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講師 水野 敬 氏 講師 水野 敬 氏 国立研究開発法人理化学研究所健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム健康計測解析チーム チームリーダー・大阪市立大学大学院医学研究科  疲労医学講座 特任教授 「子どもたちの健康を育む〜疲労回復と食生活〜」

疲れがとれない慢性疲労状態の子どもたちが増えており、健康力の低下が懸念されています。最近の脳科学の研究から、慢性疲労により学習意欲が低下し、脳機能の発達にも悪影響を及ぼすことがわかってきています。慢性疲労を防ぐためには、「早寝早起き朝ごはん」国民運動にもあるように、バランスの取れた睡眠、運動、食事が重要です。水野先生から「子どもの健康増進生活」などについてご紹介いただきました。

睡眠時間の充足と家族とのコミュニケーションが生活の基本

講演Ⅰ

  私は、神戸のポートアイランドにある理化学研究所で脳科学の研究をしています。特に、子どもたちが発達していく段階で疲労がたまりすぎると、うまく脳が働かない、やる気が起きない、このメカニズムに焦点を当てた研究をしています。
  文部科学省は「早寝、早起き、朝ご飯」を奨励していますが、習い事などが多様化し、今の子どもたちは非常に忙しく、家族とのコミュニケーションを取る時間や睡眠時間が削られている状態です。しかしながら、脳機能を高めるために、十分な睡眠時間や家族としっかりとコミュニケーションをとる時間も非常に重要だということが科学的にわかってきました。家族との会話や食卓を囲むための環境づくり、つまり生活習慣をきちんと、今一度見直す必要があります。理想的なことを言えば昭和のような生活を営むことですが、私たちがスマートフォンを手にしてしまった今、なかなかあの時代に戻ることはできません。よって、脳を使って生活習慣の見直しや改善できる点がないか、工夫をしてみる。どうすれば効率的にきちんと学ぶ時間も、運動する時間も、コミュニケーションの時間も、睡眠時間も十分にとれるのか。1日だけではなく、1週間、1カ月のスケールで広い視野で工夫できることはないか、家族みんなで相談しながら考えていく。これがとても重要ではないかと思います。
  子どもたちが社会人になったときに必要なのは、身体も心も脳もタフであることや、アイデアを出す「提案力」が身についていることです。この力のベースとなるのが「いい生活習慣から創られる健康力」ではないかと思っています。

朝ごはんをしっかり食べて早く寝るのがポイント

講演Ⅰ

  「いい生活習慣」のポイントは、朝からすっきりと目覚めること。特に、未就学児と小学生の時期が重要になります。私自身も、小学2年生の娘に対して、夜の9時までに寝ることを一生懸命すすめています。大変ですが、早寝習慣の継続により、娘は目覚まし時計なしで起きてくるようになりました。
  実は、睡眠中はエネルギーをたくさん使うため、朝からご飯をしっかり食べたくなります。朝からエネルギーをしっかり入れることで、午前中の授業に集中できます。昼食後、少し眠くなりますが、夕方になったときには「1日、がんばれた」と「達成感」が出てきて、やがて脳に「安心感」が生まれます。すると、スマートフォンを操作したりなど、達成感を得るために、必要以上に夜間にがんばらなくてもいいのです。すっきりと朝から目覚めるためには夜に強い光を浴びない、光刺激をさけるようにする。睡眠と覚醒のリズムが整う生活習慣を「生活のポジティブサイクル」と私はいっています。
  10年前に比べるとメディア機器は非常に小型化し、現在は、子どもたちが、いつ、どこで、どれぐらいゲームや動画視聴などをしているかわかりません。つまり、子どもへの光刺激を、親として防ぐことが難しくなってきています。またソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などを介し、自宅に帰っても友だちとつながる時間があります。家族との会話では、「何を言っても保護者は受けとめてくれる」という安心感がありますが、外部の友だちとのつながりは、気をつかう時間が続くことになり、子どもたちの脳は常に緊張状態。これをオフにしてあげることが大事です。

日本の中学・高校生は世界的に見て睡眠不足

講演Ⅰ

  ある地域で、中学生の塾の終了時刻を調べると、夜の9時、10時に終わるのが当たり前でした。大人の残業時間と変わりません。私たちの2015年度「疲労実態調査」では、「1カ月以上続く疲れがある」児童生徒は小学生で30%、中学生で44%、高校生が58%でした。3カ月以上疲れが続く「慢性疲労」の子どもたちは「小学校高学年」で5%、「中学生」で10%、「高校生」だと15%もいました。小⇒中⇒高と睡眠時間は短くなりますが、この睡眠時間の劇的な変化により、疲労が溜まる児童生徒が増えている実態があります。
  必要な睡眠時間は「未就学児」が10時間以上で、「小学生」であれば9時間、「中学生以上」で8時間が必要というレポートがありますが、日本の中高校生は足りていません。
  高校生で約60%も疲れていて、15%が慢性疲労状態です。このまま疲労度が高い状態で社会人を迎えた時、初めて経験する仕事上の大きなストレスがかかることによるメンタルヘルスの問題、うつ病発症などが懸念されます。子どもの頃から、「睡眠習慣を含めた健康リテラシー」の教育がとても必要であることを、保護者や私たち大人がしっかりと再認識する必要があるのではないでしょうか。

睡眠不足を解消し皆が笑顔の社会であるために

講演Ⅰ

  社会人にとって必要な資質の一つである「コミュニケーション能力」は、前頭葉と頭頂葉の発達が鍵となります。子どもから大人にかけて著しく発達します。思春期に慢性疲労の問題を抱えると、これらの脳の働きが低下してしまいます。また、やる気・意欲に関わるドーパミンの働きも低下してしまいます。睡眠不足を解消し、慢性疲労を防ぐことが、意欲的で脳機能を高めるために重要です。大阪市淀川区では、「淀川区の子、よく寝る宣言」で「ヨドネル」プロジェクトを実施し、睡眠習慣の改善のための様々な取り組みを進めています。ヨドネルの調査研究からも、光刺激を避け、家族と過ごす時間や適度な運動が睡眠をとるために重要であることも明らかとなっています。詳しくは「淀川すいみん白書」にまとめていますのでご覧ください。
  大阪ガスでは親子のクッキングタイムを設けられていますが、親子のコミュニケーションツールとしても、素晴らしい取組ではないでしょうか。また、一生懸命に物事に取り組み、家族から褒められることは、子どもの脳の発達にいい影響を及ぼします。
  ぜひ、さまざまなことに挑戦する子どもたちを褒めてあげてください。皆さま、ご静聴いただき、ありがとうございました。

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