昨季のニューイヤー駅伝では全体15位、日本人選手のみのチームとしては1位という好成績を残した大阪ガス陸上競技部。今季のニューイヤー駅伝の予選ともなる関西実業団駅伝大会では、大阪ガス新記録で4位となり、見事2年連続でのニューイヤー駅伝出場を決めました。昨年以上の成績が期待されますが、そのポイントを小坂田監督に聞きました。
――― 現在のチーム状況はいかがでしょうか
今年は故障者が少なく、それぞれの選手がほぼ予定通りに調整ができていると思います。辻横新キャプテンが上手くチームをまとめてくれていることもあって、盛り上がりつつあります。
昨年の駅伝出場メンバー全員が今年も残っていて、そのままでも十分戦えると感じていますが、箱根駅伝総合優勝大学のメンバーとして活躍した中村友哉選手、中島怜利選手が入ってきたことで、さらに選手層が厚くなりました。

――― 先日の関西実業団駅伝の結果について、どのようなご感想ですか
直前合宿で体調不良を起こした5区の坂東は苦戦しましたが、全体的には昨年同様、個々の選手が100%に近い力を発揮できたと思います。1区でスローペースなったにも関わらず大阪ガス記録を出せたという事は、それだけ選手たちの実力が上がってきているのだと感じています。長距離選手については、基本的に渡邉コーチに任せていますが、試合当日にピークを持っていけるように日頃から上手く指導してくれている賜物だと思っています。
――― ニューイヤー駅伝でキーになりそうな選手を教えてください
先日の関西実業団駅伝で3区区間賞をとった野中は、今季トラックでも自己新を出すなど、絶好調です。駅伝にはエース級選手が出てくることはとても重要です。彼を中心に、積極的なレースをしてくれれば結果がついてくると思っています。
今季、中村友哉や中島といった箱根駅伝優勝経験者が入社してきましたが、実績があっても先輩選手たちにまだかなわないこともある一方、先輩選手たちは彼らには負けられない意地もあるということで、今、チーム内競争が激しく、とても良い雰囲気で頑張れていると思います。
――― 記録が良かったとなれば、今季のニューイヤー駅伝も期待が持てそうです
多くの方から8位入賞をとの声をいただくことから、期待値が高くなってきていると感じます。大変ありがたいことです。しかし、2区の(唯一、外国人選手の登録が可能である)「インターナショナル区間」においては、過去に日本記録保持選手が外国人選手たちにどんどん抜かれていくことがあったように、かなりの実力差があり、オール日本人チームである我々にとって入賞は至難の業。7人全員が限りなく100%に近い力を出し、それぞれが昨季よりも良いタイムで走ればおのずと上位に入る、という意気込みで臨もうと思っています。もちろん、今季も、テレビ中継で少しでも「大阪ガス」を呼んでもらえるよう頑張ります。
――― 小坂田監督が長距離選手たちに大事にして欲しいことは何ですか
大阪ガス陸上競技部先輩の朝原さんのように、一流選手は、ここ一番という大舞台でプレッシャーをアドレナリンに変えて結果を出します。選手たちも期待値が高くなったことでさらにプレッシャーを感じるでしょうが、それをいかにプラスに変えられるかだと思います。
――― プレッシャーをアドレナリンに変えるのは、容易ではありません
私自身もオリンピックという舞台に立たせてもらいましたから、それがどれだけ難しいことか、実感しています。だからこそ、その経験を活かして選手たちに声をかけています。例えば、「試合まで、あと二日」などと本番が近づくにつれ極度に緊張する選手がいます。私は「どおせだったら、最後の最後までガチガチに緊張しとけよ」と声をかけます。「緊張することは決して悪いことじゃないぞ」と。それで結果が出せたら「緊張しても良いんだ」と自信に変えることもできますから。そんな風に、選手個々の性格に合わせて声をかけるようにして、本番で力を発揮できるように持っていってあげられたらと思っています。
駅伝は、チーム競技です。たとえ実力差があっても7人全員が100パーセントの力を出せたら、実力以上の走りになります。一選手は少しタイムを詰めるだけだったとしても、それが7人分となると大きいですから。
――― 最後に、応援して下さっている皆さまへ、メッセージをお願いします
今季のニューイヤー駅伝は、無観客での開催ですが、皆さまの姿は現地になくとも、声援は必ず選手たちのパワーになります。どうぞ、熱いご声援をお願いいたします。