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服部幸應氏 服部幸應氏 学校法人服部学園理事長・服部栄養専門学校校長
食育の背景からみる日本の実情

食育を通じた生活習慣病予防や地球環境保護の講演活動に精力的に取り組んでいる。
藍緩褒章、厚生大臣表彰および、フランス政府より国家功労勲章および農事功労勲章を受章。

食育基本法が制定されて7年。“食育”という言葉は浸透してはいるけれど…

講演風景写真

 私は内閣府の食育推進会議委員を務めており、内閣府の中での調査で、どのくらいの方が食育を知ったのか。現段階で食育基本法が制定されて7年たちましたが、なんと74%の方が「食育って聞いたことがあるよ」といってくれるようになったんですね。ただ、中身を調査すると、34.3%しか理解していない。「親子料理教室でしょう」「農業体験じゃないの?」という回答が多い。どうも食育のイメージが、そういうところにあるようですね。本来食育基本法は「知育、徳育、体育」が機能しなくなったのは「食育」がなくなったため、そこで制定したものです。
 1つ目の柱。どんなものを食べたら安全か危険か、健康になれるか、これを選ぶ能力。「選食能力」ですね。調理済加工食品が水分ありますが、電子レンジでチンして食べていらっしゃる方が増えましたね。どうも、こうした食品は余計なものを加えていることが多い。ところが皆さん、お忙しい方ばかりなので「そんなの、やっている暇ありませんよ」となっているのが現状です。
 小学生に「おふくろの味」というテーマで調査しました。「肉じゃが」「カレーライス」が出てきます。中には、調理済加工食品もある。「電子レンジでチンして出してくれることが、おふくろの味だ」と。昔と概念が大分変わってきている部分もあって、これは怖いなと思います。実を言うと、おふくろの味というのは8歳までに刷り込まれた味です。12歳になっても15歳になっても20歳になっても、「懐かしいな」「ホッとするな」というものなのです。少なくても手作りが大事です。保存料や添加物の入った食品は、子どもたちが味覚障害を起こしてしまうからです。

女性の方が長生き。しかし、最近は食生活の乱れから若い女性は痩せ願望なのが問題

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 最近は、男のお子さんは、少し太めが多い。女のお子さんは、思春期になると痩せ願望が増えてきます。大事なのはBMI。Body Mass Indexです。体重を身長の自乗で割ると出てくる数値です。22前後で出てくれば標準です。25を超えると肥満、18.5以下を痩せといいます。今から14年前にミス・ユニバースの審査員をやっていましたが、僕が選んだミス・ユニバースの基準は22+α1くらい、23くらいの数値の人を選びました。ところが7、8年前から基準が変わって18.5以下でないと優勝しなくなりました。
 僕は骨密度のピークを研究していましたが、骨を見ると、20代の女性はどうも成長がおかしい人が多い。子どもの時から好きな時に、お菓子をちょぼちょぼと食べて、お腹一杯になっちゃったと。こうしたバランスの悪い食生活を送ってきた方は骨の成長が著しく悪いんですね。中がスカスカなんです。こういう女性が日本には増えてきた。これは何とかしないといけません。
 今、100歳の方が何人いるかご存じでしょうか。去年9月の調査で47,756名。そしてその内、女性が4万人います。「ピンピンコロリ」という言葉がありましたよね。「仕事をしている最中にパタッと倒れて、そのままいっちゃうのは、楽でいいよ」といいますけど、それはダメです。残された人が可哀相。2週間くらいは猶予が欲しいので「ピンピン2週間コロリ」。特に女性は、長生きはしているけど、寝たきりの方が多いので。若い頃の食生活が大事になるのです。

食育の原点である「家族が一緒に」という考え方を失い、教育力が低下した日本の家庭

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 われわれが調べたところによると、“孤食”している家庭が多いです。食事をする部屋の96%にテレビがおいてあるのが日本です。大体75%は画面をつけています。アメリカも含めた27カ国の調査で分かったことは、日本の3分の1しかテレビをおいておらず、ほとんどテレビをつけてないんです。食育基本法と法律をつくったときの一番の基本は、「食卓基本法をつくろう」ということ。食卓での共食が崩れたから、日本の食はおかしくなったということを認識してほしいと思います。
 食育というのは、まずは食卓を大事にして、一緒に食事をしながら、いいか悪いかを教えてあげる家庭教育なんですよ。家庭教育の一番大事な部分が食卓だということを改めて確認していただきたいです。今度、僕も委員を務めている中央教育審議会で、食育を去年4月から小学校の学習指導要領に取り入れました。中学は今年4月から、高等学校は来年4月から導入することになりました。しかし、それは学校教育だけでは駄目で家庭で教えなくてはならないことだと思います。
 今、日本では一緒にご飯を食べても、お父さんがカレー、お母さんがパスタ、そして子供がピザなど家族それぞれが違ったものを食べていたりします。共通の料理を食べないと、食べなくてはいけないものが分かりません。“家族が一緒に。食育の一番の原点です。

食料自給率を上げる工夫をし、家庭にかつての日本の食卓を取り戻すことが大切

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 それから、食糧問題と環境問題があります。日本の食料自給率は平成22年はカロリーベースで39%でした。料金ベースで69%です。輸入は61%。心配なのは平成23年です。発表になる8月15日に、去年の大震災後の自給率が出るからです。東北5県の生産力が大幅にダウンしたので、そういうことから考えると、自給率はかなり下がるはずです。
 世界は今、75億人いますけど、これから日本はどんどん人口は減る。それに対して外国は増える。中国とかブラジルなどの方が高くお金を払うので、そちらに食糧を持っていかれてしまいます。日本はこれから、外国から食糧が買えません。日本の農家の95%が兼業農家です。ですから、日本は農業や漁業を魅力あるものにして自給率を高めるために、若者が農業に就きやすいような制度にしないといけないんです。
 政治家みたいな話になりましたけど、食育から、さまざまな日本の現状が見えてきます。皆さんには子育てのためにも、「食事は一緒にしなさいよ」「おふくろの味をつくってあげないさいよ」と周囲の方に伝えてほしいと思います。全部でなくても、1品でもいい。自分のお母さんがつくってくれた「懐かしい」料理でなくてはだめ。それさえできれば、食育になります。
 「食事バランスガイド」は僕も委員でしたので、「3・1・2お弁当」も併せて組みあわせて活用していただき、ぜひ世の中で食育が広まるように、皆さんにはご協力願いたいと思います

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