令和6年度は、承認いただいた年度計画に基づいた助成を実施しつつ、新たな取り組みとして、生徒/学生間オンライン交流会を開催し、助成先の見直し検討も進めた。また、円建て仕組債のひとつが期限前償還となったことを受け、入替を実施した。
令和7年度も、令和6年度と同様の助成を、関連法令を遵守しつつ実施すると共に、中学生間オンライン交流会の水平展開および相互短期訪問、新規助成先としてスリランカの大学への助成などの実施に取り組み、より高いレベルでの国際親善/相互理解深化への寄与を図る。
一方、昨年の通常国会で議決された公益法人制度改定へ対応する。
以下の(1)〜(4)の助成を計画している(予算総額 約27,881千円)。
(前提為替レート;150円/ドル、9.0円/千ルピア)
①ボンタン地域の小学校、中学校、高校への教育機材助成: 171,500千ルピア
ボンタン地域への教育機材助成は、現地の教育委員会が推薦した内容を確認して行う。
パソコン等IT設備、音響・映像設備、等。
②バンダアチェ地域への図書助成: 77,400千ルピア
ジャンボミンダ財団が運営する図書館・移動図書館に図書および図書館設備を助成する。
③東ティモール国立大学日本語コース立ち上げ支援: 上限1,000千円
令和7年夏に再開を予定している、東ティモール国立大学日本語コースの立上げに要する教育関連機材、書籍等。
①〜④の大学に対して各12,000ドルの試験研究助成を継続し、本理事会での計画承認および評議員会での定款変更承認が得られることを前提として⑤のスリランカ・ワヤンバ大学(当資料最終ページに同大学の概要を記載)への研究助成を開始する。
助成テーマについては、学内委員会によって選考されたテーマの研究計画書を財団で評価して決定する。
①インドネシア大学への試験研究助成: 12,000ドル
②バンドン工科大学への試験研究助成: 12,000ドル
③ボゴール農業大学への試験研究助成: 12,000ドル
④サラワク大学への試験研究助成: 12,000ドル
⑤ワヤンバ大学への試験研究助成: 12,000ドル
以下の学生(総合計317人)に対して奨学金を支給する。
①ボンタン地域の高校・大学の学生: 148,500千ルピア
高校2校・技術専門校1校:125名(75,000ルピア/月・名)
大学2校:20名(150,000ルピア/月・名)
②バンダアチェ地域の小学校・中学校・高校の学生: 105,600千ルピア
65名(平均135,385ルピア/月・名)
③ムラワルマン大学の学生: 108,000千ルピア
45名(200,000ルピア/月・名)
④シャクアラ大学の学生: 108,000千ルピア
30名(300,000ルピア/月・名)
⑤サラワク大学工学部の学生: 26,400ドル
12名(2,200ドル/年・名)
⑥東ティモール大学工学部および同大学院工学部の学生: 15,000ドル
学部生: 10名(500ドル/年・名)*
大学院へ進学する学部生: 5名(1,000ドル/年・名)*
大学院生: 5名(1,000ドル/年・名)*
* 前年度の内容(学部生30名に500ドル/年・名)から内訳を変更。
①インドネシア大学大学院生の日本語短期研修への助成: 1,600千円
インドネシア大学日本地域研究学科から大学院生2名を招聘し、独立行政法人 国際交流基金 関西国際センターで日本語短期研修を実施する。
②サラワク州遠隔地校の教員及び生徒の英語研修への助成: 14,000ドル
マレーシア教育省を通じて、サラワク州の小学校教員ならびに生徒の英語研修に対し、助成する(機材支給を伴う)。
①サラワク州中学校生徒と大阪府中学校生徒の間のウェブ会議
マレーシア教育省ならびに大阪府教育庁等と調整し、サラワク州の中学校の生徒と、近畿地区の中学校の生徒との間で、オンライン交流会の継続的実施を図る。
②助成先の大学と日本の大学の間での学生間オンライン交流会
助成先の大学と日本の大学の間での学生間オンライン交流会の開催を図る。実施済みの英語によるオンライン交流会に加え、日本でインドネシア語/マレーシア語を学ぶ日本人学生と現地で日本語を学ぶインドネシア/マレーシア人の学生との、日本語/現地語でのオンライン交流実施も試みる。
・上述のオンライン交流会がスムーズに継続実施できる見通しとなった場合、本理事会での計画承認および評議員会での定款変更承認が得られることを前提として、交流している日本の生徒による交流先の現地学校短期訪問、交流先の現地学校の生徒による日本の交流先学校短期訪問、等の面対の交流実施を検討する。
・なお、本件に関する費用は、大阪ガス株式会社からの特別出資等から充当する予定。
・財団の活動の価値を、助成を受けた学生/研究者にとっても高めるべく、奨学生/研究者のネットワークを、まずはバンドン工科大学のサポートを得て構築した、WhatsAppというSNSベースの基盤をベースに学生/研究者の参加を働きかける。
・現地での贈呈式や研究発表会に参加し、助成先/助成対象の生徒/学生/研究者との情報交換会を実施する。また、助成先との普段のウェブ会議/電話/メールに加え、日本語研修における留学生との交流なども活用し、助成先と密なコミュニケーションを図ることにより相互理解を深める。
