2019年6月18日
国立研究開発法人防災科学技術研究所
大阪ガス株式会社
国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長:林 春男、以下「防災科研」)と
大阪ガス株式会社(代表取締役社長:本荘 武宏、以下「大阪ガス」)は、本日、災害時の情報連携による防災科学技術の水準の向上と災害に強い社会の実現を目指す包括的連携に関する協定を締結しました。
一年前の2018年6月18日に発生した大阪府北部地震において、大阪ガスがインターネットに公開した復旧状況のデジタル地図情報を、防災科研などは災害情報の利活用の研究開発に資するため避難所等の地図情報と重ね合わせて災害対応支援地図を作成しました。作成された地図は災害時に活動する機関同士で共有され、自衛隊等の給水支援や入浴支援等に活用されました(地図作成と情報共有の詳細は別添参考のとおり)。この事例を踏まえ、官民協働での災害時における被害情報、災害情報等の共有および利活用に関する連携協力・研究開発を進めるため、協定を締結しました。
この協定を官民協働での情報共有の礎とし、今後、連携分野をさらに拡大し、防災科学技術の水準の向上と災害に強い社会の実現に貢献していきます。
包括的連携に関する協定の概要 | ||
(名 称) | ||
国立研究開発法人防災科学技術研究所と大阪ガス株式会社の包括的連携に関する協定書 | ||
(目 的) | ||
双方が有する物的資源・情報資源を有効活用することで、研究開発、相互交流及び産学連携等の各面にわたって広く協力し、社会にその成果を還元し、我が国の防災科学技術の水準の向上と災害に強い社会の実現に貢献すること | ||
(連携事項) | ||
・災害時における被害情報等、災害情報の共有・利活用に関すること | ||
・地域貢献及び産学連携に関すること など |
以上
国立研究開発法人防災科学技術研究所
(参考)平成30年大阪府北部地震における情報共有の有効事例
平成30年4月より、防災科研は、災害時に活動する機関同士の情報共有を支援する情報収集・整理のための官民チーム「災害時情報集約支援チーム:ISUT(アイサット)」(内閣府(防災担当))に参画し、毎月訓練を実施していましたが、平成30年6月18日に大阪府北部地震が発生したため、ISUTは初めて、実災害に投入されることとなりました。
ISUTは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が推進するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)で防災科研が中心となって研究開発を進めていた「府省庁連携防災情報共有システム:SIP4D(エスアイピーフォーディー)」を活用し、府省庁、関係機関、自治体、企業等が発信する情報を集約・地図化し、各所に共有することで、災害対応支援を行いました。その際、大阪ガスがインターネットに公開していたガスの復旧状況を示す地図情報を、自治体や他機関の情報と重ね合わせた「災害対応支援地図」を作成し、提供することで、自衛隊等を含む災害対応機関の活動に活用されました。
図:大阪ガスの復旧状況と避難所等の重畳による災害対応支援地図と活用状況
インターネットに公開される情報は文字や表形式であることが多く、他のデータとの統合利用がしづらい状態であるところ、大阪ガスの復旧状況データは他の情報と重畳しやすいデジタル地図形式であったため、効率的に対応できたことが各所で高く評価されました。
このような取り組みが多くの機関・企業に広がり、官民協働での情報共有が本質的に推進されるよう、SIP4Dの和名を「基盤的防災情報流通ネットワーク」とし、今後も研究開発を続けてまいります。
(国立研究開発法人防災科学技術研究所 総合防災情報センター長 臼田裕一郎)
参考情報:
内閣府(防災担当)国と地方・民間の「災害情報ハブ」推進チーム 第6回会合
資料1 「ISUT」の試行的取組の状況と「見える化」のイメージ
Webページはこちら
(P12,13に大阪府北部地震における取り組みが掲載)
内閣府政策統括官 (防災担当) 付参事官 (防災計画担当)「地方公共団体による災害対応の情報面での支援~ISUTによる情報の集約・地図化による状況認識の統一~」、地域防災、2019-4、No.25、pp.8-11。
Webページはこちら
(P10に大阪府北部地震における取り組みが掲載)