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大阪ガスは、「いただきます」で育もう。をスローガンに、食育活動に取り組んでいます。

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移ろいめでる日本の心

 「清水へ祇園をよぎる桜月夜 今宵(こよい)逢ふ人みなうつくしき」(与謝野晶子)の調べに誘われ、先週、京都に出かけました。この時期、満開の桜と再会し、誕生日やお正月とは違った感じ方で、一つ年を重ねたことを実感した方も多いのでは?

 「年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず」。唐の詩人・劉希夷(きい)の詩「代悲白頭翁」の一節です。毎年、季節が巡って同じように花は咲くが、それを見る人は同じではありえないと、不変の自然と人の世の無常を対比します。中国で花と言えば桃を指すことが多く、この詩も、桃と李すももの花が咲き乱れるイメージから始まりますが、全体のトーンは「白頭翁(老人)」がはつらつとした「紅顔子(若者)」をうらやみ、自身が年老いたことを嘆くというものです。

 日本でもこの時期、同じ頃に開花する桜と結びつけて引用されますが、元の詩の沈うつな雰囲気とは異なり、明るい花見の風景に陰影を与え、無事一年を過ごして再び春に巡り会えた喜びを感じさせてくれる魔法の言葉のようにも思えます。

 「散ればこそいとど桜はめでたけれ 憂き世に何か久しかるべき」(伊勢物語)とあるように、古来から日本人は、すぐに散ってしまうからこそいっそう桜がいとしい。この世に永遠に続くものはないと、人も自然も区別なく、諸行無常として受け入れる風があります。仏教思想というより、日本人独特の感じ方―美意識なのかもしれません。

 「はかない」「うつろい」を愛する心は、日本の風土に根差すがゆえに、私たちのDNAの中に深く刻まれているのではないでしょうか。これを感じさせる風物、景色を、和食などとともに「クール・ジャパン」のメニューに加えれば、より広く、世界に日本の魅力をアピールできそうです。そのためには私たちが日ごろから自然や歴史・文化に親しみ、感性を磨く必要があります。これから咲くツツジやボタン、ショウブ、アジサイ……。これらもめでながら、心に磨きをかけてみたいものです。


出典:大阪ガス株式会社 エネルギー・文化研究所 所長 木全 吉彦(執筆当時)
毎日新聞 大阪本社 夕刊 2014.4.11掲載

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