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フィリピン北イロコス州におけるメタン排出量削減プロジェクトへの出資~JCMを適用するクレジット発行を目指して~

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2025年9月1日
大阪ガス株式会社
Green Carbon株式会社

   大阪ガス株式会社(代表取締役社長:藤原 正隆、以下「大阪ガス」)は、Green Carbon株式会社(代表取締役:大北 潤、以下「Green Carbon」)が進める、二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:以下「JCM」)の適用を目指したフィリピン北イロコス州での水田由来のメタン排出量削減プロジェクト(以下「本プロジェクト」)に対して本日出資を行いました。

■日本におけるJCMの現状と農業分野に関する取り組み
   JCMとは、日本とパートナー国が協力して温室効果ガスの削減に取り組み、その成果を両国で分け合う制度のことです。日本では、JCMを活用した温室効果ガスの排出削減・吸収量を2030年度までの累計で1億t-CO2程度、2040年度までの累計で2億t-CO2程度確保することを今年2月に閣議決定し、NDC※1の達成手段としても活用する予定です。
   日本は2025年8月までに30か国のパートナー国とJCMを構築しており、主にエネルギー分野において温室効果ガスの排出削減を行っています。一方、農業分野においてはJCMクレジットの発行実績がなく、その発行に向けた取り組みが進められています。特に、フィリピンにおける水田由来のメタン排出量削減に関する取り組みは、パートナー国の中でも最も進展している計画の一つです

■フィリピンの水田由来のメタン排出量削減に関する取り組み
   フィリピンでは、温室効果ガス排出量の約25%にあたる約5,400万t-CO2が農業分野から排出※2されており、なかでも水田からの排出は半分以上を占める※3と言われています。
   日本とフィリピンの間でJCMクレジット対象の一つとして正式に承認された間断かんがい技術(以下「AWD」:Alternate Wetting and Drying)は、水稲の栽培期間中に水田の水を一定期間抜いて土壌を乾燥させた後、再び水を張ることを繰り返す手法です。一般に水を張られた水田はメタンが発生しやすいため、水を抜く期間を設けることにより、常時水を張った状態と比較してメタンの排出を約30%削減することができる※4と言われています。
   本プロジェクトは世界的にみても先駆的な取り組みで、水田由来のJCMクレジットとして市場に流通する可能性があります。

■本プロジェクトの概要
   Green Carbonは以前よりフィリピンの研究機関と連携して複数のAWDを活用したメタンガス排出量削減プロジェクトの開発に着手しています。このたびGreen Carbonが北イロコス州エリアで進めるプロジェクトに大阪ガスが出資参画し、今後両社で連携してプロジェクトを推進します。
   本プロジェクトにおいて、Green CarbonはAWDの実施に関して現地の農家と連携を図るとともに対象農地の拡大を進め、今後JCMクレジットの発行が実現した場合、大阪ガスはJCMクレジットの販売やJCMクレジットと都市ガスのセット販売によりカーボン・オフセット都市ガスとして供給するといった活用を見込んでいます。

■各社の取り組み
   大阪ガスは、JCM市場の拡大を見据え、フィリピンのバタンガス州とラグーナ州で実施されているAWDを活用したメタン排出量削減の取り組みにも2024年度から参画しています。両州のプロジェクトは、世界最速※5での農業分野におけるJCM発行を目指しており、AWD導入を推進するフィリピンにおいて重要な先行事例となるものです。本プロジェクトを合わせると、大阪ガスは3つの地域(北イロコス州・バタンガス州・ラグーナ州)のプロジェクトに出資しており、これは現時点での地域進出数として最多※6となっております。AWDのリスクの一つに天候や気候変動がありますが、複数地域からJCMクレジットを調達することで、安定供給を目指します。

   Green Carbonは、東南アジアを中心に自然由来のカーボンクレジット創出に取り組んでおり、森林保全、水田、マングローブ植林、牛のゲップ削減、バイオ炭プロジェクトなど幅広い分野でのプロジェクトを展開しています。特にフィリピンでは、AWD導入による水田のメタンガス削減のJCMプロジェクトに注力をしており、2025年2月初旬に承認された方法論に基づきプロジェクト組成を進めています。また日本で、JCMクレジットがGX-ETS※7上で企業の排出量報告超過分の削減に適用可能となることが決定し、その需要は今後さらに高まると予想されています。Green Carbonは、このような状況を踏まえ、プロジェクトの経済性を確保しつつ、フィリピンと日本両国の脱炭素化に貢献することを目指します。

■会社概要
大阪ガス株式会社、Green Carbon株式会社

※1: パリ協定に基づいて各国が5年ごとに提出・更新する温室効果ガス削減目標のこと。日本では、2035年度、2040年度において、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指すことを2025年2月18日に閣議決定し、同日、国連に提出
※2: 2020年温室効果ガスインベントリに基づく。独立行政法人 国際協力機構(JICA)「フィリピン国 GX施策推進のための情報収集・確認調査 ファイナルレポート」(2024年3月)参照
※3: 2010年温室効果ガスインベントリに基づく。独立行政法人 国際協力機構(JICA)「フィリピン国 GX施策推進のための情報収集・確認調査 ファイナルレポート」(2024年3月)参照
※4: 農林水産省「間断かんがい技術(AWD)による水田メタン削減について」(2025年6月)参照
※5: 大阪ガスが出資するバタンガス州およびラグーナ州でのプロジェクト(番号:PH009)は、2025年6月から実施されたパブリックコメントを経て、他社が実施する案件(番号:PH008)とともに、最も早く登録承認を取得している
※6: 大阪ガス調べ
※7: 排出量取引制度。日本政府が進める成長志向型カーボンプライシング構想に基づき、企業が政府の定める排出上限のもとで排出削減や排出枠の取引を行う仕組み

以上

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