ステークホルダー・ダイアログ

ディスカッション


3人の有識者のご講演に続いて大阪ガス社員代表6人*が参加し、ディスカッションを行いました。

*お客さま部 小川部長、関連事業部 部長(代理)片山、広報部 古田部長、CSR・環境部 加賀城部長、近畿圏部 稲村部長、コンプライアンス部 木全部長

論点1:海外地域の現地ニーズの把握とリスク認識を備えたCSR活動を

全体

(大阪ガス)
 現地で批判を受けた企業は結果的にCSRの取り組みが問題だったと思われますが、それはどこに起因していたのでしょうか。
(満田氏)
CSR活動のどこに起因して問題が発生したかというよりも、批判を受けた企業に共通していることは、「問題の認識能力」が欠けていたといえます。例えば、土地開発が進むことで、環境破壊や現地の住民の生活がどのように変化するのかという点を考えられなかったというように。日本企業でよく見られるのは、相手国政府や企業が「大丈夫」といったことをうのみにしてしまうことです。そして開発行為をすると、実は現地住民の人が使っている土地だったなど、後から問題が起こる場合もあります。海外進出する際、現地住民やNGOの声を十分に聞くなどして、起こるかもしれないリスクを見ていく必要があります。
(大阪ガス)
海外進出の際のCSR活動はどのような視点が重要になりますか。
(梶原氏)
途上国の場合、その国の発展に寄与していくことが重要です。一方、先進国でいうと、例えばヨーロッパの場合、移民やマイノリティなどの社会的弱者も多く、社会的問題となっています。これらの課題への対応として、雇用の機会を広げることが企業には求められています。

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現地のステークホルダーとのパートナーシップが重要

(町井氏)
 海外進出先の現地課題は、現地の人たちに聞くことが一番重要です。ただし、それを一企業で取り組むには、限界があります。その時にNGOの力を活用いただきたいと思います。NGOは現地の課題を解決するために現地に入り込んで活動していますし、またその地域との太いパイプもあります。NGOの人たちとパートナーシップを組み、自社にとって果たすべきCSRの注意点はどこにあるかを調査していくことは効果的な方法だと思います。
(満田氏)
 CSRの重要なポイントとして、現地におけるニーズを把握することと、事業活動におけるリスクを認識することの2つの側面が重要です。たとえ雇用を確保したからといって、大事な自然環境を破壊していたら現地住民の批判の対象となります。雇用確保や環境、メセナなど、それぞれ適切な方法を実施すれば、その企業は現地で受け入れられ、現地の社会と上手いパイプを築く切り口になると思います。
 例えば、ある途上国で事業を展開している企業は、“ソーシャルライセンス”という表現で、コミュニケーションを通じて、住民から受け入れられることを重視していました。さまざまな取り組みを実施する上で、まず、地元の人に受け入れてもらえるように心掛けることが重要です。

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事業を通じて社会的課題を解決する取り組みを

全体

(大阪ガス)
 海外で事業展開する上で、日本でのCSR活動の経験は生かせますか。
(町井氏)
 時代や地域によってその社会的課題は変わりますが、課題を解決するためにCSRの考え方は必要です。戦後、日本では衛生環境が悪かった時代に、ある日用品メーカーがビジネスとして安い高性能な石けんを製造し、日本は非常に清潔になったという例があります。このように、CSRの取り組みは、時代や地域によって取り上げられる課題の内容が違うということでしかないといえます。
 現在の少子高齢化問題が顕在化する日本では、介護のために会社を辞めずにすむような制度を充実させることなども、企業のCSRの1つとして求められています。
 海外地域でのCSR活動においても、これまでの日本での経験が大きく貢献するものと考えられます。
 CSRには「守りのCSR」と「攻めのCSR」があり、社会貢献はどちらかというと「攻めのCSR」に近いと考えられます。「攻めのCSR」の具体的な事例として、ユニクロが障がい者の雇用率8.2%を保っているとか、トヨタのハイブリッド車の売上が200万台突破したなどの成功事例がありますが、これらは「社会のために」が「会社のために」ともなっている良い事例です。