・DaigasグループのSNS/イントラネット、財団のホームページでの発信等により、財団活動を広く一般に周知する。
財務面では、円金利の急な上昇の可能性は低いと考えられ、ドル金利も緩やかに低下していく可能性が高いと見られているが、令和5年度に実施した債券入替の効果により、現状の為替レベルが継続すれば、スリランカ・ワヤンバ大学への助成を追加しても令和7年度収支は若干の赤字に落ち着くと見ている。公益財団法人の黒字については5年程度でバランスを取ることとなったため、黒字が生じた場合には次年度以降での調整を検討する。
一方、円高に転じた等の事由によって収支が悪化し、助成事業の円滑な運営に支障が予想される場合には、必要に応じ助成事業運営資産(特定資産)を取崩した資金や有価証券の買い替えによる売却益を事業費及び管理費に充当する。
また、令和6年度は、大阪ガス株式会社が同社創立120周年を記念して500万円の特別出資をしていただける計画がある。同社は、この特別出資を、当財団の設立趣旨である『国際親善と相互理解の深化』に活用してほしい、との意向を示していることから、2.(6)に記載の、『オンライン交流会に参加されている中学生による相互訪問』を今後5年程度にわたって実施すること等に用いることを考えている。
なお、資産の運用・管理に当たっては、資産運用規程を順守し、資産運用委員会の答申や助言を踏まえながら実施する。
後ほど報告事項2で説明する通り、この4月1日から改定される公益法人制度による財務規律柔軟化、行政手続合理化、自律的ガバナンス充実には、適切に対応する。
以上
(参 考)
令和7年度 支払助成金予算額内訳
助成事業項目 |
助成事業内容 |
現地通貨 |
日本円換算 |
(1)教育機材助成 | ①ボンタン地域の小学校、中学校、高校への教育機材助成 |
171,500千ルピア |
1,544千円 |
②バンダアチェ地域への図書助成 |
77,400千ルピア |
697千円 |
|
小計 | 2,240千円 | ||
(2)試験研究助成 | ①インドネシア大学 |
12,000ドル |
1,800千円 |
②バンドン工科大学 |
12,000ドル |
1,800千円 |
|
③ボゴール農業大学 |
12,000ドル |
1,800千円 |
|
④サラワク大学 |
12,000ドル |
1,800千円 |
|
⑤ワヤンバ大学* |
12,000ドル |
1,800千円 |
|
小計 | 9,000千円 | ||
(3)奨学金支給 | ①ボンタン地域: |
148,500千ルピア |
1,337千円 |
②バンダアチェ地域 |
105,600千ルピア |
950千円 |
|
③ムラワルマン大学 |
108,000千ルピア |
972千円 |
|
④シャクアラ大学 |
108,000千ルピア |
972千円 |
|
⑤サラワク大学 |
26,400ドル |
3,960千円 |
|
⑥東ティモール大学 |
15,000ドル |
2,250千円 |
|
小計 | 10,441千円 | ||
(4)研修助成 | ①インドネシア大学大学院生の日本語短期研修への助成 |
(円貨) |
1,600千円 |
②サラワク州遠隔地校の教員及び生徒研修への助成 |
14,000ドル |
2,100千円 |
|
小計 | 3,700千円 | ||
(5)生徒/学生間 ウェブ会議 |
①助成先国と日本の生徒・学生間ウェブ会議 |
(円貨) |
500千円 |
②サラワク州と大阪の中学生間ウェブ会議/相互短期訪問* |
(円貨) |
1,000千円 |
|
小計 | 1,500千円 | ||
助成金合計 | 23,990千円 |
(予算の前提為替レート:150円/ドル、9.0円/千ルピア)
* ワヤンバ大学への試験研究助成とサラワク州と大阪の中学生相互短期訪問の実施は、評議員会における定款変更承認が前提条件。
(参考)
1.種別
国立大学
2.設立経緯
1991年 北東地域大学の提携校として設立
1996年 ラジャラタ大学の分校となる
1999年 ワヤンバ大学として独立
3.所在地
本拠地:クルネガラ(Kurunegala)県クリヤピティヤ(Kuliyapitiya)市
キャンパス:クリヤピティヤとマカンドゥラ(Makandura)
4.学部
農学及びプランテーション経営学部
農業経営学科、生物技術科、園芸学科、プランテーション経営学科、バイオシステム工学科
応用科学部
コンピュータ/情報システム学科、電子学科、産業経営学科、数理科学科
畜産・漁業・栄養学部
食物科学技術学科、応用栄養学科、家畜・鳥類学科、水生生物学科
経営・財務学部
会計学科、経営学科、金融・財務学科、保険・価値評価学科、英語教育学科
技術学部
建設技術学科、電子工学科、機械・製造技術学科、ナノサイエンス学科
5.学長
トゥレイ・デ・シルバ(Tuley de Silva)氏
6.生徒数/教職員数
生徒:約5,000名
教職員:178名
以上