募集テーマ
NEXT21は1994年に居住実験をスタートした大阪ガスの実験集合住宅です。20世紀末にあって、次の21世紀を名に冠して未来のことを考える取り組みでした。しかも単に一時の未来予測を提案するだけでなく、実際に住むことで実証実験を重ねて次々と新しい未来像に挑戦してきた継続的なプロジェクトでもあります。それらはたとえば多様な家族形態にあわせた間取りなど、少し先を見据えた実験の繰り返しの日々でした。それらが連なることでもっと先の未来に届くような結果を期待して。
そして30年、プロジェクトを俯瞰することができる年月が経過してきました。その履歴をうけとめて、さらに先に進みたいと思います。NEXT21は20世紀末に描かれはじめた未来ですが、21世紀の今、さらに22世紀にトスするために考えなくてはいけないことが山積みです。たとえば主としてNEXT21の住棟内で行われてきた活動を近隣や地域を巻き込んで続けていきたいし、さらに先には地域を飛び越えて広がっていくことも考えたい。建築のハード面だけでなく、イベントを開くなどのソフト面での提案もしていきたい。あるいはもっと場所をシェアするようなあり方もあるかもしれない。AIやシミュレーションなどの技術面でも更新が必要な場合が出てくるはず。それらを多くの方々と一緒に考えたいと思っています。
30年経ったのですから、50年もそれほど先の未来ではありません。あるいは100年も。大袈裟に言えば、NEXT21は「人類にとってどのような価値をもっているのか」という大きな課題を考える段階に至っているという意気込みでとらえれば、人類全体の建築と比べた時にどのような価値をもち、そのことによってどのような役割をもっているものなのかを長い射程で考えうる素地ができてきたものと考えてみることもできるかもしれません。それを踏まえて、NEXT21をさらなるNEXTへ。
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締切
1次審査
(書類選考)
2次審査
(公開選考)
最優秀賞のプレゼンテーション
(シンポジウムにて)
2次審査を7月13日(土)に開催し、最優秀賞(1点)、審査員賞(6点)、大阪ガス賞(1点)、敢闘賞(3点)が決定いたしました。
副賞 100万円
裸貸しの野性的再編
広島工業大学
石井 涼也審査員コメント
これまで建築家がつくりあげてきたインフィルの部分を、住人が担っているのがポイント。ただ住人に任せても本当にこのような住まい方になるかは検討が必要です。
魚谷 繁礼
人間本来の野性を触発することで、部屋単位というより居場所単位の空間の連続によってプライバシーの濃淡を生み出し、通常専有部/共有部に分けられる共同住宅の概念を超えていく提案。SI構法によるNEXT21だからこそ生まれてきたアイデアであると同時に、より広く未来の共同住宅の可能性や、ともに住むことで生まれる新しい家族像の有り様を示唆するもので素晴らしいと感じました。
大西 麻貴
インフィルがスケルトンを凌駕しつつあるところに注目しています。非構成的なインフィル、手芸的なものによって住人が一緒に建築をつくりあげていくアイデアです。
門脇 耕三
共用部と専有部の境目をフラットにしている。NEXT21がまさにやろうとしていたことを前に進めるもの。共用部全体の熱環境をコントロールすれば現実性もあります。
川島 範久
住民の暮らしに対する積極性を手助けする建築になっています。ただ、完全に隠れることができるような逃げ場がないと実際の生活はできないはずです。
宮原 真美子
自分の家の一部が別の住戸になったり共用部になったりする、サバイバルな縄張り意識が想定されています。10年や100年では語れない人類の原始的な住まい方実験。
伏見 唯
いかに社会と向き合っているかということが分かる作品が多い中、多様化する家族の在り方を解決する提案で、専有部分を共用部に開放するという視点に新しい気づきがありました。
大阪ガス
副賞 10万円
- 減ることで生まれる小さなNEXT 経済圏 - N E X T 減築100年物語
広島大学大学院
谷 卓思 塚村 遼也 綱島 雄真 嶋 颯斗審査員コメント
存分には活かしきれていない共用部に対し、改修の度に床面積が減っていることにも着目し、その部分を住人による小商いスペースに転嫁する提案。なによりその未来のイメージが素晴らしかった。NEXT21が例えば30年後にこんな佇まいになっていたらいいな!と思わされた。法の解釈には疑問も残るが、とはいえその実現のための仕組みも検討されていた。この案以外にもコンペで終わらすには勿体ない多くの発見と発明が提示された。
魚谷 繁礼
副賞 10万円
立体商店街路 -小商い建具通り-
大阪工業大学
田村 知広 川上 玄 (大学院) 神山 響 (大学院) 賀谷 陽樹 黒田 大智 坂井 綾莉 西島 咲紀審査員コメント
