生物多様性への取り組み

取り組みの背景・考え方

Daigasグループは、生物多様性がもたらす様々な恵みは必要不可欠であるとの認識のもと、事業活動を通じて国内外の生物多様性とかかわるうえで指針となる「大阪ガスグループ生物多様性方針」(2018年3月から「Daigasグループ生物多様性方針」に改定)を2010年4月に制定しました。生物多様性を保全し、自然の恵みを将来にわたって享受できる「自然共生社会」構築に貢献し、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する取り組みを進めていきます。

「Daigasグループ生物多様性方針」の制定と取り組み推進

生物多様性方針に沿った取り組みの推進

Daigasグループは従来、製造所構内での希少植物の保全、ガス導管工事における掘削土の再生利用、実験集合住宅「NEXT21」での立体的な植栽の実施、国内での植林活動等、生物多様性の保全に取り組んできました。
2010年4月には、「Daigasグループ生物多様性方針」を定め、これに沿った取り組みを進めるとともに、積極的な情報発信に努めています。
取り組みに際しては、以下の図のように、兵庫県をはじめとする行政・研究機関や社外有職者、外部コンサルタントの方々に指導いただいています。また、(一社)企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)等の研究会と情報交換をしながら、進めています。
大阪ガスは、「グリーン購買指針」(2000年制定、2020年改定)に基づき、環境への負荷が少ない生物多様性へ配慮した物品や工事を優先的に調達する「グリーン購買」をお取引先とともに推進しています。また、Daigasグループでは、国内外の新規投融資案件や開発プロジェクト案件を実施する際には、計画段階で法令上必要な案件に対しては必ず、環境影響評価(環境アセスメント)を実施しており、水環境、陸生動物、陸生植物、生態系の調査を行い、影響評価とともに必要な対策を講じ、持続可能な社会実現に取り組んでいます。
なお、CSR統括(2020年4月にESG推進統括に改定)による声明でもある「Daigasグループ環境方針」の実現を目指して、構築・運用している環境マネジメントシステム(EMS)や、Daigasグループ「中期経営計画2020」を踏まえ策定した環境行動目標においても、事業活動のなかで生物多様性へ配慮することを掲げています。

  • 実験集合住宅「NEXT21」
    「ゆとりある生活と省エネルギー・環境保全の両立」をテーマに、近未来の都市型集合住宅のあり方を提案することを目的として、大阪ガスが1993年10月に建設した実験集合住宅です。これまで、当社社員とその家族が実際に居住しながら、その時代にあったテーマによる実証実験に取り組んできました。建物全体の省エネルギー・省CO2、都市における緑地の復元と環境共生、多様なライフスタイルに応じた住まいのあり方、商品開発などに関する実証実験を行い、エネルギー自由化が進むなか、これからの集合住宅のあるべき姿につながる数多くの提案や発表、商品化等を実施しています。
■バリューチェーンにおける生物多様性の主な取り組み
バリューチェーンにおける生物多様性の主な取り組み
■生物多様性への取り組み体制図
生物多様性への取り組み体制図

主要な製造所、事業所における生物多様性への取り組みは以下の通りです。

  (A)対象拠点数 (B)生物多様性取り組み拠点数 (C)取り組み比率
(=(B)/(A))
製造所 2 2 100%

資源開発・調達時の配慮

液化天然ガス(LNG)タンカーによる輸送時の生物多様性への配慮

液化天然ガス(LNG)タンカーが、無積載で出港するとき、その出港地の海水などをバラスト水として積み込みます。バラスト水は立ち寄る港で荷物を積載する代わりに船外へ排出されますが、そこに含まれている水生生物が外来種として生態系に影響を与えることが問題視されています。
大阪ガスは、現在8隻のLNG船団を組成し、LNG輸送に活用しています。当社は、寄港国の規制に従い、バラスト水を適切に管理しています。また、国際海事機関(IMO)の定めるバラスト水管理条約の発効(2017年9月)に適合する処理設備を搭載するとともに、日本の港で積み込んだバラスト水は外洋で入れ替えてから、産ガス国の港で排出するなど、生態系への影響を軽減しています。

ガス導管工事時の配慮

ガス導管の埋設工事では、掘削土・アスファルト廃材の発生を抑制し、埋め戻しのための山砂の新規採取を削減することで、生態系への影響低減に寄与しています。

Daigasグループの緑地・植栽における生物多様性の取り組み

大阪ガス都市開発(株)

