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研究者・教育者の声

脳科学、児童教育学、生物人類学、知能行動学各分野の研究者の方々から「火育」に対する期待の声が寄せられています。

  • 川島隆太教授

    川島隆太教授

    PROFILE

    東北大学加齢医学研究所脳機能開発研究分野教授。 1959年生まれ。東北大学大学院医学研究科修了。同大学講師等を経て2001年より現職。著書に、「自分の脳を自分で育てる」、「脳を鍛える大人の音読ドリル」など。

    火を扱うと脳が活性化する

    子どもたちが火に親しみ火を学ぶ体験を通じて、豊かな心を育むとともに、 子どもを健全に育成する環境について検討するために、 人類と火の関わりの深さに注目して「火育」研究を行いました。

    子どもが「マッチをする」「七輪で火をおこす」「ガスコンロを点火する」と、 火を扱ったときだけ脳の意思疎通をつかさどる前頭前野が活性化しました。 動物の中で火を扱うのは人間だけなので、 「子どもたちが火を使うと人間らしい脳が育つのではないか」 という仮説をたてて研究をしています。

    脳活動の計測実験

    安静状態 子どもがマッチをする 子どもが七輪をおこす 子どもがガスコンロに点火

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  • 廣岡正昭准教授

    廣岡正昭准教授

    PROFILE

    園田学園女子大学人間教育学部児童教育学科准教授。1950 年生まれ。兵庫教育大学大学院学校教育研究科修士課程修了。公立学校教員を経て1986年から23 年間、 奈良女子大学附属小学校教諭として、主に社会科と総合的な学習の分野で実践研究を重ねる。同小学校主幹教諭、奈良女子大学非常勤講師などを務め、2009 年より現職。

    火を使う「しごと」をさせることは、子どもを賢くたくましくする

    家の「しごと」、すなわちお手伝いをたくさんさせることが、子どもを賢く、 たくましく育てる早道だと思います。私は三十余年間、小学校の教師として多くの子ども達と接してきましたが、 年々子ども達にお手伝いをさせる家庭が少なくなっているように感じています。 昔の子どもは、家の手伝いで親と一緒に働きながら火の使い方も覚えましたが、 近年では高学年のキャンプ学習でも、火をうまく使えずにとまどっている子どもが目立ちます 。一方、家でよくお手伝いをしている子は積極的に動いており、その差は歴然としています。

    どんなお手伝いでも、初めはうまくできないのが当たり前です。 親子で一緒にやりながら少しずつできるようになり、 しごとを通して親子が触れ合うことで子どもの情緒が安定し、 何にでも積極的に取り組む意欲が生まれてきます。特に、 火を使うお手伝いは、安全への配慮が欠かせないので、 親子で気持ちを集中させて取り組まなければなりません。 火の扱いをきちんと覚えてお手伝いができるようになると、 それが子どもの自信となり、たくましさも身についていくのだと思います。

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  • リチャード・ランガム教授

    リチャード・ランガム教授

    PROFILE

    ハーバード大学生物人類学教授。オックスフォード大学大学院修了。 専門は霊長類行動生態学。チンパンジーの行動生態学を研究し、 霊長類の社会や行動の進化を幅広く考察するとともに、人類の進化を霊長類学の視点から検討している。 邦訳されている著書には、「男の凶暴性はどこからきたか」(共著、三田出版会)、 「火の賜物-ヒトは料理で進化した」(NTT出版)がある。

    火と料理が、我々を「ヒト」に進化させた

    火を使った料理は、私たちのDNAに深く焼き付けられています。 そう考える理由は、私たち人間が、生物学的に火を使った料理に適合する遺伝子を持つ生き物で、 生のものを食べて生きていく能力が限られているからです。我々の祖先が火を使用するようになったことが、我々を「ヒト」に進化させたのです。

    現代生活では、誰もが火を必要としているのに、火そのものを見ることが少なくなっています。 しかし私たちの祖先は200万年にわたって火を囲んで進化を遂げてきました。 私たちの精神や感情は、間違いなく火を囲む中から生まれてきました。 人類はこれからも家庭の中でいつでも火を使い・見ることができる 「火のある環境」を大切にすべきであると考えています。

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  • 七五三木聡准教授

    七五三木聡准教授

    PROFILE

    大阪大学医学系研究科准教授。
    群馬大学大学院医学系研究科博士課程修了。
    専門は、認知行動科学。“見てわかる”ことのしくみを、知覚→神経ネットワーク→ニューロンの各レベルで検討し、得られた知見を統合することで視覚認識の本質に迫ろうとしている。また、米国エール大学では見るための神経回路がどのように発達するのかについて、その分子メカニズムの解明に関わる研究を行った。

    火は心を動かす

    火のある暮らしが失われつつありますが、同時に人は何か大切なものを失ってしまうのではないでしょうか。

    太古の昔より、人類は火から様々な恩恵を受けて進化しました。火は温もりを与え、病気から身を守るのを助け、共に暖を取る人と人とのコミュニケーションの場を提供し、これまでずっと“人と自然”、そして“人と人”の関係性の軸として存在してきました。火がそこにあることで、自然に意識が向かったり、幻想的な美しさを感じたり、思い出が蘇ったり、心が揺さぶられたり、また、生きている実感が湧き上がってくるのは、その歴史が私たちの心にしっかり刻みこまれているからなのです。また、火を扱うことは、その火の光(色)、暖かさ、音、匂いを自分の身体感覚とともに感じることであり、そのようなあらゆる感覚の統合を通してこそ、私たちは自分の存在や行う行為にリアリティを見出すことができるのです。

    その火が今失われようとしています。調理を例に取ると、ボタンを押せばそれでおしまい、のようなケースが増えています。自分の行った行為の現実感が薄らぎ、出来た料理に思い入れがなくなり、食べた人の笑顔にうれしさを感じられなくなるのも当然といえます。火加減を見ながら、鍋を動かし、感覚を研ぎ澄まして、思いを込めて行う調理でしか得られないものがあるのです。

    また、火という扱い難いものを日常的に扱うことで、世の中には扱い難いものがあるということを再認識し、我慢しながら、自制しながら、なんとかそれを扱っていくことの大切さを学ぶことができるのです。そのような経験を通して、人としての謙虚さを身につけていくものなのです。

    “人にとって何が大切なのか”を、“火を失うということ”から考え直してみる必要がありそうです。

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