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講師 西本 裕紀子 氏 講師 西本 裕紀子 氏 大阪母子医療センター栄養管理室 副室長 「子どもの健やかな成長・発達を支える食生活とは」

子どもにとっての食事とは、色々な食物を食べて必要な栄養を取り入れることと、味覚や嗜好の発達を促すという働きがあり、それによって心と体が成長・発達し生きるための基本的な能力を培う重要な営みです。不適切な食事による栄養障害は成長障害(低身長)や肥満・肥満合併症を引き起こします。では、不適切な食事とはどのような食事なのか、低身長や肥満・肥満合併症を予防・改善するポイントは何かを、豊富な栄養食事指導の経験と周産期・小児専門病院における臨床研究データをもとにお話いただきます。また、味覚や嗜好の発達を促し、子どもの「食べる力」を健全に育んでいくための食環境についてもふれていただきます。

多くの子どもが低身長や肥満で悩む時代へ

基調講演

  私が30年以上勤めている大阪母子医療センターは、周産期と小児専門の病院です。そこでの経験からお話をさせていただきますが、まず、子どもは大人のミニチュア版ではありません。大人と比べて成長や発達するところが異なります。そんな子どもにとって、栄養を取り入れる働きや味覚、嗜好の発達を促し、それにより心と体が成長・発達し、生きるための基本的な能力を身につけていくことが食事だと考えます。
  それでは、何をどれだけ食べて栄養を取り入れるのか。成長期の子どもは多くの栄養が必要です。乳児期は、1歳までの間に1.5倍に身長が伸びて4歳くらいまでに生まれた頃の2倍の身長になります。乳児期の成長には栄養の摂取が重要な働きをし、小児期は成長ホルモンの影響で身体が大きくなります。脳の下垂体から分泌された成長ホルモンは肝臓や骨でIGF-1という成長因子を作り、骨や筋肉を成長させます。低栄養や睡眠不足に陥ると成長障害となります。
  大阪母子医療センターで2017年に行った栄養指導は、小児部門で2,900件。その中で「低身長を含めた発育不良、栄養不良の指導件数」は1101件で、肥満もほぼ同数となりました。そのうち、基礎疾患がない子どもは1/3。もともと特別な病気が無いにも関わらず「低身長」や「肥満」になって病院に通院しているのです。

低身長の改善は栄養バランスの充実と適切な食事時間の設定

基調講演

  身長の平均値からの分布の幅をSD(標準偏差)で表現しますが、-2SDラインを下回ると低身長となります。基礎疾患のない低身長の子どもの栄養状態を調べると、亜鉛の値が低いことが分かります。国民栄養調査と低身長児を比較すると、日本人の摂取基準で標準体格の子どもの必要量を100とした場合、低身長の子はタンパク質、特に炭水化物が低い傾向にあります。しかも、食べる量が少ない割に脂肪は少なくありません。ビタミン、ミネラル、ビタミンA、B1、亜鉛、カルシウム、リン、鉄も少ない特徴が見られます。
  こうした子どもの食事は、穀物、特に米の摂取量が少なく、芋類・野菜類・肉類・乳類も少ない。一方で、菓子パンなど間食やジュース、スポーツ飲料などを過剰に摂取し、脂質の多い食生活を送っています。亜鉛は唯一、身長を伸ばすことがわかっている栄養素ですが、1日の食事から摂取できる量は米からが1/4を占めています。つまり、米の摂取量が少なくなると炭水化物も亜鉛の量も少なくなり、成長が阻害されるという訳です。
  栄養指導のポイントは、夕食を早め就寝前の間食をやめるよう指導すること。就寝時間を早めて、朝ご飯を充実させてもらいます。栄養状態が悪く身長が低い子どもは、栄養改善することで身長も伸びていきます。食事を地道に改善することで変化するのです。

周囲の大人が過食を看過している環境が子どもの肥満を助長

基調講演

  肥満に関しては、栄養が過剰になると肥満になります。肥満が進行すると、子どもでも内臓に脂肪がついて肥満症となりメタボリックシンドロームの症状が出てきます。内臓脂肪の蓄積によって、動脈硬化の危険因子をあわせもった状態となり、将来は心血管イベントに発展するリスクが高くなります。これは、子どもの頃からでも発生し、運動機能の障害、月経異常も生じます。そのことで、学校でいじめを受けるなどの精神的、心理的、社会的な問題が併発してきます。
  肥満児の場合、81例を調査すると5歳から、つまり幼児期から肥満になっています。肥満は予防が大事ですが、肥満児と食生活のパターンを見てみると、間食をダラダラと食べ続けて栄養バランスも生活リズムも悪い、あるいは、給食でおかわりをするなど過食傾向にあることが分かります。ところが、子どもが食べ過ぎていること、何を食べているかを自覚していない保護者も多く、子ども自身も肥満に対する抵抗感が薄い傾向があります。
  過食するのは、食べるのを許してしまう家庭や学校での環境があるからです。適切な食事と規則正しいリズムで肥満を予防することが大切ですが、これは周囲の大人の役割になります。

栄養バランスを整え間食を減らし家族で食卓を囲んで食育

基調講演

  改善方法としては、子どもの好きなものだけで固めず、毎食、主食、主菜、副菜を組み合わせて食べ、主食とタンパク源の適量を守るようにします。野菜をしっかり使ってボリュームアップし、野菜を好きな子どもに育てるのが大事なのです。食物繊維が空腹を満たし血糖の上昇を緩やかにし、肥満を予防してくれます。また、肥満に限らず、低身長や食の細い子どもも、大皿盛りにすると好きなものだけを食べて嫌いなものは食べません。保護者が適量を守ることが大事なのです。そして、ゆっくり、よく噛んで食べるように指導しましょう。
  子どもにとって間食は楽しみであり、エネルギーや栄養分、水分補給になりますが食べ過ぎてはいけません。おやつは時間を決めて適量を食べることに尽きます。ジュースや牛乳、スポーツ飲料なども適量を守り、水分は水やお茶など0kcalの飲料で摂取しましょう。お弁当も、5歳児で400kcalの場合、同じサイズの弁当箱を選び、主食が全体の半分、残り1/3が主菜、野菜などの、副菜にすると栄養バランスが自然と整います。
  いつ、どこで、誰と、どのように食べるかということも重要です。「早寝、早起き、朝ご飯」に尽きる訳ですが、食生活のリズムが整っていると身長の伸び率も改善します。また、「孤食」を見直すことも大事。「家族といっしょに食卓を囲む」ことで食事が楽しくなり、消化吸収がスムーズになりコミュニケーション能力もつきます。マナーが身につき偏食も少なくなるはずです。周囲の大人が教え、見守る。それが子どもの健やかな成長や発達を支えるのです。

当日の講演資料はこちら(PDF)

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