2020年3月25日
大阪ガス株式会社
積水ハウス株式会社
大阪ガス株式会社(社長:本荘 武宏、以下「大阪ガス」)と積水ハウス株式会社(社長:仲井 嘉浩、以下「積水ハウス」)は共同で、再生可能エネルギーが主力電源となる社会を見据え、3電池(燃料電池、蓄電池、太陽電池)を備えた住宅(以下、「3電池住宅」)において電力系統の安定化への貢献可能性を検証するために、4月1日から約1年間の居住実験を開始します。
大阪ガスと積水ハウスでは、リノベーションした既存住宅にて長期居住実験を2016年12月から2年間実施し、燃料電池の最大活用※1等により、快適性を向上しつつネットゼロエネルギー※2を達成しました。今回、この検証の場において、新たに以下の居住実験を開始します。
■電力系統の安定化への貢献可能性の検証
3電池住宅において、以下の実験を行うことで、電力系統の安定化への貢献可能性を検証します。
1) | 3電池住宅の太陽電池の発電電力の変動に合わせて燃料電池や蓄電池を制御し、電力系統への変動を抑制することで、電力系統への影響を最小化します。 |
2) | 電力系統内において太陽電池等の再生可能エネルギーからの供給電力が過剰な場合に、燃料電池の発電電力を下げたり、蓄電池を充電させたりすることにより、電力系統の需給バランスの維持に貢献します。 |
3) | 仮想発電所(VPP※3)の1リソースとして3電池住宅を想定し、送配電事業者からの指令を模擬し、需給バランスの維持に必要とされる調整力を提供します。また、これに伴う生活者への影響を評価し課題を抽出します。 |
(解説)
将来的には、再生可能エネルギーが主力電源になった際に、供給側だけでは電力系統の需給調整が難しくなり、需要側で使用電力や発電機の出力を調整すること(DR※4)が必要になる可能性が想定されます。例えば、電力系統で供給力が過剰な場合は、燃料電池の発電電力を下げたり、蓄電池に充電させたりすることで供給力の減少に貢献し、供給力が不足している場合は、燃料電池の発電電力を上げたり、蓄電池から放電させたりすることで供給力の増加に貢献します。
一般的に太陽電池と蓄電池の場合は、蓄電池の調整可能な充放電電力は大きいものの、曇天日が続くと蓄電残量が低下し放電できなくなり、調整力として活用できなくなることがあります。一方、燃料電池は調整可能な発電電力は小さいものの、天候に左右されずに継続的な発電が可能であり、長期間継続して調整力として活用することが可能となります。3電池住宅では、これらを組み合わせて、調整可能電力を確保しながら、長期間継続して調整力として貢献することで、今後の系統安定化に大きな役割を担うと考えています。
大阪ガスと積水ハウスでは今後も燃料電池を活用した住宅の普及促進に取り組み、お客さまの快適な暮らしの実現と環境負荷の低減、再生可能エネルギー普及拡大等に貢献して参ります。
※1 | 燃料電池を常に高効率で定格運転するためにW売電(太陽電池と燃料電池を併設し、それぞれ売電量を測り分けて売電すること)させるとともに、排熱を給湯や暖房に有効活用すること。 |
※2 | 太陽電池等によってエネルギーを創り、年間に消費する正味(ネット)の1次エネルギー量がゼロ以下となること(建築物エネルギー消費性能基準同様、家電製品による電力消費は除く)。 |
※3 | バーチャルパワープラント(Virtual Power Plant)の略。分散電源等により拠出される供給力・調整力をアグリゲータと呼ばれる事業者が束ねて活用すること。 |
※4 | デマンドレスポンス(Demand Response)の略。需要側のエネルギーリソースを制御して電力需要パターンを変化させること。 |
(別紙1)
■ | 場所 | |
奈良県北葛城郡王寺町 | ||
■ | 建物概要 | |
・軽量鉄骨造2階建 | ||
・4LDK(延床面積 138.8m2) | ||
■ | 設備概要 | |
・燃料電池 | 固体酸化物形燃料電池(SOFC)(定格出力700W) | |
・太陽電池 | 多結晶型(定格出力5.08kW) | |
・蓄電池 | リチウムイオン蓄電システム(9.8kWh) | |
・その他設備 | エアコン、床暖房、LED照明、電動シャッターなど | |
■ | 居住家族人数 | |
・3人 | ||
■ | 実験期間 | |
・2020年4月~2021年3月(予定) |
(別紙2)
燃料電池の最大活用と全館空調を用いた賢い空調制御により、ネットゼロエネルギーの達成と健康で快適な暮らしの両立を実現。
<実証システムとポイント>
<実証結果(1):2年間の1次エネルギー削減量>
<実証結果(2):脱衣室の温熱環境(夏期・冬期の脱衣室利用時の各部屋の室温)>
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