渡邉 浩二 コーチ

第65回 関西実業団駅伝大会で5位に入り、見事、2年振りのニューイヤー駅伝出場を決めた大阪ガス陸上競技部。大会の様子や、ニューイヤー駅伝へ臨む現在のチーム状況について、渡邊浩二コーチに聞きました。

渡邉 浩二 コーチ

――― 関西実業団駅伝大会でのレース展開をどのようにご覧になっていましたか

1区は、新人でスピードのある井上大輝選手に任せました。スタート直後に2チームが飛び出したのを無理に追わずに集団に留まり、最後のスパートで競り勝って3位でリレーするという上手いレース運びを見せてくれました。2区で6位に後退し、いつも通り3区のエース野中優志選手が追い上げを図ってくれたのですが6位のままタスキを繋ぐことになりました。
ニューイヤー駅伝出場権を得るには、5位以内が条件ですが、5位との差が30秒以上あり、この時ばかりは「これは難しい展開になったな」と不安がよぎりましたが、4区のスペシャリスト、辻横浩輝選手が快走してくれました。

――― 辻横キャプテンが後半に逆転する流れを作ってくれたのですね

彼はこれまでもチームを救う走りを何度もしてくれていましたが、またもやってくれました。辻横選手は、2区の岩﨑祐也選手が急きょ2区でのエントリーだったことと、野中選手はマラソン明けということで、序盤は出遅れることも想定していたと思います。これまでの経験を自信に、「少しでも差を詰める」という強い意志を感じる走りを見せてくれました。
5位に順位を上げた5区の西研人選手は大会前から状態が良かったので期待していましたが、フルマラソン2時間10分を切るタイムを持つ大阪府警の選手相手に12秒差から追う展開だったので、6区にリレーする時点では同着か、良くて若干のリードか、というところを50秒ものリードをつけてくれました。前半は無理せず、「ここだ」というポイントで一気に突き放したスパートは相手も不意を突かれたはず。今夏、マラソンに初挑戦したことや、昨年も5区を同じ大阪府警の選手と競い合ったという経験が活きていたように感じます。

――― 終盤は安心してご覧になれたのではないですか

辻村公佑選手は毎年6区を走っていて攻略できているうえに、後ろとの差を考えながら自分の役割を冷静に考えながら走れる選手です。西選手がつくったリードを考えると、辻村選手なら追いつかれる心配はないだろうと思いつつ、しかし、7区アンカーにかかるプレッシャーは相当なもので、昨年のことを考えると最後まで予断は許せませんでした。特に今年のアンカーは新人の髙畑凌太選手でしたから、辻村選手はそのあたりも考え、さらにリードを広げてつないでくれました。
その髙畑選手には、走る直前に「無理せず自分のペースで走り切って欲しい」と伝えた通り、確実にタスキを持ち帰ってくれました。彼がゴールした瞬間に、初めて安心しました。

――― まさに今は、ニューイヤー駅伝へ向けて調整中だと思いますが、現在のチーム状況はいかがですか

野中選手が12月4日に出場した第47回熊本甲佐10マイル公認ロードレース大会で日本歴代6位の記録を出し、本来の調子が戻ってきています。西選手は、野中選手よりも一つ順位が前の歴代5位で走り、依然好調をキープしています。また、故障していた坂東剛選手に回復の兆しが見えているので、彼が加わると選手層が厚くなるので、そうなれば上位に食い込む走りができると期待しています。メンバー選考はこれからですが、チーム内競争がかなり熾烈になってきていて活性化が図れていますね。

――― ニューイヤー駅伝への抱負、意気込みをお願いします

いつも応援、ありがとうございます。メンバー全員、思いを込めてタスキをつなぎ、しっかりゴールしたいと思っています。2年振りの出場ということで、みなさまの期待に応えられる走りをお見せしたいと思います。