アスリート食

2019/11/30(月)

健やかな体を
支える食

アテネオリンピック 女子ハンマー投日本代表

室伏 由佳さん

 室伏 由佳さん アスリート食・DO アスリート食・DO

室伏 由佳

アテネオリンピック 女子ハンマー投日本代表

1977年静岡県生まれ、愛知県出身。陸上競技女子ハンマー投の日本記録保持者、女子円盤投の元日本記録保持者(2019年8月現在)。2004年アテネオリンピック女子ハンマー投日本代表。国際陸上競技連盟レベルIコーチ。日本陸上競技連盟普及育成部委員。日本アンチ・ドーピング機構アスリート委員。2019年順天堂大学スポーツ健康科学研究科修了(スポーツ健康科学博士)。現在、順天堂大学スポーツ健康科学部講師、スポーツコンサルタント法人の株式会社attainmentの代表取締役。複数の医科大学等で非常勤講師を務める。スポーツと医学のつながり、モチベーション、健康等をテーマに講義や講演活動を行っている。

室伏 由佳さん
練習について

練習について

現在は大学の講師、スポーツ心理学やドーピングの教育などの研究に取り組まれている室伏さんは、競技生活を長く続け35歳で引退。「引退する頃に怪我や体の不調などが重なってしまい、体と心、健康と栄養など、どうすれば健やかになれるかということを考えていました」。

中学生時代は100mの選手で、ハンマー投げをはじめたのは大学4年生の秋から。お父さま、お兄さまと3人で、日本選手権の優勝が49回(合計)になるそう。
2000年のシドニーオリンピックで女性のハンマー投げが正式種目となり、2004年のアテネオリンピックに日本代表として出場した。ハンマー投げは、両手でハンドルを持ち、4キロの鉄球がついた1メートルぐらいのワイヤーを、後方に4回転して狭いところから前に出ないように投げる。本来、体格が大きくないとうまくいかないが、体が小さい分、とにかくたくさん練習してオリンピックを目指したという。
「今のように科学的な情報はなかったので、とにかくいっぱい練習する。あの選手がやっていたら自分もやる。いっぱい食べていたら負けずと食べる、というような行動をしてモチベーションを保っていました。」でも、やりすぎると人はどこかでつぶれてしまう。室伏さん自身もやはり、学生時代にうまくいかなかった時期があり、立て直すのにさまざまな経験があった。

食行動の改善

食行動の改善

高校時代、片道1時間半以上かかる学校に行き始めたことから、買い食いが習慣となった。好きなものだけを食べてしまったため貧血が進み、ひとつひとつのことがめんどくさくなり、やがて競技をするのが精一杯な状況になっていった。そのうち記録が出なくなり「なんで自分はこうなっているんだろう」と、ようやく自ら専門家を訪ねようと行動を起こした。
「アスリートだと、ヘモグロビンが13〜14程度あるとよいのですが、当時の私は8.5。これは入院して治療したほうがよい数値なんです。ただこれでも学生で優勝したり、社会人になって好結果が出たりしていたのです」。ずいぶん無理をしていた。フェリチンという値は食事ではなかなか回復しにくい。でもこれでは練習が続かない。そこから本格的に、食事の基本を学んだという。「アスリートの場合は何を多く食べるのが大切かを知り、バランスよく栄養を摂ることが大事です。また1日だけでは成り立たないので、それを繰り返し、1カ月、2カ月、何年かかけて改善することになります」。
貧血は食事とのつながりが強い。「なんとなく調子が悪い、記録が伸びない、練習できない。そんなときは、血液検査をすればすぐわかります。特に女性の場合は月経があるので調べたほうがいいと思います」。最近では、成長期の中学生の男の子にも貧血が多いそう。

心と身体の関係

心と身体の関係

選手は試合において、不安や緊張がつきもの。その緊張の強さと自分の力を発揮できるかという関連性の中では、ストレスのコントロールも大事。「積極的な思考をどういう風に自分が生み出せるのか。自分がこういう環境・状況の時に、こういう思考に陥りやすいということを知っていなければ改善ということは難しいんですね」。
オリンピックに出場した時から腰を痛めて歩けなくなってしまった経験を持つ室伏さん。月2回くらいぎっくり腰になり、座っていることもつらい、寝ていてもつらい。でも、治る前に恐怖心から練習に行ってしまっていたという。これは原因が分からない不安による行動だった。腰痛症は日本の中で国民病といわれているが、アスリートの腰痛は原因が異なる。
運動している人は、負荷がかかってどこかに原因があるといわれているが、運動しない人は体幹の筋肉がないのでささえる土台が少ないと言われている。それでも85%の人が原因が特定できていない。
「私は食事の管理もしながら、体の面もすごく考えていたんですね。いい食事をしても自分の身体を機能的に動かせていなければ、不安要素が増えてくるわけです。大事になるのは素早くダッシュしたり、早く走れるだけでなく、しゃがみこんだり、腕の上げ下げとか、人間の機能的な部分がしっかりしていること。その上でランニングをしたり、ジャンプをしたり、筋トレしたりすることで、アスリートのパフォーマンスがよくなると言われています」。自分自身が機能性の部分を怪我をした経験から、その大事さをとても丁寧に伝えてくれた。

食の楽しみについて

食の楽しみについて

「スポーツ科学が進み、アスリートに適した食の情報が出てきたおかげで、自分の身体を正常にした上でスポーツがあるということが分かりました。現役時代の回復方法は、食事の種類を変えたり、タイミングを変えたり、食べやすいものを探していくつかレパートリーを持つようにしました」と話す室伏さんは、自らレシピを開発するほど、今では健やかさにつながる食を楽しんでいる。この日のメニューの一つであるスパイスカレーも、練習後の疲れた時に、作る手間を省きながらも食べやすいものをと、よく作っていた。

友達と食事に出かけたら、自分では頼まないメニューに興味をもって試してみたり、思い切ってちょっと変わったものを食べてみたりすると新しい発見があるという室伏さん。ちょっと楽しみを持って食事をすると幸せな広がりがあるとのお話で締めくくった。

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2020.06.14(日)

朝原宣治さん
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4×400mリレー 
北京オリンピック銀メダリスト
朝原 宣治

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