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大阪ガスは、「いただきます」で育もう。をスローガンに、食育活動に取り組んでいます。

お役立ち情報

歴史と風土を肥やしに

 「黒門といえども色はあおによし奈良漬にして味をしろうり」。
江戸時代の狂歌師・鯛屋貞柳という人が詠んだ歌です。
当時、大坂の玉造界隈(かいわい)で盛んに栽培され、なにわ名産「くろもん」として愛された「玉造黒門越瓜(しろうり)」の存在感が、摩訶(まか)不思議な言葉の連なりで、ユーモラスに表現されています。

 ルーツは古代中国の越(えつ)の国が原産地ということで、「越瓜」と書いて「しろうり」と読むのですが、「白瓜」と書くこともあります。それにしても「しろうり」なのに「くろもん」という呼び名の由来が気になります。江戸時代、大坂城の玉造門が黒塗りで別名黒門と呼ばれ、その辺りで作られた瓜だから「くろもん」と言ったのだとか。さらに面白いのは「しろうり」でありながら、外皮は濃い緑色をベースに、白い縦縞(たてじま)が数条入る、色鮮やかで粋な姿であることです。実を割ると、白くてきめの整った美しい果肉が現れます。

 良質の瓜は、江戸時代、玉造界隈に集積していた酒造業と結びつき、名物の奈良漬け(粕漬け)を生み出したというのです。

 時は流れて、今、玉造界隈は大阪の都心部の一角。かつては豊かに広がっていたという畑も酒蔵も姿を消して久しいのですが、2002年に玉造稲荷神社さんの尽力で境内に瓜畑が設けられ玉造黒門越瓜が戻ってきました。毎夏、祭礼に合わせて食味祭も開催され、今年も涼やかな越瓜料理がふるまわれました。

 復活から11年、神社の瓜畑から周辺のまちへ、栽培の輪が少しずつ広がっています。といっても、お店の軒下や長屋の坪庭、マンションのバルコニーでの栽培で環境の制約も多く、結実に至るのは容易ではありません。

 私も毎年苦戦。だからこそ学べることがたくさんあります。
大阪府は現在、17種の「なにわの伝統野菜」を認証。玉造黒門越瓜もその一つです。大阪に限らず、各地に固有の風土に育まれた伝統野菜があります。まちなかにあっても、足元に広がる大地や歴史とのつながりに気づく格好の素材です。


筆者:大阪ガス株式会社 エネルギー・文化研究所 研究員 弘本 由香里
毎日新聞 大阪本社 夕刊 2013.8.2掲載

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