大阪ガスは企業競争力のベースを技術に求めており、研究開発は最も重要な企業差別化戦略の一つと考えています。
そのために、以下に紹介する、さまざまな新技術の研究開発、実用化に積極的に取り組んでいます。
シート状のナノカーボンであるグラフェンは,強度,熱伝導性,電気伝導性など高い特性を有すると言われていますが,長時間かけて少量ずつ作製することが多く,簡易な製法が望まれていました。
大阪ガスでは,黒鉛を水中で一段階で剥離することにより,化学的な変化を加えることなく,多層グラフェンを簡易に作製することに成功しました.
図1. 多層グラフェンの製法と特徴
黒鉛を水中で剥離し,一段階で作成するため,簡易かつグラフェン構造を損ないません。
また,①均一性の高い分散液,②溶媒,オイル,樹脂にも分散性の高いパウダーで供給することができます。
図2. 多層グラフェンの電子顕微鏡写真
厚さ1〜数nmと非常に薄い材料です。
このため,少ない重量で多くの枚数を添加し,熱伝導性,耐久性,潤滑性など炭素の機能を付与することができます。
図3. 多層グラフェンのポリプロピレン添加時の特性の変化
本開発の多層グラフェンは高い分散性を有するため,樹脂に分散しても凝集せずに物性を向上させます。
よって,既存の複合材料やコーティングに追加で添加することや,樹脂に高濃度で添加して,機能性を付与することも可能です。
開発した材料を,複合材料,エネルギー分野等に適用し,省エネ,CO2排出削減に寄与していきます。