地域性植栽を導入したマンション開発

大阪ガス都市開発(株)は、不動産事業を営み、オフィスビルや分譲・賃貸マンションの開発・運営を手がけています。 大阪ガス都市開発(株)は都市や物件づくりにおける「5つのこだわり」の一つに「環境との共生」を掲げ、生物多様性に配慮し植栽計画に取り組んでいます。
2014年3月竣工の「ジ・アーバネックス京都松ヶ崎」では地域性種苗であるチマキザサを植栽に導入しています。チマキザサは京都市北部に分布し、古くから祇園祭の疫病・災難よけのお守りの材料や和菓子等に使用されてきましたが、近年、増加しているシカの食害を受けるなど、京都市内で絶滅の危機に瀕しています。導入した10株は、京都市左京区や京都大学の研究者等がかかわる「チマキザサ再生委員会」から譲り受けたものです。
さらに、2016年2月に竣工した「ジ・アーバネックス神戸大倉山」では、兵庫県立人と自然の博物館のご協力により、アラカシやオカトラノオなどの地域性種苗を譲り受けて植栽しました。また、住人の方々にも生物多様性の重要性を知っていただけるよう植物の特徴などを記載した植栽名板を設置しました。こうした継続的な取り組みや地域性種苗の活用が評価され、2016年度グッドデザイン賞を受賞しました。
2018年度からは、大阪ガス施設緑地から地域性種苗の苗木を大阪ガス都市開発(株)物件植栽へ導入しており、2019年度竣工の「シーンズ天王寺真田山」「シーンズ塚口」「アーバネックス同心」でも実施するなど、Daigasグループ内での生物多様性への対応ノウハウの共有を進めています。
今後も、生物多様性に配慮した植栽計画を仕様書として規格化し、開発物件での生物多様性に配慮した植栽計画に取り組んでいきます。

  • 「シーンズ塚口」 「シーンズ塚口」

    「シーンズ塚口」

  • 「シーンズ塚口」の植栽銘板 「シーンズ塚口」の植栽銘板

    「シーンズ塚口」の植栽銘板

【地域の生物多様性に配慮した植栽を導入した物件】

14物件(2020年3月末現在:竣工予定物件含む)

京都リサーチパーク(株)

生物多様性に配慮した植栽を整備
  • 「京都リサーチパーク」(以下、KRP)は、17棟のビルからなる一大ビジネス拠点です。新事業・研究開発などのイノベーションに向けた挑戦を行う場として、現在480を超える企業・団体が集積しています。
    運営を担う京都リサーチパーク(株)では、オフィス、ラボ、会議室、データセンターといったハードを構築し、ソフト面では多様なイベントや交流会、ワークショップ等の企画を行い、「魅力的な交流の舞台」を提供していくことに取り組んでいます。そのなかで、2010年10月に開業した京都市産業技術研究所・KRP9号館複合棟では、土地の歴史を踏襲し、生物多様性に配慮した植栽を整備しています。
    KRPが立地する地区からは、平安時代の貴族の邸宅の遺構が見つかっています。連綿と続いてきた歴史を受け継ぎ、発展させていきたいという思いを、「雅の庭」として具現化しました。平安時代から愛されてきた植物を中心に植栽し、光源氏の住まいである六条邸に倣って、八重桜、桂、紅葉、梅をシンボルツリーとした四季の庭を建物の四隅に配置しています。
    京都の重要な伝統産業にかかわりの深い桑の木を植えるなど、地元産の植物を中心に植栽しています。
    2016年10月には、「KRP9号館」が、極めて優れた「環境・社会への配慮」がなされたビルとして、(株)日本政策投資銀行(DBJ)よりDBJ Green Building認証を受けました。
  • 京都リサーチパーク9号館

    京都リサーチパーク9号館

製造所における地域性種苗等を用いた緑地管理

  • 大阪ガスの製造所では、地域本来の生物多様性を有し、高い生態系機能を備えた緑地を創出することを目標に緑地管理計画書を策定し、構内緑地を育んできました。また、定期的な生物多様性モニタリング調査を実施し、生物多様性への取り組みの効果を検証しています。
    泉北製造所では、「地域とつながるみどりのネットワーク」をコンセプトに、地域性種苗による植栽を推進している「泉北の杜(もり)」や、「浅茅(あさぢ:チガヤの群生するさま)、いとをかし」と枕草子にも記述されるチガヤの草原等、多くの生き物の生育・生息基盤として機能するような緑地づくりを進めています。
    姫路製造所では、2002年から兵庫県立人と自然の博物館の指導のもと、西播磨地域の希少植物の保全活動に協力し、チトセカズラやオチフジ(いずれも環境省版レッドリスト掲載種)などの希少種を育成しています。2013年度に新たに整備したビオトープでは、西播磨の地域性種苗で構成した里山、草原、水辺を再現し、キキョウ、フジバカマなどの希少種を保全しています。
    このような在来種は、元来、地域の気候風土に適していて育成が容易なことから、希少種の保全に際して工場内の緑地管理においても特別な配慮や負担がかからないという特長があります。
    また、これらの取り組みにより、両製造所に飛来する昆虫類や鳥類の種類も増加傾向を示していることから、近隣緑地とのつながりが広がりつつあると期待しています。
    今後も、専門家のアドバイス・指導を受けながら、生物多様性への取り組みを進めていきます。
  • 泉北製造所:チガヤ草地

