井上 大輝 選手

新加入の井上大輝選手は、今年の箱根駅伝で名門・中央大学アンカーとして10年振りのシード権を獲得する走りを見せました。ファイト溢れる井上選手が、今度は大阪ガス陸上部の一員となって関西実業団駅伝大会に挑みます。社会人という新たなステージでどのような走りを見せてくれるのか、井上選手に聞きました。

――― 社会人選手となり、苦労していることはありますか

僕は、毎日少しでも必ず走るタイプですが、フルタイム勤務日は、走り始める時間が遅くなるので、正直、妥協したくなることも。もちろん、毎日、ちゃんと走っています。(笑) 会社員として働きながら、練習やトレーニングさせていただけることが、本当にありがたいです。

井上 大輝 選手

――― キャプテンでもあった大学4年生では、箱根駅伝のアンカーを任されました

井上 大輝 選手

実は、自分が走れるのかは、ギリギリまでわからなくて。本番1カ月前頃からずっと、「関東の学校に入学ささせていただき、4年間で一度も箱根に出られなかったら、これまで応援していただいた方々に何と報告すればいいんだろう」という恐怖と戦っていました。そんなこともあり、内心「とうとう箱根を走ることができなかったか…」と半ば諦めかけていたところに僕が指名されて。よく「最後まで諦めるな」と言いますが、あの時ほど「諦めずにいて良かった」と思ったことはありません。

――― 心の中でいろいろと渦巻いていたのですね。実際に走った感想はいかがでしたか

とにかく沿道の観客の多さに驚きました。人垣が何重にもできていて、自分の息遣いが聞こえなくなるくらいの声援を送っていただけて、感動しました。レースについては、役割を果たせたという意味では満足しています。ゴールした瞬間、「自分を使っていただけてありがとうございました」と自然と感謝の気持ちが湧いてきました。そして、頑張ってきて良かったな、と改めて思いました。大学時代を振り返ると99%は苦しいことばかりで、特にキャプテンとしての1年間は本当に長く苦しい時間でしたが、最後の最後に最高の1%で埋まったという感じです。

――― 大阪ガス陸上部はどのような印象ですか

基本、練習内容など選手自身に任せてもらいながら結果を求められるというスタイルで、これが僕にはすごく合っていて、やりがいを感じています。自分がどこまで速くなるのかを追求したいので、練習メニューやトレーニングでもいろいろ試しながら取り組んでいます。例えば、この部分の筋肉をこれくらいまで増やした方がいいと考えてウエイトトレーニングをしてみたり。今季、1500mと5000mで自己新を出せたのは、こういった成果だと感じています。自分で考えながら走る良さというのを実感しているところです。食事も大事ですから、今は駅伝に備えて乳化剤の入っていない食事を摂るようにしています。

――― もの凄くストイックなのですね

何としてもニューイヤー駅伝出場を決めたいですから。ニューイヤー駅伝といえば、陸上ファンのみならずご存知の方も多い社会人にとっては、晴れ舞台。そこで大阪ガスが活躍することは、サポートしてくださっている会社、スタッフのみなさま、もちろん僕自身にとっても大きなメリットですしね。

――― ご自身の走りでの強みはどんなところですか

ラストの競り合いが得意なところです。駅伝では、1区とかアンカーとか、競り合いが激しい、いわゆる“燃える区間”が大好きです。関西実業団駅伝大会でも、ラストスパートがかかって競り合いになってからの僕の走りを見て欲しいです。

――― 最後に大会への意気込みをお願いします

日頃から、多大なる声援をいただいていること、重々承知しています。晴れ舞台であるニューイヤー駅伝に出られるように、まずは関西実業団駅伝大会をしっかり走り切りたいと思います。僕自身は、優勝を見据えて区間3位以内を目指し、大阪ガス陸上部は頑張っているんだと感じていただけるような走りを見せたいと思っています。よろしくお願いします!