POWER INDUSTRY Daigasグループの電力事業

SPECIAL INTERVIEW 国産木材を、発電燃料に。地球環境保全と林業の活性化を目指して~バイオマス燃料の調達商社「(株)グリーンパワーフュエル」の設立~

地球にやさしいバイオマス発電を拡大したい

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松阪木質バイオマス発電所(Daigasグループ2017年11月参画)

Daigasグループでは再生可能エネルギー発電事業の拡大を図っています。そのなかで私はバイオマス発電所の開発と燃料調達を担当しており、2019年3月に燃料調達と販売を行う商社を設立しました。バイオマス発電は、木材を燃料とする地球にやさしい再生可能エネルギーです。発電時に二酸化炭素を排出しますが、木材はそれまでの成長過程で光合成により大気中の二酸化炭素を吸収しているため、これらは相殺されていると見なされるからです。太陽光発電や風力発電と違い、バイオマス発電にとっては燃料調達が大きな課題です。私が2017年に着任した頃は、海外から輸入した木質ペレットという選択肢が中心でしたが、輸送費が高く、将来的に事業の継続が難しくなる可能性もありました。そこで私が着目したのが、国産材。国産材は現時点では高価で、利用困難と言われていますが、流通の見直しや伐採の効率化などの工夫によっては、コストダウンの可能性を秘めている、と考えました。

人の気持ちを動かしたビジョンと熱意

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国産材にこだわった理由はもう一つあります。日本の林業の活性化です。日本の山は個人所有が多く、所有者が高齢化したり、不明だったりするケースも多く、荒れ放題の山が増えています。しかも林業に携わる人が減っています。私は林業の衰退は、非常に大きな課題だと考えていました。バイオマス発電の燃料として永続的に使うことで、林業の活性化の一助になるのではないかという思いで、製紙や製材の専門家であるパートナー会社さまとともに、林業に携わる方々と燃料調達の交渉を始めたのが2017年の秋でした。直接お会いしようと思ったのは、バイオマス発電についてなかなか理解が進まないという事情を聞いたからです。一件でも多くの事業者さまに話を聞こうと、全国各地に足を運びましたが、長期で安定的な取引が当たり前な私たちにとって、短期で流動的である林業の商慣習にとにかく驚きました。それでも諦めずに訪問し、私たちのビジョンを伝えて力を貸してほしいとお話しすることで、熱意が通じ、少しずつビジョンに賛同してくださる方が増えていきました。

永続的な電力供給を目指して新会社を設立

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国産木質バイオマス
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一方で、多数の林業事業者さまから、複数のバイオマス発電所に供給を受けるとなると、契約を1件ずつ結んでいくのが相当時間を要することがわかってきました。そこで頭を切り替え、自分たちで燃料商社を立ち上げることにより、手配の効率化が図れ、スムーズな流通が実現するのでは、とのアイデアに至ったのです。パートナー会社2社さまとともに、国産木質チップを調達・販売する燃料商社を立ち上げる計画がスタートしました。私にとって会社設立は初めての経験で、色々勉強しながら2019年3月に合弁会社「(株)グリーンパワーフュエル」設立にこぎつけました。林業独特の取引形態を受け入れつつ、パートナー会社さまや現地の方々、行政とも連携して最善の仕組みをつくっていこうと考えています。国産材のコストダウンを実現するため、例えば製紙や製材に向いていない山を、すべて燃料用途で活用、「燃料山」とするといった従来なかった思い切ったトライアルを、いくつも積み重ねていきたいと思います。当面はDaigasグループ内の発電所への燃料調達が中心ですが、いずれはグループ外にも販売したいと考えています。燃料のコストダウンを実現することで、すべてのステークホルダーに有益で、地球にやさしいバイオマス発電を定着させるのが目標です。

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