大阪ガス  > 企業情報  > 技術開発情報  > もっと大阪ガスの技術を知りたい方はこちら  > ガス利用技術(業務用・産業用)
大阪ガス技術開発情報
最近の技術開発事例(ガス技術)

[ガス利用技術(業務用・産業用)]

吸収式冷温水機の更なる信頼性向上・長寿命化のためのインヒビターの開発

エネルギー技術研究所

概要

吸収式冷温水機の初期故障率は、過去に比べて著しく低減しております。このうち、腐食が原因となる故障の発生頻度は少ないですが、機器内部の再生器などの缶体が吸収液により腐食すると、修理に3日〜1週間程度を要するため、設備を休止せざるを得ない状況になります。吸収式冷温水機の中には設置後20年以上の長期間使用されているところもあり、長期信頼性へのニーズが高まっています。こうした状況に対応し腐食発生を極限までゼロに近づけるため、実機の条件をほぼ忠実に再現した腐食試験法を確立することにより腐食発生因子を定量的に評価し、腐食の抑制手法を見出しました。
吸収式冷温水機は、蒸発器、吸収器、再生器、凝縮器の4つの容器内を、冷媒である水を循環させ、吸収器と再生器の2つの容器内を吸収液である臭化リチウム水溶液を循環させることで冷房を行います(図1)。このうち吸収液が沸騰し、温度が150℃を超える再生器では厳しい腐食環境にあるため腐食対策が必要とされています。現在、腐食抑制剤(水酸化リチウムとモリブデン酸リチウム)を吸収液に添加し、適正な濃度に維持管理することで腐食抑制を行っています。
吸収冷温水機の再生器に一般的に用いられている酸化皮膜付きの炭素鋼板を吸収液に浸し、140〜170℃に保った状況で腐食試験を実施しました。この結果、初期に炭素鋼表面に形成されている酸化皮膜(黒皮)の有無が腐食発生の確率を決定する因子として重要であることが判り、また、吸収液中に溶け出したマグネタイトなどの腐食生成物が、腐食の加速因子になることも判明しました(図2)。この対策の一つとして、還元剤の亜硫酸ナトリウムを300ppm以上吸収液に添加することで、腐食を抑制することが可能であることを試験で実証しました(図3)。この結果から、従来の腐食抑制剤に加え、還元剤の亜硫酸ナトリウムを投入する方法で、吸収式冷温水機の更なる耐久性向上と長期信頼性の向上が図れると判断し、今後、導入に向けて実機レベルでの評価を行う予定です。
本件については、ガスエネルギー新聞(2007年9月26日号5面)に「吸収式に新メンテ法 冷温水機の耐久性向上」と題する記事で紹介されました。


図1 吸収式サイクルの概略図(水冷単効用の場合)


図2 腐食試験の検討結果


図3 亜硫酸ナトリウムの添加量と最大腐食深さの関係