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おいしさLabo(ラボ)

2013年4月、大阪ガス(株)エネルギー技術研究所内に「おいしさ・健康調理ラボラトリー」(おいしさラボ)を設置しました。
食材をどのように加熱すれば、おいしさ&健康性を最大化できるのか?を見つけることを目的に研究しています。

おいしさLabo(ラボ)

第1回「医者いらずのトマト・庶民の夢だった茄子」、「野菜にたくさん含まれるポリフェノールって何??」、「加熱調理の重要性について」

医者いらずのトマト・庶民の夢だった茄子

夏野菜の代表格であるトマトと茄子。トマトはヨーロッパで、茄子は日本で古くから調理されて愛されてきました。
日本では生で食すことが多いトマトですが、ヨーロッパでは「料理の宝」と呼ばれ、旨味成分を多く含み、加えることで料理がおいしくなることがよく知られています。また健康面でも「トマトが赤くなれば医者が青くなる」という諺があり、トマトがリコピン(カロテノイドの一種)やナニンゲニンカルコン(ポリフェノールの一種)、ビタミン、ミネラルを豊富に含み、食べると患者は少なくなり医者が必要なくなるほど健康に良いという意味で用いられています。しかし、加熱調理するとトマトの健康特性はどのように変化するのでしょうか。

一方、日本では、焼き、炒め、揚げ等の多彩な料理が楽しめる茄子は、奈良時代から愛されてきました。茄子には、皮にナスニン、実にクロロゲン酸といったポリフェノールが含まれ健康的です。また、体温を下げる効果があるため夏にぴったりの野菜なのです。
ちなみに、縁起のよい初夢は一富士・二鷹・三茄子。悠然とした富士山や鷹はわかるのですが、なぜ茄子が挙げられたのでしょうか。現代の私達にはピンときませんが、江戸時代、正月に初物の茄子を食すのは最高の贅沢で余程のお金持ちでないと叶いませんでした。まさに庶民の夢だったのですね。
クイズではトマトの加熱効果について出題させていただきましたが、今回のラボレターでは、日本で古くから愛されてきた茄子の加熱効果やポリフェノールが健康に与える効果についてご紹介します。健康効果が大きい調理をして暑い夏を乗り切りましょう。

野菜にたくさん含まれるポリフェノールって何??

「ポリフェノール」という単語を、皆さんも聞かれたことがあると思います。この単語から連想するイメージはどのようなものでしょうか?健康に良い?ガンや便秘を防ぐ?などなど、その効用についてテレビや雑誌で見聞きされたことがある方も多いのではないでしょうか。
では、この「ポリフェノール」とは一体何のことなのでしょうか?また、なぜ体に良いと言われるのでしょうか?
ポリフェノールは「健康に良い効果を与える可能性がある植物由来化合物(ファイトケミカル)」の一つとされています。
このファイトケミカルは、ポリフェノール以外にも、トマトやニンジンの持つカロテノイドなども含み、抗酸化性や抗発がん性、抗アレルギー性等の機能があるといわれています。これらはもともと野外で強い紫外線を浴び続ける植物が、体内に発生させてしまう酸化ストレスから身を守る自己防衛の栄養素だったのです。しかし、野菜や果物などを食すことでその機能は人間の中でも効果が発揮されるようです。
まさに植物のパワーであるポリフェノール。一番有名なものは赤ワインに含まれるレスベラトロールでしょうか。これはブドウに含まれるポリフェノールで、酸化ストレスによって引き起こされる癌やアルツハイマー病に効果があるとされています。一方、日本のお茶にはカテキン類というポリフェノールが含まれており、こちらも癌や心臓病などの生活習慣病に効果があるとされています。疫学調査では全国的に見て特に静岡県で胃がん発生率が低いとされ、これは濃い緑茶をよく飲むこととの関係が示唆されています[1]。
食品に含まれるポリフェノールを個別に見てみると、図1のように様々な形があり、それぞれの食品が特徴的なポリフェノールを含んでいます。一口にポリフェノールと言っても、実はその構造は様々なのです。
これらは基本的には人間の体に有益であると考えられており、世界中の研究機関が、現在も様々な食品のポリフェノールの有効性について研究を続けています。 <参考> [1] 吉川敏一監修 シーエムシー出版 「フリーラジカルと老化予防食品」 P152-154,158-160

Column

奈良女子大学 名誉教授 的場輝佳 奈良女子大学
名誉教授

的場輝佳

加熱調理の重要性について

野菜類に含まれるポリフェノールや抗酸化性ビタミンは、体内の活性酸素・フリーラジカルを消去する機能があるので、ガン、老化、生活習慣病などを予防する効果があります。厚生労働省は、健康増進のために成人1日当たり350g以上の野菜の摂取を奨励しています。通常、野菜は生のままよりも加熱調理した方が、軟らかくなりボリュームも小さくなるので沢山摂取することができます。しかも、生食に比べて料理の種類(煮物、揚げ物、炒め物、お浸し、和え物、鍋物、汁物など)も多彩なので、和食ならではの郷土色豊かな献立を楽しむことができます。
一般に、“野菜を加熱調理すれば、有効成分は壊れてしまう”と思われていますが、ポリフェノールや抗酸化性ビタミンは、案外、熱にはタフなのです。しかし、酸化してしまうと、その効果を失ってしまいます。酸化は、野菜に含まれる酸化酵素が作用して起こるのですが、生のままで野菜の組織を壊すと、一気にこの酸化反応が進みます。ジューサーで野菜ジュースを作ったとき、野菜を刻んだりすり潰したとき、口の中で咀嚼しているときでさえ、酸化は進んでいるのです。

加熱調理の重要性について

ところが、野菜を加熱すると酸化酵素が働きを失うので、ポリフェノールや抗酸化ビタミンは酸化されず、健康増進効果が保持されます。しかし、実際に調理した場合、茹でたり(お浸しなど)、煮込んだり(炊き合わせ、鍋物など)すると、ポリフェノールの一部と、水溶性のビタミンCなどの大部分が煮汁に流失するので、調理の際には注意が必要です。一方、炒めたり、焼いたりすると、これらの有効成分は保持されます。
夏野菜の代表、茄子を生で食べてもおいしくありません。茄子の紫色はナスニンというポリフェノールの一種です。天ぷらにすると色が際立ち贅沢な料理になります。焼き茄子の風味も食欲をそそります。ちなみに、調理の英語“Cooking”、この語源は”加熱する“と言う意味なのです。

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