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大阪ガスは国内で先駆けて
オープンイノベーションに取り組んだとか? - 樋口 当社がオープンイノベーション活動の実施に向けて準備を始めたのが2008年です。当時、海外ではすでにそうした活動を行っている企業がありましたが、日本ではまだ例がほとんどありませんでした。ではなぜ私たちが着目したかといえば、その頃ちょうど「オール電化」という言葉が登場して、世間の大きな注目を浴びていたのがきっかけなんです。
- 危機感、ということでしょうか?
- 樋口 そう、衝撃的でした。このまま、既存のガス業界内のおつきあいにとどまっていては将来はないと、強い危機感を抱きました。オープンイノベーションに取り組まざるを得ない環境に置かれたということです。そして2008年に準備を始め、翌年の2009年4月に活動をスタートさせ、2010年にはオープン・イノベーション室という専門部署を国内で初めて設置しました。

- 先駆的な取り組みだったわけですが、社内では問題なく受け入れられましたか?
- 樋口 いや、それがそううまくはいかず・・・。おつきあいのない外部から技術を取ってくるなんてとんでもない、と社内の研究者から突き上げられまして。もちろん、その気持ちもわかります。私も研究者でしたから。信頼できる技術なのか、会社なのかという見極めも必要ですし、技術開発の困りごとをオープンにするという部分の抵抗もありますから。それでも会社にとって必要なことだという信念から、トップに働きかけて各部署で1〜2件ずつ「こんな技術を求めている」というニーズを出してもらいました。そうして初年度の2009年には40件のニーズが集まったのですが、そのうち25件については外部から技術を見つけるに至ったんです。これで、ひとつ結果を出したということで、社内でも認められるようになりました。