    泉北製造所:チガヤ草地

    姫路製造所:ビオトープ

    姫路製造所:ビオトープ

■泉北製造所・チョウ類の確認種類の変化
泉北製造所・チョウ類の確認種類の変化
■姫路製造所・チョウ類の確認種類の変化 
姫路製造所・チョウ類の確認種類の変化 

工場緑地で育てた希少植物を自生地へ移植

  • 大阪ガスは、兵庫県立人と自然の博物館および兵庫県立大学の指導のもと、2013年12月、姫路製造所で保全していた南あわじ市慶野松原由来の海浜植物ウンランを現地へ移植し、兵庫県瀬戸内海側で唯一となった自生地の個体群の再生を図る取り組みを実施しました。
    慶野松原におけるウンランの個体群は、その個体数が減少したことを受け、兵庫県立人と自然の博物館によって2006年にその一部を博物館内ジーンファームへ避難させ、保護・増殖を行っていました。危機分散の観点から、2010年、保護中の個体の一部(39株)を姫路製造所に移植し保全していましたが、2013年、これらの個体が増殖(約150株)したため、同博物館および兵庫県立大学のご指導のもと、そのうちの20株を慶野松原へ移植しました。
  • ウンランの植え込み作業

    ウンランの植え込み作業

ステークホルダーコメント)地域性種苗による工場緑化の牽引役としての役割を期待します

  • 本業・CSRにかかわらず、生物多様性に取り組む企業は年々増加しています。しかし、工場内の生物多様性に配慮する企業は少数派、さらに地域性種苗による緑地形成については国内でも数例というのが現状です。工場緑地は、地域の生物の棲み家となる貴重な生態系となり得るものであり、特に希少種にとっては自生地を失う危険から避難する場所となります。一方、緑地に誤って外来植物や他地域産植物を大量植裁すると、その緑地が汚染源となって周辺の生態系に悪影響を及ぼす危険があります。
    大阪ガス姫路製造所では、敷地内に森・草原・池など様々な生態系を創出するとともに、従来の緑地を地域性種苗由来のものに転換する最先端の事業が進められています。この緑地は、生物のためだけでなく、地域における環境学習の場となる可能性も秘めています。これからも地域性種苗による工場緑地の見本として、生物多様性保全や環境学習の拠点として、他企業を牽引する役として活躍されることを期待しています。
  • 兵庫県立人と自然の博物館自然・環境再生研究部/植生創出研究グループ主任研究員  橋本 佳延 さま

    兵庫県立人と自然の博物館
    自然・環境再生研究部/
    植生創出研究グループ
    主任研究員 橋本 佳延 さま

子どもたちへの生物多様性教育

「hu+gMUSEUM(ハグミュージアム)」屋上を地元小学生の総合学習の場に

  • 大阪ガスの食と住まいの情報発信拠点「hu+gMUSEUM(ハグミュージアム)」の屋上には、約100m²の水田と約12m²の畑を設け、地域・環境コミュニケーションや環境教育の一環として、2015年度より地元小学生等に活用いただいています。
    2019年度は、近隣の小学5年生約160人を対象に、稲作体験を通じた環境学習を実施。田植えから稲刈り・炊飯試食までを体験していただき、約25kgのお米が収穫できました。
    田植えの約1カ月後、稲の成長や水田に生息する生き物を観察する自然観察会を開催し、生物多様性についても学習しました。水田観察では、自然に飛来したトンボ類やミジンコ類が生息する様子を確認できました。秋には稲刈りを行い、脱穀は昔の農機具(千歯扱せんばごきや唐箕とうみなど)を用いて、「農作物を食物にする」という過程を学習しました。
    保護者からは「子どもたちは体験を通じて、お米ができる大変さ、食べ物の大切さが理解できたと思う」「体験したことを家で楽しそうに伝えてくれた」と感謝の声をいただきました。
    プログラムの企画や運営には、「hu+gMUSEUM(ハグミュージアム)」のスタッフと、近隣のDaigasグループ事業所に勤める従業員ボランティアが携わり、小学生たちの田植えや稲刈りなどの体験授業のサポートや日常の水田観察・維持管理等に努めています。
    「hu+gMUSEUM」屋上の様子については、「hu+gMUSEUM」のウェブサイト上の「ハグさんのイチオシブログ」ブログで随時発信しています。
  • 地元小学生たちとの田植えと収穫

    地元小学生たちとの田植えと収穫