2022年8月4日
セイリツ工業株式会社
SPACECOOL株式会社
株式会社竹中工務店
大阪ガス株式会社
セイリツ工業株式会社(以下「セイリツ工業」)、SPACECOOL株式会社(以下「SPACECOOL社」)、株式会社竹中工務店(以下「竹中工務店」)および大阪ガス株式会社(以下「大阪ガス」)は、このたび、ゼロエネルギーで冷却できる放射冷却素材「SPACECOOL」を盤表面に貼り付けることで盤内の温度上昇の抑制を実現する暑熱対策屋外分電盤「COOL分電盤」の商品化を決定しました。また、第1号案件として、竹中工務店が施工中の新築物件に採用することが決定しました。今後、省エネルギー(以下「省エネ」)や暑熱への対策として、その導入拡大を進めます。
放射冷却素材「SPACECOOL」は大阪ガスが開発した素材で、太陽光を反射するとともに放射冷却技術の原理により宇宙に熱を逃がす*1ことで、直射日光下においてもエネルギーを用いずに外気温よりも温度低下する素材です。COOL分電盤は、フィルム状の同素材を分電盤の表面に貼り付けた暑熱対策屋外分電盤で、これにより、盤内の温度上昇の抑制が実現し、電子機器の寿命延長や冷却用空調機の使用電力削減による省エネ効果などが期待されます。
分電盤は、電気を配線に分配する装置であるとともに、漏電遮断器などが内蔵され、電気を安全に使用するための安全装置の役割も果たしています。
分電盤に内蔵される電子機器は熱に弱く、盤内が高温になると機能や寿命に影響を与える可能性があります。そのため、従来の屋外分電盤では、盤内に内蔵した冷却機器を用いて盤内の温度が一定以上にならないように冷却するなどの対策を行っています。
近年では、地球温暖化の影響により屋外機器の故障リスクが高まっており、これまで以上の熱対策が求められています。
4社は2021年8月から、COOL分電盤の効果を検証する実証実験*2を実施しており、SPACECOOLを盤表面に張り付けることで、盤内温度が最大約10度下がる*3ことを確認しました。
4社はこのたび、COOL分電盤の商品化を決定し、業務用・産業用分野の幅広いお客さま向けの屋外分電盤として、セイリツ工業がその製造・販売を行います。また、竹中工務店は、同社が手掛ける施設へのCOOL分電盤の導入拡大を目指すほか、省エネや電力のピークカット*4などを目的とし、SPACECOOL社と共同で、SPACECOOLを分電盤以外の用途に展開することも検討します。
4社は今後、COOL分電盤の普及を通じて、サステナブルで低・脱炭素な社会の実現に貢献してまいります。
*1: | 大阪ガス独自の光学制御技術を用い、太陽光の入熱を抑え、熱ふく射(熱せられた物体の熱が電磁波として運ばれる現象)による放熱を大きくした材料設計により実現。熱ふく射の波長を大気の透過率が高い8-13μmに制御することで、熱ふく射は大気に吸収されず、-270℃の宇宙空間に放熱される |
*2: | 2021年8月26日「夢洲万博会場予定地などにおける放射冷却素材SPACECOOLを用いた実証実験の開始 ~多様な企業とのコラボレーションにより省エネ性・快適性などを評価~」で公表済 (Webページはこちら) |
*3: | 大阪市此花区の大阪ガスエネルギー技術研究所にて計測。SPACECOOLを表面に貼り付けた分電盤と、貼り付けていない分電盤の盤内温度の計測結果を比較したところ、最大約10度の温度差を確認 |
*4: | 最も使用電力の多い時間帯の電力の使用量を削減すること |
屋外にCOOL分電盤、従来分電盤、遮熱塗料分電盤、遮光板付分電盤を並べ、内部の温度を計測する実証試験を行いました。内部に発熱体を伴う電子機器が入っている想定でヒーターを備えた分電盤と、内部にヒーターを備えない分電盤をそれぞれ5台(COOL分電盤のみ2台、その他の分電盤は各1台)ずつ、合計10台を並べて比較を行いました。
実証試験の結果、内部にヒーターを備えない分電盤の場合、COOL分電盤と従来品とを比較すると最大約10℃の温度上昇の抑制効果がありました。内部にヒーターを備えた分電盤の場合では、最大約8℃の効果を確認しました。また、遮熱塗料や遮光板といった一般的な熱対策を行った分電盤と比較した場合においても、COOL分電盤の方が温度上昇の抑制効果があることを確認しました。
分電盤に内蔵されることがあるインバータや蓄電池、パワーコンディショナーなどの電子機器は、一般的に使用する環境の温度が高いと劣化が早まります。例えば、様々な電子機器に搭載されているコンデンサは、使用温度が10℃上がると劣化速度が2倍早くなると言われています(アレニウスの10℃ 2倍則)。これらから、屋外分電盤に放射冷却素材を適用することで、盤内の電子機器の寿命延長、信頼性の向上(故障率の低減)につながることが期待されます。
以上
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