住居で小商いができる計画によって、既存の立体街路を「立体商店街路」とすることで、職住一体の共同体のあり方を示唆する提案。インフィルを「まちインフィル」と名付け、地域の商店で使われなくなったマテリアルを材料として転用することで、周辺の街とより連続的となり、NEXT21が街の拠点となる未来が感じられたところも魅力的であった。
大西 麻貴
副賞 10万円
共同親権の家
芝浦工業大学大学院
有田 俊介 井上 啓夢審査員コメント
集まった数多くの提案を総覧して感じたのは、むしろNEXT21に込められたアイデアの多彩さである。提案で触れられている論点の多くが、すでにNEXT21で扱われているのである。その先見性には驚かされるほかない。
一方で、人口減少や環境問題の進行、情報技術の発展などは、30年前には想像できなかった水準に至っている。特に日本の人口再生産は危機的な状況で、家族のあり方は根本的なレベルで問い直される必要があるのではないか。そんな中で、有田俊介らによる《共同親権の家》は、ひとつの家族の異なる複数の部分集合が、それぞれ別の住宅に住まう姿を描くもので、家族と住宅のこれまでにない関係の提案に至っている。離婚した夫婦の暮らし方にはリアリティが欠ける部分があるが、ここで示された共同的な子育てのあり方には可能性がありそうだ。
門脇 耕三
副賞 10万円
インフィルがつむぐ小さな日常
大阪工業大学
光野 綾華 井田 雅治 (大学院) 天場 啓人 (大学院) 呉本 蓮 中村 拓輝 向出 祥馬審査員コメント
「スケルトンは恒久的でインフィルは消耗的である」というこれまでの考えに対して、この案では役目を終えたインフィルも資源ととらえ、最も消費的である設備や配管、ダクト、配線を再利用しています。またそれらの素材からつくられた家具は、素材に戻して使えるものもあり、そのフレキシビリティにも可能性を感じました。
川島 範久
副賞 10万円
サバティカルスペースからはじめる社会貢献
兵庫県立大学
森 夏規 岸本 麻由 藤近 愛 南田 愛斗 森田 真央 大寺 ちひろ 髙杉 優里 丹葉 あい子 原 小羽審査員コメント
ひと部屋が一般的な住戸面積よりかなり広く計画されているNEXT21の特徴を掴み、これまで少し持て余していた過剰な面積の活用を、社会貢献や第二のライフステージを意識したサバティカル休暇がある働き方から提案している点が、非常に現代的なテーマ設定であり評価をしました。
宮原 真美子
副賞 10万円
NEXT221 | Space To-Gather: A Room for Imagination
森と、ともに 地域と、ともに 建物と、ともに 居場所を、ともに
明治大学大学院
石見 優太 高橋 尚希 木村 美咲 塩崎 未琴 CHOY RUI ZHI LIU JIAWEN審査員コメント
多くの研究をもとに先学たちによってつくられた理論の結晶のような建築に対し、力強いドローイングと文学的なテキストの引用によって意識的に情緒をからませようとする提案に見えた。確固たる理論があることで、そこで行われる実際の振る舞いは理を含んだ美ともなりうるが、いっぽうでそのような状況にあっても、理の牙城に感情をもって迫ろうとした意欲作。
伏見 唯
たくさんのご応募をありがとうございました
魚谷 繁礼(うおや・しげのり)
1977年生まれ。2001年京都大学工学部卒業。03年同大学大学院工学研究科修了。現在、魚谷繁礼建築研究所代表。京都工芸繊維大学特任教授。23年「郭巨山会所」にて日本建築学会賞(作品)を受賞。
大西 麻貴(おおにし・まき)
1983年生まれ。2006年京都大学工学部建築学科卒業。08年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。現在、大西麻貴+百田有希/o+hを共同主宰。横浜国立大学大学院Y-GSA教授。京都大学非常勤講師。23年「山形市南部児童遊戯施設 シェルターインクルーシブプレイス コパル」にて日本建築学会賞(作品)を受賞。
門脇 耕三(かどわき・こうぞう)
1977年生まれ。2000年東京都立大学工学部建築学科卒業。01年同大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。首都大学東京助教などを経て、現在、明治大学教授。アソシエイツパートナー。博士(工学)。第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展にて日本館のキュレーターを務める。
川島 範久(かわしま・のりひさ)
1982年生まれ。2005年東京大学工学部建築学科卒業。07年同大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了後、日建設計、東京工業大学助教などを経て、16年東京大学大学院博士課程修了。現在、明治大学准教授。川島範久建築設計事務所代表。博士(工学)。14年「NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)」にて日本建築学会賞(作品)を受賞。
