西研人選手

2023.10.15 MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)出場!

パリ2024オリンピック競技大会マラソン日本代表選考競技会
2023年10月15日(日)男子8:00 国立競技場スタート

パリ五輪マラソン日本代表を目指しMGCに挑む!

結果

2時間12分42秒 24位

西選手からのお礼コメント

MGC出場にあたり、たくさんの応援や励ましの言葉をいただき、ありがとうございました。
パリオリンピック代表権を目指して前半から自信をもって走りましたが、力及ばず後半の上位争いに加わることはできませんでした。
レース終盤は坂や寒さの影響で今までのマラソンで1番苦しく感じましたが、雨の中駆けつけてくださった皆さんのご声援、テレビ等でのご声援、職場で作成していただいたメッセージ入りの横断幕がパワーをくれて、力を振りしぼって走りきることができました。
今回のレースでは課題もありましたが、確かに感じた手応えもあったので、この経験を今後の糧にし、競技に精進して参ります。
この度はたくさんのご声援をいただき、誠にありがとうございました。

出場へ向けての意気込み
西にし 研人けんと選手

今年、フルマラソンへ本格参戦したばかりの西研人選手。パリオリンピック日本代表選考会として開催されるマラソングランドチャンピオンシップ(以下、MGC)出場権利を獲得しました。MGC直前の意気込みを聞きました。

MGC本番への思いは、緊張とワクワクと

――― MGC出場、おめでとうございます。本番直前ですが、現在の心境はいかがですか

西研人選手

 ありがとうございます。MGC出場を決めた長野マラソンから約半年という長い期間準備をしてきたので、緊張とワクワクの気持ちが相まっています。

――― 出場が決まってから約半年経ちますが、現在の調子はいかがですか

 ケガもなく、順調にきていると思います。MGC出場決定後は、本番に照準を合わせて例年に比べると参加する競技会を絞り込んで、その分、マラソン練習に割いています。マラソン強化月間と位置付けているときは、1日30~40キロを走り込みます。
 渡邉監督が組んでくださったメニューをその日の調子を照らし合わせて多少、設定を加減することもありますけれど、基本的には出していただいた内容を全てこなしています。その積み重ねが自信にもつながっています。この調子でレース直前に調子の波をグッと上げていけたらと思っています。

最後のチャンスなので「いくしかない」

――― 2月に大阪マラソンを走ってから約2か月後の長野マラソンを走りました。どのような計画だったのですか

西研人選手

 大阪マラソンでの僕のタイムが2時間8分11秒とMGC出場条件タイムに手が届いたことで自信が出て、大阪マラソンを走り終えた帰りの車の中で渡邉監督に相談して決めました。長野マラソンまで2か月しか空いていないのは、準備期間としては本当にギリギリでしたが、MGC出場可能対象レースが国内では4月開催までだったので、これは「いくしかない」と。

――― 当日の体調はどうでしたか

 大阪マラソンの疲労がどれだけ抜けているかがポイントでしたが、その中でも予定していた練習は試合までに全て消化できていたので、自信を持ってレースに臨めました。

――― 長野マラソンの様子を振り返ってください

 着順より、まずはMGC出場条件タイムをクリアすることを狙って臨みました。実際に走っていたときは、ペースメーカーの設定タイムが、自分の狙っているタイムにちょうど良い速さで、トップ集団に離されないように走っていけば目標タイムは出せるだろう、という感じでした。長野マラソンの場合は2時間11分49秒までに帰ってくればMGC出場権利を獲得できたので、大阪マラソンの実績を考えると、気持ちに余裕もありました。

――― 着順は気にしないとしつつも、優勝という素晴らしい結果でした

 終盤に外国人選手が集団から飛び出したとき、他の選手はついていかなかったのですが、僕は、せっかくなら追いかけようと集団から抜けました。周りの選手たちを見ると、結構きつそうでした。大阪マラソンでは35キロくらいの地点で、「余裕で2時間7分台が出せそうだ」と計算していたのに直後に失速してしまいました。力のある選手は、そこからさらに前に出て良いタイムでゴールしていたので、最後の最後に差がつくのだと痛感しました。35キロ以降が真の本番というか。終盤にペースを上げられるかは、ラストスパートする力よりも、どれだけ余裕があるかが大事だと思います。

――― 長野マラソンでは、そこを意識しましたか?

 はい、その時の経験を踏まえて後半を意識して走れていました。余裕があったので最後に仕掛けられ後続を離せた結果、優勝ができたのだと思います。

頼もしい姿、格好いい走りを見せたい

――― MGC五輪代表選考会ですから、いつも以上に熾烈な戦いが予想されます

 条件をクリアした選手ばかりが60人以上参加してくるわけで、当然そうなると予想していますが、全員がしっかり練習を積めて臨めるとは限りませんし、当日までしっかり準備をしてスタートラインに立てば、十分僕にもチャンスあると思っています。また、出場選手の中では比較的若手になるので、気負わずに集団について行こうと思います。

――― 手ごたえはいかがですか?

