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2025年11月27日
大阪ガス株式会社
大阪ガス株式会社(代表取締役社長:藤原 正隆、以下「大阪ガス」)は、大阪ガスがこれまで培ってきた近赤外分光分析技術※1とAIを組み合わせ、高品質で安定的に商品の製造が可能となる「成分推定AIシステム」(以下「本システム」)を開発しました。
今後、大阪ガスの販売パートナーとして、世界のユニークな技術、製品、サービスを提供・提案する商社である株式会社野村事務所(代表取締役社長:野村 生次、以下「野村事務所」)と、麹づくりをはじめとする発酵・醸造技術の高度化に取り組み、国内外で多くの納入実績を持つ醸造機器メーカーである株式会社フジワラテクノアート(代表取締役社長:藤原 恵子、以下「フジワラテクノアート」)が本システムを提供します。
大阪ガスは販売パートナーのさらなる拡大を目指し、幅広い製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援します。
■開発の背景
日本の製造業は、人口減少に伴う労働力不足や、熟練作業者の後継者不足が深刻化しています。これまで「人の経験と勘」といった言葉で表現されてきた繊細な工程管理を、いかに次世代へ継承し、高品質な製品を安定的に生産し続けられるかが課題となっています。
一方、大阪ガスでは、長年の調理機器開発で培った調理・加工における食材の変化に関する知見を基に、ガスセンシング技術、画像解析技術、非接触温度計測技術、近赤外分光分析技術など独自のセンシング技術※2を開発し、製品の成分変化(水分、発生ガスなど)や状態変化(構造、温度など)などを数値化・可視化する取り組みを進めてきました。
こうした技術を社会課題の解決に繋げるべく、技術の事業化・社会実装に向けた取り組みを推進する中で、大阪ガスの研究開発組織の持つ近赤外分光分析技術、データ分析専門組織のAI基盤開発技術、技術の社会実装を担う組織のビジネスモデル構築とパートナー開拓のノウハウを掛け合わせることで、持続可能な生産体制に寄与する本システムが実現しました。
■成分推定AIシステムの概要
本システムは、近赤外センサを用いて製造中の測定対象物に近赤外光を連続的に照射し、その反射光をAIで分析することで、対象物の成分(水分量、たんぱく質、脂質など)を推定することができる、大阪ガスが独自に開発したシステムです。

| <成分推定AIシステムの主な特長> | |
| 1.リアルタイム・非破壊・非接触に成分を推定可能 | |
| その場ですぐに成分推定ができるリアルタイム性により、品質管理室への運搬や分析待ちの時間も大幅に削減できます。さらに、測定対象物を傷つけない「非破壊」かつ「非接触」で自動計測することにより、検査に伴う製品の廃棄ロスや、接触による破損・汚染リスクを低減します。これにより抜き取り検査による消費がなくなり、歩留まり率の向上につながります。 | |
| 2.AI活用により、状態変化や品種違いを汎用的なAIモデルで対応可能 | |
| 従来の手法※3では、測定対象物の状態の変化(例:生米から蒸米)や品種が切り替わるたびに、個別の検量線※4を作成する必要がありました。本システムは、複雑な相関関係を捉えるアルゴリズム※5を活用することで、汎用的なAIモデルを構築しています。これにより、状態変化や品種変更のたびに検量線を作り直す手間をなくし、一貫した高精度な成分推定を実現します。 | |
本システムを用いることで、従来「人の勘と経験」に頼っていた原料・製造物などの状態把握を定量化し、これに基づき生産設備を制御することで、安定的な商品の製造が可能となります。さらに、時間と手間がかかる工程管理を自動で行うことができ、生産現場のDXが実現します。
■今後の展望
大阪ガスは、食品・化学・製薬など、様々な製造業が抱える品質管理の課題解決に貢献していくため、今回の野村事務所、フジワラテクノアートとの連携を皮切りに、各業界の知見を持つ外部パートナーとの販売パートナー契約締結を積極的に進めます。大阪ガスのセンシング技術をより多くの現場へ届けることで、日本のものづくり全体のDXと持続的成長を支えるソリューションを展開してまいります。
| ※1: | 対象物に近赤外光を照射して、光の吸収の度合いから成分を判別・定量する方法 |
| ※2: | センサ(感知器)などを使用して様々な情報を計測・数値化する技術 |
| ※3: | 線形回帰分析など入力と出力が直線的な比例関係にあると仮定して計算する手法 |
| ※4: | 既知の成分量(濃度など)と、分析機器による測定値との関係を示した数式 |
| ※5: | 入力と出力の間の複雑な関係性(非連続的な変化や不規則なパターンなど)を学習・推論できる手法 |


以上
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