
第46回社会人野球日本選手権大会が、6月29日から始まります。前回大会優勝チームである大阪ガス硬式野球部は、二連覇を賭けて戦います。
一回戦がほっともっとフィールド神戸で行われ(二回戦以降、京セラドーム大阪)、大会期間中には数日間のインターバルが設けられるなど、例年にない変則的な日程の中、どのように勝ち進んでいってくれるでしょうか。今年、橋口前監督に変わって就任した前田孝介監督に、新チームについてお聞きしました。
JABA大会を通じて投手陣に新たな軸に手応え
2015年都市対抗準優勝では酒居、2018年都市対抗優勝時は温水、2019年日本選手権優勝は阪本というように、必ず軸になるピッチャーがいた。エースは好成績を残すには欠かせない存在でしょう。今年は、3年目の秋山、2年目の河野がだいぶ仕上がってきているのが楽しみなところ。
秋山は、昨年、ケガで公式戦登板はゼロでしたが、今年はJABA大会の岡山、京都、北海道で防御率が0点代の安定したピッチングをしてくれた。変化球にキレがあり、140キロ前半のストレートを数字以上に速く見せる術が備わってきている。
河野は速球が魅力。一年目の昨年は、新型コロナの影響で公式戦が次々と中止となり、十分な実戦経験が踏めていない中、よく投げてくれています。落ち着いたマウンドさばきは、高校時代から注目されていたとはいえ、凄いこと。自分の投球スタイルをいろいろ試しながら、投げるごとに良さが出るし、また、吸収もしていて成長を感じる。
あとは、実績十分のエース阪本が実力通り投げてくれるか。日本選手権では、この3人が軸になるのは間違いない。彼らを中心に、状況に応じてベテラン勢をうまく起用したい。
野手は末包を中心に、ベテラン若手が機能しそう
野手でキーになるのは、四番の末包。3年目となり自覚も出てきているし、チームの核となる、真の四番として成長を遂げて欲しい。4打席の中で、一番欲しいときに1本が出る、そんな四番となってくれることを期待している。
新人も頑張っている。スラッガーの三井にも、末包とともにクリーンナップを担ってくれているし、JABA大会で一番を任せた吉澤の積極的なバッティングもいい。守備のいい児玉には足もあるから、戦略面でも幅が広がるだろう。
若手が台頭しつつある中、ベテラン勢の青栁、峰下らが、走攻守どれをとっても手本を見せてくれている。2人は、準優勝、優勝、優勝の時からずっと第一線を張り続けている凄腕。チームを牽引していることに変わりはない。
ピッチャーを含めた守りを重視が前田流
「守りながら主導権を握る野球を展開したい」
選手たちには、守りの野球をベースにチームづくりをしていきたいと伝えている。ピッチャーを含む守りから主導権を握りたい。打てて三割の打撃とは違い、守備は練習しただけのものが出せる。気持ちは5点取る、だが、全国レベルの相手投手はそうは簡単にさせてくれない。逆説的だが、守りが安定するから攻撃に集中し得点できる。最少失点に抑えて、最後は勝利をモノにしたい。橋口前監督が展開した機動力野球という武器もあるからこそ、守りが大事。全て、堅実な守備があってこそ生きるものだと信じている。
公式戦での反省を踏まえて、日本選手権大会へ調整していく
今季出場した、JABA岡山、京都、北海道大会での戦いを振り返ると、いずれも2勝1敗と予選リーグ敗退したが、投手が崩れた敗戦はない。ほぼイメージした通りの野球ができている。あと1本あればとか、リードを守り切れなかったといったことなど、もちろん反省はある。そういう意味では、得点できるパターンをもう少し工夫していくことは必要。警戒されながらでも、もっと積極的なスチールが必要だっただろう。
いずれにしても、全国レベルのチームと戦えたので、選手各々、日本選手権へ向けてやるべきことは十分理解している。

(撮影のためにマスクを外しています)
日本選手権へ向けて。「惟一心の精神で、もう一度、日本一になろう」
ここ2,3年での優勝実績を見れば、チームも周りも日本一でしか満たされないでしょう。ただ、選手は半数以上入れ替わり、アドバンテージは何もない。自分たちは挑戦者である。5つ勝ち切るにはどうすべきかを常日頃から問いかけ、体力、技術、メンタル全て出しきり、優勝に必要な5試合全て勝ち切ろう、と話している。まさに、「惟一心」の精神です。選手たちは「もう一度日本一になろう」という強い気持ちでやってくれている。良い意味でプライドを持って臨みたい、期待に応えられるように。応援よろしくお願いします。

日本選手権大会を目前に、昨年中止となったため、2年越しの二連覇への目標に向けて、大阪ガス硬式野球部峰下キャプテンに、意気込みと今季のチーム状況について聞きました。
――― 今年のチームはキャプテンからご覧になって、どのようなチームですか
一番の違いは、秋山投手や河野投手といった、昨年まで先発していなかったピッチャーが先発してくれていることですね。大きな大会になればなるほど、ロースコアで競う試合が増えてくるので、投手の顔ぶれが多彩になったことは、非常に重要なことだし、心強いです。
また、新人選手が頑張ってくれているので、日本選手権大会でも若い選手が勢いに乗れば、十分優勝も狙えると思っています。
――― ここまでの公式戦での戦い振りや、日本選手権へ向けてのチーム状況はいかがですか
出場した各JABA大会すべてで予選リーグ敗退という結果ですが、内容は、悪くなかったと思います。あとは、接戦をどうモノにできるか。タイブレークまでもつれ込んだ試合が2つありますが、どちらも負けています。いずれの試合も勝っていれば決勝トーナメントへ進出できていただけに、競り勝つだけの力を付けないといけません。
今年の大会はいつもと違い、一回戦の会場がほっともっとフィールド神戸です。内野も全て天然芝であることを頭に入れてプレーする必要があると思っています。
――― 今年から前田監督が新たに就任されました
前田監督が来られた時、はじめに「守り勝つ野球で勝利していく」と宣言されたので、選手個々に守りへの意識は持っていると思います。個人練習での守備練習に割く時間が増えているように感じています。
――― 主将3年目の決意を聞かせてください

(撮影のためにマスクを外しています)
昨年、唯一出場した都市対抗野球大会で、随分な負け方をしたので、今年はきっちりその借りを返せるよう、しっかりチームを引っ張っていきます。
また、周りの方々にも野球の醍醐味を感じていただけるようなプレーをお見せしたいと思います。個人的には飛距離が伸びているので、長打にも期待して欲しいですね。
――― 最後に、日本選手権二連覇に向けての意気込みを聞かせてください
まず、依然として新型コロナが猛威を振るうなか、昨年は中止となった本大会を、今年は開催していただけることをとても有難く思っています。そして社内でいつも野球部を応援してくださっていることに感謝しています。それだけに、スタンドからいつものような大声援がないことは残念ですが、みなさまからの思いを感じ二連覇を成し遂げたいと思いますので、期待していてください!