オー太とジー子の現場突撃訪問 Vol.1/ENTERPRISE FUTURE/大阪ガス
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ENTERPRISE FUTURE
オー太とジー子の現場突撃訪問
オー太とジー子
  • エネルギー技術研究所エグゼクティブリサーチャー 大西 久男
  • エネルギー技術研究所表面科学チーム 野中 篤
  • オー太 知的好奇心旺盛でエネルギッシュ。素直な性格の純真ワンコ。
  • ジー子 面倒くさいことが嫌い。行動が省エネ化しているエコネコ。

なぜ「ぴこぴこ」を電池式に?

オー太

今日は世界初の技術があると聞いて、やってきました。大西さん、野中さん、よろしくお願いします。

ジー子

うちらでもわかるように説明してや。

大西

わかりました(笑)。

オー太

えーと、大西さんと野中さんが携わった世界初の技術って何ですか?

電池式家庭用ガス警報器「ぴこぴこ」を実現した超省電力センサーです。うち知ってるガス漏れを検知するやつや。

ジー子

「ぴこぴこ」のどこが変わったん?

大西

電源コードがいらない電池式の「ぴこぴこ」になったんです。

オー太

電池式? なぜ電池式にする必要があったんですか?

大西

都市ガスは空気より軽いので、家庭用ガス警報器は天井の近くに取り付ける必要があります。近年、換気扇もビルトイン化が進み、床付近の電源から配線を引いて「ぴこぴこ」を取り付けなければならないお家が増えたんです。

ジー子

わざわざ壁にコード這わせるぐらいやったら、「ぴこぴこ」つけたないわ。うち、こう見えてもミニマリストやねん。

野中

その気持ち、わかります。そのため、ガス警報器のコードレス化に着手しました。

従来のコンセント式 今回開発した電池式

大西

こちらを見てください。左が、従来のコンセント式。右が、今回開発した電池式。

オー太

右の電池式は、内部に電池が入っているにもかかわらず、全体的に小さく、薄くなってますね。

計算ミスが大発見につながった?

ジー子

そやけど電池にするだけやったら、簡単ちゃうん? 電池で動くモノはいっぱいあるで。クルマも電池で動く時代や。かなり遅れてるんちゃうか。

オー太

ジー子さん、単に電気の供給方式を変えればいい、そんな簡単なものじゃなかったようですよ。

大西

警報器を電池の入れ替えなしに何年も動かすには、消費電力を大幅に抑える必要があります。なんと電源コードのものより、消費電力をおよそ1/1000ぐらいの超省電力化にしなければならなかったのです。

オー太

1/1000に!?

大西

そうです。警報器で最も電力を消費するのは、心臓部であるセンサーですから、このセンサーの超省電力化を実現するため、より小さく薄くする「薄膜化」が求められました。

ジー子

その「ハクマクカ」とかいうのが難しかったんやな。

大西

はい。大阪ガスとともに、国内外の大手半導体メーカーなど、さまざまなメーカーがガスセンサーの薄膜化に取り組みました。しかし、どこも成功しなかったんですよ。長い間「夢の技術」だと言われてたんです。

オー太

そんなに大変な開発だったんですね。

1/1000の省電力を実現する薄いセンサーをつくるため、この高周波マグネトロンスパッタリング装置を使って、何百回も試作しました おたくらえらい根気強いな

大西

当社も一時は研究開発を断念しそうになったことがあるんです。ところでジー子ちゃん、都市ガスの主な成分って知っていますか?

ジー子

知らんわ。うちネコやで。むつかしいこと聞かんといて。

オー太

ジー子さんは、都合が悪くなるとネコ主張するんですよね。えーと、都市ガスの主成分は確かメタンガスですよね。

大西

オー太くん、ご名答! 都市ガスに含まれる成分の約90%がメタンガスです。そもそもメタンは、センサー検知が難しいもので、私たちはセンサーを薄膜化する中で、メタンを感知する能力を高めることにとても苦労しました。

ジー子

でも最終的には成功してるやん。何でうまくいったん?

大西

それは本当に偶然だったんです。実験を続けていたある日、圧力換算ミスをしてしまい、アルゴンガスを過剰に注入してできた薄膜があったんです。そのまちがった条件でつくられた薄膜を捨てずに性能を測ってみたところ、メタンに対する感度が非常に高かったんです。

オー太

まさにセレンディピティですね。

ジー子

その舌噛みそうなセレン・・・ナントカって、なに?

オー太

セレンディピティは、思いがけないものを偶然に発見することです。地道な努力と長い時間が求められる研究開発で、ふとしたきっかけが大発見につながることがあるんです。

世界中の警報器を電池式に!

野中

実はセレンディピティは、もうひとつあったんですよ。

ジー子

またミスしたってこと?! おたくら大丈夫かいな。

大西

大丈夫でした(笑)。センサーには触媒を用いて、検知対象以外の成分を出来るだけ取り除く仕組みがあります。触媒は、複数の材料を混ぜたものを炉の中で数百度という高熱で焼き、合成して作るのですが、ある時、誤って百数十度も高い温度で焼いてしまったんです。これも捨てずに性能を測ってみたところ、画期的な触媒だということがわかったんです。

オー太

その触媒の働きとは?

大西

その触媒はメタンのみを選択的に透過できるのです。この触媒の発見で、メタンのみを検知するセンサーを開発することができました。

メタンのみを透過できる触媒の発見も決め手でした へえ~これがその触媒炉 ・・・ こっちの装置はなんやの? ガスを正しく検知するかどうかを調べる装置です。警報器は、誤検知があってはならないものなので、念入りに調べました。

ジー子

研究開発って、いろいろ遠回りせなあかんねんなー。うちそんなめんどくさいこと嫌やわ。

野中

そうなんです(笑)。でもこうした「偶然の発見」が、世界初の薄膜を用いた警報器用センサー技術の開発の近道になりました。

こうしてできたセンサーがこちらです。 小さいですね。これでメタンを検知しているんですか。

野中

この小さい中に世界初の技術が詰まっているんです。メタンのみを検知するという極めて高い感度を備えた世界最小レベルのセンサーです。小型化による超省電力化、それでいて信頼性は抜群ということで、今後は、他のものにも応用が期待されています。

オー太

聞けば聞くほどすごいセンサーですね。そして、そのセンサーのおかげで電池式家庭用ガス警報器「ぴこぴこ」が誕生したんですね。

ジー子

センサーのおかげというより、セレンなんとかのおかげやろ。

野中

確かに(笑)。でも、本当におかげさまで各界から評価されて、賞をいただいているんです! 公益社団法人電気化学会の「平成28年度技術賞(棚橋賞)」に、公益社団法人日本化学会の「平成28年度化学技術賞」、それに・・・。

ジー子

いや、しょうもない自慢話やったら、うちは聞かへんで。新しい「ぴこぴこ」は付けたるけど。

野中

ぜひ。今後はいろいろなガスを検知できるこのセンサーを他の用途にも活かしていきたいと考えています。

オー太

それはすごいですねー。

ジー子

話の腰折って悪いねんけど、そろそろ帰らせてーな。近所のパトロールもせなあかんし、うち忙しいねん。

大西

わかりました! 今日はお忙しいところ(笑)、ありがとうございました。

お二人ともこれからも、がんばってください!! はよしぃ。帰るで

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