宮原 真美子(みやはら・まみこ)
1981年生まれ。2005年日本女子大学家政学部住居学科卒業。08年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。13年同大学院博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、日本女子大学助教などを経て、現在、佐賀大学准教授。博士(工学)。シェア居住、多世代交流拠点、コロナ禍における在宅勤務など、建築計画を専門にしている。
伏見 唯(ふしみ・ゆい)
1982年生まれ。2006年早稲田大学理工学部建築学科卒業。08年同大学院創造理工学研究科建築学専攻修士課程修了後、新建築社、同大学院博士後期課程を経て、14年伏見編集室を設立。博士(工学)。建築史家・編集者。『TOTO通信』などの編集制作を手掛ける。
2024年4月1日時点で、大学・大学院(博士課程は除く)・工業高等専門学校・短期大学・専門学校・高校等の学生であること。
グループ・個人は問いませんが、グループの場合は全員が学生であること。
本コンペに応募される方は、以下の「エントリーフォーム」から事前登録を行ってください。
エントリーフォームへご入力いただきましたら、登録番号を自動返信メールで発行いたします。
NEXT21の未来を提案してください。どれくらい先の未来を想定するのか、あるいはどのような未来を描くかは自由に設定していただければと思います。たとえば、地域へ開く仕組み、長く使われる住まい方や空間、さらに緑と共生する姿など自由な発想で提案してください。
対象範囲は建物全体または範囲を限定した提案でもかまいませんが、限定した場合においても共用エリア(1階~2階)と住居階(2~6階)を提案してください。
住居階については1フロアでも複数フロアでもかまいません。
ただし、住戸単体のみの提案は不可です。
[建物概要]
建物名:実験集合住宅NEXT21
所在:〒543-0011 大阪市天王寺区清水谷町6-16
規模:地上6階、地下1階、共同住宅18戸
2024年4月1日(月)~6月16日(日)まで
PDFデータ(A1サイズ:594×841mm/片面/横/10MB以下)1枚に下記の内容をまとめてください。
使用言語は日本語または英語とします。
(1) 設計趣旨
(2) 平面図、断面図、展開図など設計趣旨を表現する図面(図面には必ず縮尺を記入)
(3) その他パース、模型写真、CGなど設計意図を伝えるもの(表現は自由です)
受付メールアドレス:next21@kbinfo.co.jp
メール件名:登録番号を記載してください
審査は2段階で行います。1次審査ではすべての応募作品の中から、2次審査に進む作品を選出します。2次審査に進んだ作品は、公開の場でのプレゼンテーションを経て、各賞を決定します。大阪ガス賞は、大阪ガス社員により決定し、最優秀賞や審査員賞と兼ねる場合もあります。
1次審査結果発表 | 2024年6月28日予定 1次審査通過者に通知、当サイトにて発表します。 |
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2次審査 |
2024年7月13日(土)
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2次審査結果コンペ公式サイトへの掲載
2024年8月下旬予定 | |
表彰式 | 2024年7月13日(土) 公開2次審査後、表彰式を行います。 最優秀賞の作品は、11月8日(金)および22日(金)に開催する「NEXT21 30周年記念シンポジウム」にて簡単なプレゼンテーションをお願いします。 |
課題に関する質疑応答は行いません。規定外の内容については応募者の自由裁量とします。
また審査状況に関するお問い合わせには一切応じられません。
応募作品の著作権・意匠権等の知的財産権(著作権については、著作権法第27条および第28条の権利(翻案件等)を含みます)は、応募の時点で主催者に移転するものとします。
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募集
締切
1次審査
(書類選考)
2次審査
(公開選考)
表彰式
(シンポジウムにて)
問い合わせ先
大阪ガス実験集合住宅 NEXT21学生アイデアコンペ事務局
TEL:0120-060-218 ※平日10時~17時(土・日・祝日は除く)
Mail: next21@kbinfo.co.jp
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