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食育シリーズ

食育の視点からみた「おせち料理」の意義

執筆:女子栄養大学 教授 武見ゆかり先生

今年も残すところ約1ヵ月となりました。お歳暮の手配や年賀状の準備など一段と忙しい季節です。その中でも「おせち料理」の準備は、ひと際大事、というご家庭も多いのではないでしょうか。

おせち料理は、元々、一年の折り目折り目、すなわちセチ(節)に行う神祭りの供物がセック(節供)でしたが、現在は、おせちといえば正月の食物を指すようになりました。本来は、「年迎え」の膳として、大晦日に食べるものでしたが、今では、北海道や新潟など一部の地方を除いて、元旦以降に食べられています。

私たちの「食生態学研究室」を創設された女子栄養大学名誉教授の足立己幸先生は、おせち料理の意味を、以下のように説明されています。
(足立己幸編著「食生活論」pp.69-78, 1987年 医歯薬出版 より抜粋、一部改変)

  • 1)保存性の高い料理が多い:お正月の三が日、主婦も家族と一緒に新年を祝い、特に調理をしなくても、家族そろって食事ができるように、保存性の高い料理が多く準備されていました。かつては、この期間は、お店も開いていなかったし・・・。
  • 2)生活の中の願いがこめられた料理:おせち料理の各料理には、健康や長寿、幸せ、子孫繁栄、豊作など、人々の暮らしの多様な願いが込められて、食べ続けられてきました。日本の食文化を学ぶ絶好の機会といえましょう。
  • 3)主食・主菜・副菜のそろう栄養バランスの良い料理:お餅やお寿司は主食、海老に伊達巻、鶏肉の松風焼きなどは主菜、なますにたたき牛蒡、野菜の煮物などは副菜と、「主食・主菜・副菜」がそろったバランスのよい料理の組み合わせになっています。
  • 4)重箱の食器としての魅力:家族皆が食べる食物の総量を容器として、具体化しているのが重箱です。漆など日本の伝統工芸を生かした食器としての美しさも見逃せません。
  • 5)食事づくりの計画性を育てる:おせち料理づくりは少なくとも2,3日以上の計画性を持って、材料を集め、下ごしらえをし、調理し、お重に詰める作業を必要とします。計画性なくして、大晦日に美しいおせち料理の完成を見ることは難しいでしょう。祖母から母へ、母から子へと、計画的な食事づくりを共有し伝承する機会としての意義は大きいと考えます。手作りすることで、食べる人(家族など)それぞれの好みに合わせた味付けや調理法を工夫できることも、手作りの良さです。
  • 6)料理づくりや共食の場を家族に提供する:ふだんは忙しくてなかなか揃わない家族でも、お正月は家族がそろう絶好の機会です。食べる場の共有だけでなく、子や孫世代など、異なる世代が共に料理をつくり、食べる、まさに「食」の共有の機会です。

このように、おせち料理には、食育の視点からみて、次世代の「食」を育てるいくつもの役割と可能性があることがわかります。

我が家も、超忙しい母(私)をもつ家庭ですが、おせち料理づくりだけは、娘が小学校5年生になった時から毎年欠かすことなく、祖母、私、娘3人の共同作業として続けてきました。大学生の娘は、暗黙のうちに、年末にはこの共同作業があると了解しているようです。写真は、一昨年、娘が大晦日の留学生と一緒の年越しパーティー用におせち料理をお重に詰めたものです。日本のお正月を少しでも感じて欲しい・・・と。いつの間にか親のすることを見て、詰め方も会得していたようです。料理と料理の隙間に庭の椿の花を飾るあたりは、彼女ならではのセンスです。

[我が家のおせち料理]
娘(大学1年)が友人宅に
持参するために詰めた4段重(4人分)

「我が家のおせち料理」イメージ写真

今の季節は、デパ地下から、スーパーマーケット、コンビニエンスストまで、食料品を扱うほとんどの店に、和洋中華の多種多彩なお節料理の見本が並んで華やかです。内容や値段を吟味しながら選ぶ楽しさがあります。家庭ではちょっと作れないような凝った料理もうれしいものです。しかし、果たして、市販のおせち料理に、家庭でつくる「おせち料理」が持つ、上記のような「食」を育てる可能性があるでしょうか。もちろんゼロとは言いません。が、食事づくりの機会を異世代で共有する点に関しては、かなり弱くなってしまいます。

忙しい年末にすべての料理を手作りすることは大変です。でも、今年は、なますと伊達巻と煮物・・というようにいくつか選んで手づくりし、その他は市販品を組み合わせてオリジナルのお重を作ってみるのも良いかもしれません。これから迎える年末年始を、絶好の食育の機会ととらえ、何かトライしてみてはいかがでしょう?

武見 ゆかり教授 プロフィール

武見 ゆかり教授

東京都出身。慶應義塾大学文学部フランス文学専攻卒。編集社勤務を経て、栄養学の道へ。
女子栄養大学大学院修了後、女子栄養大学助手、専任講師、助教授を経て、2005 年より女子栄養大学・大学院教授(食生態学研究室)に就任。
専門は栄養教育論、公衆栄養学。 博士(栄養学)、管理栄養士。
日本学術会議 連携会員、日本健康教育学会理事、日本栄養改善学会評議員。
内閣府 食育推進会議食育推進会議専門委員として国の食育推進に、厚生労働省厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会委員として、健康日本21(第2 次)の策定に関わる。
大学院生の息子と大学生の娘の母という一生活者として、子どもの食育を実践。

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