中村 友哉 選手

ニューイヤー駅伝では、もっと上を目指せる

 中村友哉選手が任された2区は、外国人選手も走ることのできる7.78キロの最短区間。途中、龍神温泉街を抜ける以外は全て上りという、スタミナとスピードを要する難しいコースです。6位でタスキを渡された中村選手でしたが、この2区を区間2位の走りでチームを3位に押し上げる走りを見せ、チームに勢いをつけました。昨年からキャプテンに就任、自らの走りでもチームを牽引する中村選手に話を聞きました。

――― 2区はスピード区間で、さらには外国人選手がいる中で順位を上げるのは大変だったのではないですか 

 前を追う状況でしたし、任された区間が短い距離なので、もう行くしかないという思いでした。レース展開を見て、トップを走るSGホールディングスさんとはすでに1分以上の差があり外国人選手でしたから無理に追うのはやめました。もともとは日本人ランナーのみで編成している大塚製薬さん、住友電工さんとの勝負を考えていたので、まずは住友電工さんがいた3位グループへ追いつこうと考えました。

――― 中間地点あたりで住友電工、大阪府警、NTT西日本が形成する3位グループに追いつき、その後3区中継所には単独3位と疲れを感じさせない軽やかな足取りで入ってきたように見えました 

 1区の目片選手は6位といっても前を行く3チームに15秒差と、さほど差をつけられずに来てくれたので、3位グループがいい目標となって追いかけやすかったですね。追いついてしばらく併走していましたが、残り2キロ地点くらいでうまく前に出ることができました。その場面は山岳地帯で映像が途切れていたようで、映っていなかったのが残念です。
 軽やか…、ものすごくきつかったですよ(笑)上りコースのうえ、終盤はずっと後ろから追いかけられていた状況でしたし。ただ、ここでしっかり勝ってニューイヤー出場圏内をキープしたい一心でした。

――― 区間2位、チーム順位を3位へ押し上げた快走の要因はどこにあったと思われますか 

 2025年のニューイヤー駅伝の関西の出場枠が4枠に減ったことを受け、この一年、今年の龍神は3位を目指そうとチームで決めてやってきました。決めたからには、キャプテンとしても一選手としても自分のところで目標順位に届いておきたいと強く思いました。

――― 昨年度からキャプテンに就任されていましたが、どのようなチーム作りをされてきたのですか 

 コロナ禍以降、日頃の練習では、選手同士顔を合わすことなく個々に練習するのが当たり前になっていました。正直、チーム内のコミュニケーションが少ないと感じていたので、月に一度の合同練習とミーティングを始めました。
 駅伝は、他のチーム競技のように同じフィールドでの助け合いはできませんが、待っていてくれている仲間のことを考えると、どんなに疲れていても特にラストは力を振り絞りたいと思うものです。タスキへの想いがそうさせるわけで、そのためには、互いのことを想いやれる信頼関係を築けるコミュニケーションが大事だと思っています。
 合同練習は、モチベーションがアップするのを感じます。また、ミーティングでは、1カ月間の目標に対してどれだけアプローチできたか、互いに個人練習の報告を行ったり、アドバイスをし合ったりしています。

――― 今回の関西実業団駅伝で、3区の坂東選手へタスキを渡す際に「絶対に勝つぞ!」と力強く激励していたのが印象的でした 

 入社して一度、ニューイヤー駅伝出場を逃した経験から感じるのは、元日に大会に出るのと出られないのとでは雲泥の差があるということ。出られないことは、あってはならないと思います。特に今年の関西地区は4枠のみと狭き門でしたから、大会1カ月前くらいから僕の頭の中は「勝ってニューイヤーに出たい」という思いで一杯になっていて、あのセリフは思わず口をついて出ていました。

――― 見事、チーム全員で決めた目標通りの結果が出せましたね。レース後にチームの良い雰囲気も感じました 

 5区を走った西選手を筆頭に全員が頑張った結果ですし、大きなミスを出さずに走りきれたこともこの成績に結び付いた要因だと思います。ただ、個々の力を出し切れたかと言われれば、100点満点中70点くらい。自分たちの実力を出し切れば、こんなものではないと思っています。

――― 最後に、ニューイヤー駅伝へ向けて、抱負を聞かせてください 

 ニューイヤー駅伝での大阪ガス過去最高順位を目指して、今回の関西実業団駅伝での好調をキープしつつ、自分たちの力を出し切った走りができるよう、勇気をもって臨みたいと思います。