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論点2:これからの社会貢献活動と大阪ガスへの期待

(大阪ガス)
 当社ではこれまで「陰徳」は美徳ということで、活動のアピールを控えていました。改めて、CSRを正しく情報発信するなど、その重要性を感じました。そこで、今後より一層、CSR活動を加速させていくために、どのようなことが必要なのかアドバイスいただければと思います。
(町井氏)
 自社の良い活動を企業自らアピールしていると、日本人は斜に構えて見てしまう習慣があります。しかし、この悪しき習慣を変えることは難しく、CANPANでは、企業と市民との間に入って企業の良い面を伝えていくようにしています。企業の社会活動が市民から共感を得ている良い事例として、ボルヴィックの「1L for 10L」があげられます。ボルヴィックが単独で活動を展開しているのではなく、ユニセフの活動をボルヴィックが支援しているということと、自分たちの“水”というビジネスとアフリカの“水問題を解決する”という1つのストーリーの一貫性が社会からの共感を呼んでいます。さまざまなステークホルダーとパートナーシップを組みながらCSR活動を進めていくことが1つの解決策と考えています。

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ステークホルダーとの対話を通じたゴールの設定を

全体

(大阪ガス)
 今後、社会に合う形の新しい方向性としての社会貢献活動の切り口など、何かご示唆いただければと思います。
(町井氏)
 企業はNPOのどこと組めば良いかわからないということ、社会貢献活動を始めると、どこで手を引いたら良いかわからないといった悩みがあるようです。一度実行したら止められないというリスクを抱えていることがまさに課題と感じています。
 新しい社会貢献活動の試みの1つとして、複数の企業と複数のNPOで実施する新しい方法を模索しても良いと思います。例えば、「1億人のバレンタインプロジェクト」というプロジェクトが先日、発足いたしました。これは、複数の企業と複数のNPO・NGOとのお見合い形式をとって、その全体を1つのプロジェクトとするものです。一度始めたら永続性を求められ、それが企業の負担にならないよう、複数の企業と複数のNPOでお互いの強みを生かしながら、社会課題を解決していくことは社会貢献活動の新たなステップだと思います。
(満田氏)
 国際協力型のNGOでも同様の問題があります。NGOが現地に支援する時、あらかじめどこで何を達成したら撤退するかということを考えて計画を立てます。未来永劫支援し続けるのは、相手の自立を阻害する可能性もあります。また、無限の支援は依存を生んでしまいます。

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大阪ガスのCSRに期待すること

(梶原氏)
 日本のODAの予算は縮小されています。民が公共を担う時代、例えば、身近なところでは井戸を掘って水を供給するというようなライフラインで、何か貢献することはできると思います。資源の調達で海上輸送されていることを考えると、地域の平和と安定に寄与することが重要になります。地域の安定は、顔の見える貢献ということで、今までODAが実施していたライフラインの貢献などを民間企業が担うことが期待されています。
 「こうべバイオガス」のように大阪ガスは環境にやさしい先進的な事業をされています。このような取り組みを広げていくこと、そして関西での取り組みが全国でも広く知られるように、さまざまなメディアを活用していくことも大事だと思います。
(町井氏)
 日本財団が運営する「CAPAN CSRプラス」が日本の企業の素晴らしさを世界に発表している「日本が世界に誇る企業100社」のランキングで大阪ガスは17位と先進的に取り組まれています。今後、さらに期待することは、従業員に対するCSR、例えば少子高齢化の課題を解決するための制度を充実させる取り組みなどがあげられます。また、お客さまから出た苦情に対して、どのような内容で、どのような対処を実施したかを開示されることを希望します。マイナス情報も勇気を持って情報公開することが、その企業の信頼にもつながります。
(満田氏)
 愛される企業は、世界のどの地域でも適切な行動をとっていると思います。しかしながら、国によって地域によって、認識の違う社会は存在します。大阪ガスが新たな地域に進出される際は、現地の認識調査やさまざまなステークホルダーの声に耳を傾け、本業を通じて現地の課題を解決されることを期待します。

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