 ここまで予定通りに練習をこなせてきているので、手応えはあります。東京の真ん中で、大勢の観衆の前で走れることを想像すると、ものすごい喜びです。

 僕が所属している職場の上司が、応援に駆けつけてくださるそうで、本当にありがたいです。また、大阪ガス陸上競技部の長距離のチームメイト全員がサポートに来てくれることも凄く嬉しいし、力になります。もちろん、走りながらちゃんとみんなを見つけられますよ。わざわざ関西から足を運んでくださる皆さまの前で良い走りをしたいなと思っています。

 レース前最後の出勤日の退社時に、フロアの皆さまが「頑張ってね」と送り出してくださいました。皆さまにいい報告ができるようにしたいです。中継の映像に映る位置で走って、普段、皆さまにお見せできていない“頼もしいところ”、“恰好いいところ”を見せられたらなあと思っています。

――― 西選手といえば、グッと刈り込んだヘアスタイルがトレードマーク。いつもレース直前に理容師のお兄さんが切ってくれるとおっしゃっていましたね

 特徴あるヘアスタイルだと目立つのでこだわっています(笑) 兄からも「本番前に切りに帰っておいで」と言われていますし、何とか時間を見つけて髪を整えたいです。

渡邉浩二監督へインタビュー

西研人選手と二人三脚で、パリ五輪マラソン日本代表の座を賭けてMGCに挑む渡邉浩二監督に、西選手の強さの秘密を聞きました。

――― 西選手のMGC出場、おめでとうございます。出場に至った要因はどこにありましたか

 まさに西選手のポテンシャルの成せる業です。今年の大阪マラソンで2時間8分11秒というタイムを出しましたし、大学時代に初めての箱根駅伝で結果を出したことを考えても大舞台で力を発揮できるポテンシャルがあります。

 MGC出場を決めた長野マラソンでは、2時間10分1秒というタイムも素晴らしいうえに、プレッシャーがかかる中で優勝まで成し遂げました。我々スタッフは、「MGC出場条件タイムをクリアしてくれたらいい」と思っていたところに優勝ですよ。恐れ入りました。

 レース後に本人から「出るからには、優勝してMGC出場を決めたい」という気持ちで臨んだと聞きました。経験が少ないことに引け目を感じず、むしろ「自分には伸びしろがある」と自身に期待を込め、「結果を出す」という強い意志を持っていたのだと思います。スタートラインに立った西選手は、なんだかワクワクしているようにも見えました。気負わずに楽しんでいるというか、プレッシャーすら吸収して力に変えていたのではないでしょうか。

――― 西選手の強みを教えてください

 メンタルの強さに加え、フィジカルの強さも西選手の持ち味ですね。長距離の選手は、連日走り込む疲労から、アキレス腱や足底を痛めてしまいがちですが、彼の場合、入社以来、大きな怪我がありません。練習を休まず継続できているのは大きいです。高校途中までサッカー部でしたから、突然止まる、走るといった動きをしていたことも有利に働いているのかもせれません。

西選手は、どんな練習でも好き嫌いせず取り組みます。今夏の北海道合宿は、酷暑でした。暑さを考慮して走る距離を減らすのが一般的ですが、彼は予定通りの距離を走りきりました。本番の気温が季節外れに高くなることも想定できると、自ら取り組んでいました。「楽に終わる練習なら、他と差がつかない」と言った彼の言葉が印象的でした。キツイ気象条件下で練習したからといってパフォーマンスが落ちなかったことも強みですね。

――― 本番では、どのようなレースを期待しますか

 西選手にはまず、スタートラインに立てる事を喜んで欲しいです。レースについては、通常のマラソン大会のようにペースメーカーがつかず、最初から駆け引きが始まります。前回大会のように、スタート直後から1人の選手が抜け出したまま終盤までレースの動きがないかもしれなし、反対にいきなり数人が飛び出すかもしれないなど、正直、全く予測できませんが、先頭が見える位置にはいて欲しい。集団の中で、目立たず流れをうまく掴みながら、動けるタイミングがきたら勝負を仕掛けていけると理想的ですね。

 西選手は、最後まで諦めない、粘りある走りが魅力です。終盤に急な上り坂のあるコースを走りますが、起伏の激しさは、ニューイヤー駅伝の予選での龍神コースで十分に鍛えられているので、そのあたりの彼の粘りも感じていただけたら。なにより、走る喜びを感じて楽しんでいる姿を応援してもらえると嬉しいです。本番まで、あと少し。我々スタッフも、彼の良さを120%出せるよう、引き続きサポートしていきます。

西研人選手

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