2022年5月30日
大阪ガス株式会社
大阪ガス株式会社(代表取締役社長:藤原 正隆)は、経済産業省が公募する「令和4年度 蓄電池等の分散型エネルギーリソース※1(以下、「DER」)を活用した次世代技術構築実証事業費補助金」※2のDERの更なる活用に向けた実証事業※3に参画します。株式会社エナリス(代表取締役社長:都築 実宏)がコンソーシアムリーダーを務め、当社はリソースアグリゲーター※4としてお客さま宅の家庭用燃料電池エネファームtype S(以下、「エネファーム」)をエネルギーリソースとしたバーチャルパワープラント※5(以下、「VPP」)を構築し、系統需給調整に活用するVPP実証事業を開始します。
太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギーは、日射量や風の強弱等により発電出力が変動します。高い省エネ性によりCO2削減が実現できるエネファームは、発電出力を自由に制御できるという特徴があり、再生可能エネルギー大量導入社会における系統需給調整に貢献できるリソースとして注目されています※6。
昨年度当社はDER実証事業※7に参画し、3,600台以上のエネファームによる実証を行い調整力供出量ベースで1メガワット(以下、「MW」)以上の供出に成功する等の一定の成果を得ることができました。今年度は制御方式を変更し、系統需給状況に応じたエネファームの遠隔制御の更なる精度向上及びより速い調整力への対応を目指した技術検証を行います。
Daigasグループは、今後エネファームなどの低圧リソースを活用し、DERと組み合わせたエネルギーネットワークの普及拡大を進め、低炭素・脱炭素社会の実現に貢献し、暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループを目指します。
※1 | 需要家側エネルギーリソースに加えて、系統に直接接続される発電設備、蓄電設備を総称するもの。DER (Distributed Energy Resource) |
※2 | DER の更なる活用に向け、需給調整市場や容量市場等の電力市場において、より高度化が求められる DER 制御技術の実証を行うことで、 DERの活用拡大と再生可能エネルギー有効活用の環境を整備し、アグリゲーション関連ビジネスの発展を通じた、カーボンニュートラルの達成に貢献するための実証事業。 |
※3 | 再生可能エネルギー発電等のアグリゲーション技術実証事業のうち分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業の略称。 |
※4 | 需要家とVPPサービス契約を直接締結してリソース制御を行う事業者。 |
※5 | 情報通信技術等により、 アグリゲーターと呼ばれる事業者が 分散電源等 を統合的に制御することで、あたかも一つの発電設備のように機能する仮想発電所のこと。 バーチャルパワープラント( Virtual Power Plant) |
※6 | 経済産業省 資源エネルギー庁 第11回エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会(以下、「ERAB検討会」) 資料7「分散型エネルギーリソースの活用促進に向けた取組」(PDF資料はこちら![]() |
※7 | 経済産業省による「令和3年度 蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金」 |
アグリゲーションコーディネーター※8からの指令に応じてエネファームの出力を制御し、調整力を供出する技術検証(指令量に対する調整力供出精度の検証)を行います。
今回は昨年度採用した順潮流※9と逆潮流※10両方を制御する方式※11に代えて、順潮流には関係なく逆潮流のみを制御する方式※12で行います。加えてエネファームの逆潮流を制御する際に「発電電力=使用電力+α」制御を採用し、エネファームの機器制御でお客さまの使用電力が変化しても発電電力を自動制御することで、指令量に対する調整力供出精度の更なる向上を目指します。
また、昨年度実施した受電点制御※13に加えて、使用電力の変動の影響を受けない機器点制御※14を新たに採用した技術検証も行います。
加えて、新たに速い調整力にもチャレンジし、より速い調整力に対応するための課題出しを行います。
※8 | リソースアグリゲーターが制御した電力量を束ね、一般送配電事業者や小売電気事業者と直接電力取引を行う事業者。 |
※9 | 電力会社線側から需要家側へ電力を流すこと。(小売電気事業者から電気を購入する場合の流れ) |
※10 | 自家発電事業者等が、消費電気よりも発電電力が多くなった場合に、余った電力を電力会社線側に戻るように流すこと。(発電事業者等に電気を売電する場合の流れ) |
※11 | ネガポジ型アグリゲーション:一需要場所において、需要抑制(順潮流を減少)から逆潮流までを行うことによりΔkWを供出する方式。 |
※12 | ポジワット型アグリゲーション:逆潮流のみによりΔkWを供出する方式。 |
※13 | エネファームの発電電力を制御することで、受電点(電力メーター位置)電力を制御することで調整力等を供出する方式。現時点の需給調整市場で認められている制御方式。 |
※14 | 機器個別計測によるエネファームの発電電力を機器点で制御することで調整力等を供出する方式。現時点では、国で検討中の制御方式。 |
(2)系統の需給状況に応じた出力制御の技術検証
系統の需給状況に応じた多数台エネファームの遠隔制御の技術検証(需給状況への貢献量に対する運用精度の検証)を行います。
今回は電力の買電を抑制する制御と制御精度の両立等、更なる最適制御の実現を目指します。
(1) | 電力系統安定化のための調整力供出の技術検証 エネファーム約3600台を制御することで、三次調整力②の実証において調整力供出量ベースで1MW以上の供出を実現できました。三次調整力②における5分値制御(事前審査対応)、及び三次調整力①の1分値制御については制御精度面で一部改善が必要であるが、三次調整力②の30分値制御については、安定した制御を実現できました。 |
(2) | 系統の需給状況に応じた出力制御の技術検証 系統需給状況と市場価格は一定の相関性があることから、系統需給調整への貢献を目指して市場価格を基準としたエネファームの発電量の遠隔制御を行った結果、一定水準以上の精度を確認できました。電力の買電を抑制する際の制御精度については、更なる最適化の検討が必要であると考えています。 |
以上
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