
和歌山県西部に位置する山間部に、風車13基が点々と並んでいる。大阪ガスの子会社である(株)ガスアンドパワーが運営する印南風力発電所だ。この発電所を建設するにあたって、大阪ガス・エネルギー技術研究所のシミュレーションチームが一役買っている。発電所の収益性を試算するため、建設予定地にどのような風が吹き、どれくらい発電するかを予測したのだ。
用いたのは、風況シミュレーション技術。風の予測技術と、気象データの解析技術を融合した技術だ。具体的には、まず山の上にどのような風が吹くかをコンピュータで計算するとともに、山上に実際に観測用の風向風速計を設置し計測する。それらのデータに、気象庁が公開している数十年間の気象データを加味することによって補正を行い、最終的な予測値を導き出す。
印南風力発電所の建設にあたっては、こうしたシミュレーションを行って向こう20年間の発電量を予測し、発電所建設地として収益の見込める土地か否かを評価した。さらに、風車の配置場所についても細かく検討した。予定されていた配置場所それぞれの風況をシミュレーションし、「この場所よりも、こちらの方が良い風が吹く」と配置場所の見直しを提案した。風力発電所は大きな投資を伴う大規模な設備。可能な限り最適化された建設が望ましい。シミュレーションチームの働きもあり、印南風力発電所は高い収益性が期待できる発電所として、2018年6月に稼働をスタートした。
