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大阪ガスは、「いただきます」で育もう。をスローガンに、食育活動に取り組んでいます。

環境シリーズ

第2話 地球と動物たちの現状

執筆:自然写真家 丹葉 暁弥氏

 シロクマたちが訪れるこの街にも問題はある。シロクマたちが街の近くに生息しているために、人間と接触という事も頻繁にある。
 この街には「シロクマ110番」とも呼ばれる、シロクマ警察がある。その役割は、街の近くにシロクマたちが現れると、その保護観察員が車で急行し、彼らを街から遠ざけたり、時には彼らを保護して出来るだけ人間との接触事故を起こさないようにする。

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 まず、保護観察員は車や空砲を使って、シロクマたちを街から遠ざけるように努力をする。たいていのクマたちは、大きな音や車の威嚇によって逃げるのだが、時には街の中に逃げ込んでしまうことがある。そうすると仕方なく麻酔銃を使って彼らを眠らせて保護する。保護したシロクマは、ある一定期間街の外れにある保護施設に収容される。そこは暗くて狭い檻であり、野生のシロクマたちにとってはとてもストレスを与える施設である。その檻に収容することによって「人間に近づくと、こうやって怖い目に会うんだよ」と教える意味がある。

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 そして、一定期間収容すると、今度はまた麻酔によって眠らせて、ヘリコプターでこの街から離れた地点まで運んで解放してあげるのだ。本来、シロクマたちは海が凍ると氷の上で出産するアザラシを食べるために旅に出るのだが、近年、温暖化の影響によってその海の氷が張る期間が短くなっているために、お腹を空かせた期間が長くなっている。そのためにシロクマたちは人間の住む街から臭ってくるゴミや食べ物等の匂いに惹かれて街に侵入してくる事が多くなった。そして、実際に人間との接触をする機会も増えている。現在カナダのこの地域では州や国が毎年かなりの予算を組んでそうした事故を減らす努力をしている。元々人間が住む以前からこの土地に住むシロクマにとっては理不尽な事であるが、人間と接触して事故が起きればシロクマたちは最悪の場合殺されてしまう。かつて保護観察員に取材をしたときに彼らが言った言葉が忘れられない。「シロクマたちは何も悪くないんだ。人間の都合によって彼らを檻に入れたり殺さなくてはならないのはとても辛い。」日本の里山でも人間とクマの接触の問題があるが、シロクマの住む極北の地域でもとても大きな問題なのだ。温暖化によるシロクマたちの個体数の減少の他にも、このような人間との共存という彼らにとっての生きる道はとても厳しくなっている。

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丹葉 暁弥(たんば あきや)自然写真家 プロフィール

北海道釧路市生まれ。1985年野生のペンギンに逢いたくて南極へ渡航。1998年野生のシロクマに逢いたくて、カナダに通い始めて以来、シロクマの虜になる。

著書

新刊:9月28日「HUG! today」(小学館)

その他:野生のシロクマと犬との物語写真集「HUG! friends」(小学館)、シロクマと地球の写真集「HUG! earth」(小学館)他

丹葉 暁弥(たんば あきや)


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