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SOFCシステムの開発経緯(1)

 SOFCはセラミックスの集合体を用いるという難度の高い技術ながら、最も高い発電効率が期待できる燃料電池システムとして、大阪ガスは早くからシステム評価や研究開発に取り組んで参りました。
 1987年から1997年まで、東京ガスと米国Westinghouse社(WH社)と共同でSOFC発電システムの評価とコージェネレーションシステムの開発を行いました。1987年の3kW円筒型モジュールでの3,000時間の試験は、90年頃にかけて国内で多くのSOFC研究開発が立ち上がるきっかけとなったとされています。
 その後、25kW級コ−ジェネレーションシステムは、1992年より運転を開始し、セルの改造を実施した1995年3月より、システムとして当時の世界最長の運転時間13,194時間を記録しました。発電部と燃料供給部、排熱回収部、制御部の全てがパッケージ化されたSOFCコージェネシステムで運転時間の目標1万時間以上を達成するとともに、起動停止11回を含めても劣化率0.1%/1000時間と、すべての定置用燃料電池システム通じて最も安定した特性を示せました。
 2000〜2003年に行われたWH社(その後、Siemens社が発電機事業買収)の世界初の加圧SOFC/GT機に関しても、WH社と運転データ提供に関する契約を結び、高発電効率システムの商用可能性を評価しました。当時の製造・設計条件でのコスト上の理由から残念ながら商用化には至っておりません。

SOFCシステムの開発経緯

 また、平板型SOFCについては円筒型よりも出力密度が高く、高効率・コンパクト化・低コスト化が期待できるため、大阪ガスでは円筒型と平行して、村田製作所と共同研究(1993〜1997)に取り組んで参りました。平板型セルにおける課題は熱歪みへの脆弱性であり、多数のセルを積み重ねてスタックに組む際に、割れやすい欠点があります。
 大阪ガスでは単セルをニッケルフェルトを介して積層化する独自の構造によって、この問題を解決し、5セルを1ユニットとし、ユニット単位でのシール漏れおよび出力検査を行うことにより、信頼性を向上させました。その結果、5セルユニット16組を直列接続した80セルスタックで、10回の熱サイクル特性試験をクリアし、最大1.3kWの出力を実現しました。1kW級のスタックでの熱サイクル耐性を持たせた初めての事例でした。

SOFCシステムの開発経緯(2)

 2004年からは、京セラ株式会社と共に、家庭用1kW級SOFCコージェネレーションシステムの共同開発を開始いたしました。当時、家庭用規模ではSOFCの高発電効率が発揮できないと考えられるなど、懐疑的な見方が一般的でした。2005年度には実験住宅NEXT21において、国内初の実住宅試験を行い、家庭の電力負荷に追従した条件で系統電力(火力平均、需要端)を上回る運用発電効率と、排熱の有効利用を技術実証しました。この結果、SOFCを最も高発電効率が得られる家庭用コージェネレーションシステムと位置づけ、商品機開発に移行しました。
 その後、2006年度は、熱需要の比較的少ない住宅でも環境性・経済性のメリットが十分に得られる特性を活かすために、定格出力を1kWから700Wに変更し、容積で約50%の小型化を果たしました。2007年度からは、(財)新エネルギー財団(NEF)の「固体酸化物形燃料電池実証研究」に参画し、耐久性・信頼性の向上など、実用化に向けた取り組みを推進してまいりました。
 2009年3月より新たにトヨタ自動車株式会社、アイシン精機株式会社と共にそれぞれの特性を生かした4社共同開発を開始いたしました。着々と耐久性・信頼性を向上させ続けたことで、2012年4月の商品化にいたりました。

SOFCシステムの開発経緯(3)

 2012年の初代機発売以降も2013年には停電時にも継続して発電可能な「自立発電機能付きモデル」を発売、2014年には無線LAN機能を搭載したリモコンをラインナップに加え、エネルギーの見える化(発電量等)を可能にする等、付加価値の向上とコストダウンを実現したモデルを発売しました。
 2016年には、セルスタック耐久性向上技術を採用することにより、高い発電効率と耐久性を両立することに成功し、発電効率52%を達成するとともに、発電ユニットに貯湯タンクを内蔵し、通常のガス給湯器に接続する仕組みとしたことで、既存のガス給湯器をそのまま利用し、発電ユニットだけを後付で設置することが可能となりました。同時に、2016年4月から実施された電力の小売全面自由化に合わせ、エネファームtype Sで発電し、お客さま宅で使われなかった電力(余剰電力)の買い取りを日本で初めて導入し、社会全体のCO2削減や国が推進する電源の多様化・分散化、電力需給ピークの緩和に寄与してきました。
 その後2018年には、発電効率を53.5%に更新。スマートスピーカーを経由した音声操作が可能になるなど、IoTを活用したサービスの追加も行いました。2018年に関西に上陸した台風21号では大阪、兵庫などで大規模な停電が発生したが、その際にエネファームtype S約2000台(IoT機能で確認した台数853台にIoT機能付きの比率を勘案した想定台数)が自立発電し、停電中もスマホ充電、照明、給湯や冷蔵庫の使用に活用され、エネファームtype Sの高いレジリエンス性が実証されました。
 そして2020年4月、セルスタックの製造方法の改良、制御プログラムの最適化により発電効率を55%に更新。さらに耐久年数も10年から12年に延長しました。またセルスタック、パワーコンディショナーの小型化により機器をスリム化し、設置スペースが限定されるマンションなどへの設置性を大幅に向上しました。

大阪ガスの耐久評価技術について

 SOFCは基本的に24時間稼働することから、長時間の運転での耐久性と信頼性の確立が必要となります。
 セルスタック部分、補機部分のいずれについても厳しい耐久性能が要求されており、大阪ガスではそれらをクリアすべく、要素材料からシステムまで一貫した研究・開発を進めています。

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