースのストレート。「1,2打席とも、同じ球で詰まらされていたので、3打席目でも、最後はここに決めにくると思いました」。
1アウト満塁。ダブルプレーになるよりも三振の方がまだ良いと割り切って打席に立った。ボールが当たった瞬間、「外野までは持って行こう」という思いで振り抜いた。打った瞬間、「(当たりが)大きいという手応えよりも、外野まで届け!」と祈るような気持ちだったという。レフトの頭を越える長打となった。
日頃は大舞台でも緊張しないタイプなのに、今大会前はさすがに緊張していたという。いい場面で打点を上げられ、「これでホッとした」と話す。 5打席目にも10点目のタイムリーを放ち、バッティングが目立つが、児玉選手の持ち味は何といっても守備力。打球処理の安定感はもちろんのこと、初回の相手ランナーの二盗を阻止した場面では、二塁ベースに入らないそぶりを見せランナーを油断させておいて、スルスルとベースカバーに入る上手さを見せた。そんな好守にも注目したい。
打撃絶好調!の三井選手
今日も三井選手の一振りで先制した。しかも今回はホームラン。低めの弾道が糸を引くようにセンター方向へグングン伸び、バックスクリーンへ吸い込まれた。「長打が打てる練習を積んできたので」と、まんざらでもない様子。ホームランの前の一打席目は、球速、キレともに抜群だったと振り返る。それだけに、「甘い球が来たら、ひと振りで仕留めないと」と思いながら打席に立ったという。打撃好調の要因は、割り切りの良さ。「トーナメントは、勢いが大事。全球を打とうと思えば自分らしいバッティングができなくなる。いかに狙い球を定めて割り切れるか」と話す。狙い球への根拠を見つけるための相手投手の研究を欠かさない。
これだけの活躍、マークが一層厳しくなるのは必至。「厳しく攻められる中で、どれだけ自分が保てるかだと思います」と、覚悟はできている。「2試合とも、ヒットを打てば打点がついています。この調子で全試合にタイムリーを打ちたい」と頼もしい宣言も飛び出した。